志貴、気を付けて。


俺の隣からシオンが緊張した声色で注意を促す。


分かってる。

ああ分かってるさ。

けど、これは。


頭で理解していても。
心が、魂がどうしても揺れてしまう。


これが、俺の罪、か。


心の奥底に潜んでいる、恐怖の具現。


その、形をした罪がゆっくりと俺の方を振り向く。







・・・・・・・・又俺は、罪を罪で重ねないといけないのか・・・・・・・






「夢の残照」








事の発端は、夏頃流行り出した噂。

消えた筈の「吸血鬼」の噂が始まりだった。


その一つ一つを追って行く内に
同じく、吸血鬼を追っている少女、シオンと出会う事になった。


このシオンと言う娘は、何やら訳有りでその「吸血鬼」を追っているらしく。
この噂の根源、原因を究明する為に日本まで来たらしい。


当然俺もこの噂を放っておける筈も無く。


結果。
夜の街を彷徨う事になり。
昔の悪癖を繰り返す事となった。


只、今回は。
俺の隣に、そのシオンがいるのが、唯一の違い、か。




この噂、奇妙な事に。


皆、口々に「吸血鬼」の事を噂するが。
未だ誰もその犠牲にはなっていなく。


又その姿形も一つとは限らなかった。


様々な姿を持った「吸血鬼」

女性だと言う者もいれば。
いや
それは男性だと言う者もいる。




果たして
どれが正しいのか。


そもそも、この噂自体が噂の域を超えないで
そのまま噂で消えてしまえるものなのか。


何も事情を知らない俺としては、今の時点では何も言えなかった。


「志貴。
これは単なる噂ではないのです。
全てはある一人の「吸血鬼」の事を指しているのです。


その「吸血鬼」の名は「ワラキアの夜」


ワラキアは噂を操る、いえ、その噂自体がワラキアの夜なのです。
そして満月の夜。
ワラキアは噂を糧にして甦ります。
噂はその為のものなのです」


そして、色々とワラキアの事について説明を聞かされたが。
ハッキリ言ってその殆どは分からなかった。

シオンには悪いが、その説明はロクに頭には残らなかった。


この夜の徘徊を始めてから。

日に日に七夜の血がザワメク。
俺の中のケモノが咆哮を上げ続けている。

確実に、異形のモノがいる事は肌で実感している。


だから
シオンが言っていた事はそれの理由付けでしかなった。


いる事が分かっていれば

後は出会いを待つのみ。

運がいいのは


俺なのか

それとも、そのワラキアなのか。




「いいですか志貴。
貴方が何を考えているかは、分かります。

ですが。
くれぐれも自重して下さい。

今までワラキアが封印されなかったのは
教会でも完全に滅ぼせなかった、その特異性にあるのです。

繰り返しますが。
くれぐれも相手の実力を過小評価しない事です」



そんな
吸血鬼相手に、過小評価なんてしない。

だが目の前に現れれば。
間違いなくそいつを殺すだろう。

ただ、それだけだ。




ゾクリ


背筋に悪寒が走る。


いる


この先に。


瞬間、駆け出す。


この先は・・・・路地裏。

クッ。
小さくごちる。

路地裏にはいい思い出が無い。

あるのは、数々の昏い思い出達ばかり。


路地裏に近くなるにつれ
纏わり付く様に濃くなる、血の臭い。

徐々に近づくにつれて咽返る程の臭いの中。
路地裏の奥でユラリと蠢く人影が見える。

無数の動かぬ影の中。


ボウ、と立ちすくんでいるその人影。


間違いない。


こいつが、ワラキア。

この噂の張本人の吸血鬼。


音も無くかけていたメガネを外し。

その人影に奔る「線」を凝視しようとする。


・・・・・・・・・・・?


・・・・・・・・・・・!!


そ、ん、な、


まさ、か


そんな、事、が



「志貴!!
それは貴方のイメージです、決して当人ではないのです。
惑わされないで下さい。
貴方の強烈な吸血鬼のイメージから生まれた紛い物です!!」


そのシオンの声でその人影も、こちらに気付いたらしい。

振り向いた、吸血鬼の顔は




カオ、ハ




「・・・・・・・秋、葉」

何とかそれだけ
喉から搾り出す様にして、声にする。


「御機嫌よう、お兄様。
好い月夜ですわね」

クスリと微笑む。



「秋葉」は



声から



姿から



仕草から




何から何まで俺のイメージに瓜二つ。



「志貴。
それは、秋葉の形をしたワラキアです。
志貴の「秋葉がもし噂の吸血鬼だったら」
と言うイメージから生まれたものなのです」

だから
混乱しないで

と、言ってるけど。


言うのは簡単。

でもそれが出来たら

ここまで悩みやしない。


「愛しい妹はその手で殺める事、叶いませんか?
フフ、本当お兄様は秋葉にはお優しいのですね」

フワリと髪がたなびく。



来る。


そう思う前に体が動いていた。

飛ぶ様に真横に逃げる。


次いで、俺のいた場所に朱い炎が立ち上る。

・・・・・檻髪か。
完全に秋葉の能力をコピーしてるんだな。


ナイフを煌かせ、構える。

けど。

どうしても足が前に出ない。

いくらコレがワラキアだって分かっていても。



秋葉の声で


秋葉の姿をしている


秋葉そっくりの秋葉を殺せる筈が無い。



「どうしても出来ないと言うのなら。
私が相手します、いいですね志貴」

シオンが、エーテライトを引き出す。

「待てよシオン。
コレは俺がケリをつける」

右手を横に上げてシオンを制する。

「ですが、志貴。
今の貴方ではワラキアは滅ぼせない」

うん、それは多分正しいと思う。

けど。


「何とか、する」
ギリリと歯噛みして言い切る。

「さあ、愛しいお兄様。
お兄様の全て。

その愚かしい考えや
哂ってしまう程、甘い所。

そう、総て。
奪って差し上げますわ」

視界の左右から檻髪が唸りを上げて迫って来る。

思い切り低く屈み、そのままダッシュ。

低い位置から上空の檻髪を薙ぎ払いつつ、秋葉を肉薄して行く。

「かわし切れるかしら、お兄様」
突然。

目の前に炎が巻き起こる。

さっきの奴か。

だが。

それも計算済み。

グンと一段低くなり、大きく飛ぶ。


炎を飛び越え、秋葉の背後へ。

首筋に見える線をナイフがなぞろうとした瞬間。


秋葉と目が合う。


物悲しい、切なそうな、あの眼。


狂気に満ちた瞳で無く。

俺の記憶の中の秋葉と同じ
あの頃の秋葉と同じ、瞳。


くっそォ・・


ナイフを無理矢理大きく振り抜き、空のみを裂く。

俺にそんな眼をした秋葉が殺せる訳無いじゃないか。


秋葉の背後に着地して、大きく間合いを離す。

「本当、優しいのですね、お兄様。
折角、秋葉を殺せるチャンスだったのに。
みすみす逃してしまうなんて」

又元の狂気の眼差しに戻った秋葉が嘲る。



・・・・・・アレは秋葉じゃない。

分かってる。

分かっている筈なのに。

イザ、その段になると体が動いてくれない。

「ですが、お兄様。
秋葉はそんなに甘くは無いのですよ?

ご覧になって。
秋葉の足元を」

言われて、秋葉の足元に眼をやる。

そこには
おそらく今まで生きていた人間だったものの残骸。

手だったり足だったりが何かの前衛的なオブジェの様に四散してる。

「まさか、これ、を」

「ええ。秋葉が全てしました」
ニコリと無邪気に笑う。

「許せませんか、お兄様。
秋葉がこの様な事をなさるのが」


「ワラキア。
いい加減にその三文芝居を止めなさい。

これ以上私は貴方のお喋りに付き合うつもりはありません。
今ここで滅びなさい」

チャッと銃口をワラキアに向ける。

「シオン。
貴女で秋葉が撃てるのかしら?
よしんば、撃てたとしても。
貴女の隣の人がそれをさせないでしょう」

チラと横目で俺を見る。
小さく舌打ちするのが聞こえる。


ああ、確かに。

俺では殺せないかも知れないが。
俺以外の誰かに殺させるつもりも無い。

「シオン。俺がケリを付ける。
信じてくれ」

拳銃を下ろさせるが

「ですが、志貴。
貴方ではあのワラキアには勝てない。
私はこれ以上、ワラキアの好き勝手にさせるつもりは無いのです。
ここで仕留めないと、ワラキアの夜が完成してしまいます」



「無駄よ、シオン。
お兄様は秋葉を殺せないわ。
そしてそれは貴女も同じ事よ」

そう言って
足元の死体を一つ掴み上げる。

上半身のみのそれの頭を握り、顔の高さまで持ち上げる。







ぞぶり






普段余り聞き慣れない音がして
死体の胸から真っ赤に染まった腕が音と共に生える。


ずるり、と腕を抜き取り


指先から滴り落ちる血を、舌を出して受け取る。



一滴



二滴



紅い雫が

秋葉の口の中に堕ちて行く。

細いスラリとした指先から流れて行く赤い血は
途切れる事無く
ゆっくりと静かに。



それを恍惚とした表情で舐め取って行く秋葉の笑顔は



とても



綺麗で




とても



美しくて





とても



淫靡で






とても






残酷だった。








「・・・・・・・・ワラキアーーーーーーーー!!」




カチリ

頭の中でスイッチが切り替わる。


今までの雑多な感情が一切クリアになり
唯一の命令のみが、只ひたすらリフレインする。


コロセ・コロセ・コロセ・コロセ・コロセ・コロセ・コロセ・コロセ

            コロセ!!!

「それ以上
秋葉の声で
秋葉の姿で存在するな

ニセモノ」

ヒュン

ナイフを一振りして
又構える。


「漸く本気なってくれたんですね、お兄様」

指についた血を舐め取った秋葉が微笑む。

無駄口叩いてる暇なんてあると思うなよ。


「サア、殺し合いましょう、お兄様」

それを合図に俺が駆け出す。


秋葉は何とかの一つ覚えの如くに檻髪を連発して来るが。


行動の読めてる攻撃なんて。
フェイントにもなりやしない。

目の前に迫る紅い結界を悉く切り殺し。


目指すは秋葉の体に浮かぶ大きな点。

体の中央。
ここにナイフを突き立てるだけ。

フン、何て簡単な。


流石に檻髪だけでは勝てないと悟ったのか。
そのか細い指を爪立てて、俺目掛けて振り下ろしてくる。


だが

「無為!」

刹那。
俺の姿が掻き消える。

秋葉の爪が空を切り裂く音が路地裏に木霊する。


「遅すぎるんだよ!」

秋葉の襟を掴み、背負い投げの要領で地面に叩き付ける。
そのまま倒れてる秋葉の胸の点にナイフを振り下ろす。

トン。

呆気無い程にナイフは体に埋め込まれる。


「流石、天性の殺人貴。
こうも見事に秋葉を殺すなんて」

死への恐怖など、まったく無いかの様に
薄く笑いながら秋葉が言葉を紡ぐ。


「お兄様。
お兄様は結局、恐怖を力で捻じ伏せたのですね。
ですが」

「コレで終わったなんて思っちゃいない」

擦れ行く秋葉の線と言う線をなぞり続ける。

「ダメです、志貴。
いくら貴方と言えども言葉として存在してる
ワラキアは殺せません。
ワラキアが実体化するにはもう少し時間が掛かります。
今の秋葉はあくまで仮の姿です」

「クックックック。
その通りだよ。
私は今までも噂が最高潮になった時に具現化して来た。
ホラ、空をご覧。
真月はもう直ぐだ
これからが、私の舞台の開幕だよ」



上空の月を仰ぎながら擦れたワラキアが、笑う。

俺も月を仰ぐ。

確かに満月にはまだなっていないが。
それも時間の問題。

もう、時間はそんなに残っていない筈。

どうするか。


考えに耽っていた俺をワラキアの声が現実に戻す。


「ム?」

翳んでいたワラキアが訝しげな声をもう一度上げる。


「何故だ、何故我が姿が今一度この世に描かれる。
馬鹿な、そんな事はありえん」



「果たしてそうかしら?」
不意に横から声がする。

「アルクェイド?」
「真祖?」

突然のアルクェイドの登場に驚いている俺達を放っておいて。
アルクェイドは先を続ける。


「もう一度、空を御覧なさい、ワラキア。
純白の真月は今宵は輝かないわ」


アルクェイドに言われてもう一度、俺たちも空を見上げる。


今まで漆黒の闇だった夜空は


禍々しいまでの深紅に変化していて


無垢な月もその毒に冒された様に朱に染め抜かれていた。



「馬鹿な、朱い月だと。
そんな筈は無い。
計算ではまだ早い。
これが現れるにはまだ千年単位の年月が必要な筈」


「それはあくまでも貴方の計算ではでしょ?」
もう一つ、聞き慣れない声がする。


「何だと。
まさか、ここに本当に朱い月を持って来たとでも言うのか?
それこそ計算外のイレギュラーだ」


「そう。でも、これで貴方の目指した旅は終わり。
感謝なさいな、ワラキア。
永劫の螺旋にここで終止符を打って上げるんですから」

黒い長髪をかき上げ、少女がクスリと笑う。


「ワラキア。貴方がアルトと交わした契約は次の朱い月まで。
今ここに。
その己が契約主と契機である朱い月があるわ。
さあ、聡明な貴方の事。
それらが意図する事くらい、理解出来るでしょ?」


「そんな、馬鹿な。
何故だ、アルトルージュ。
何故ここでそんな事を」


それにフンと鼻で笑い、横を向く。


「その稀代の頭脳で計算してみたら如何、ワラキア?
まあ、答えが出たとしてももう一度契約する気は無いけど」

ワラキアは暫く信じられないと言う顔をしていたが。

やがて
静かに笑い出し。
その笑い声は狂気のそれへと変化して行く。



「クックックック。
そうか、我が旅は無意味か。
クックック。
だが、27祖に数えられし我。
このままでは終わらんぞ。
何やら、真祖は考えがあるらしいが。
この場で皆血祭りにすれば、済む事。
今一度、永遠への旅、始めさせて頂こう」

ふわさと、マントを翻す。

表情は完全に狂人と化し。
クックックと狂った様に笑い声をその喉から響かせる。

「良いぜ、せめて俺が引導くらいは渡してやる」

パチン
制服のボタンを外し

「来いよ。
全力でお前を滅ぼしてやる」

「見くびられたものだな、私も。
たかが人間が我と踊ろうとは」

減らず口はあの世とやらでするんだな。

ゆっくりと確かな足取りでワラキアに向かって歩いて行く。


ワラキアは爪を振りかざし、真空波の様な物を投げ付けて来る。
それを身じろぎもせず、「コロス」

この世に存在するもの全て殺せるこの眼なら
これ位は造作も無い事。

ワラキアは様々な攻撃を仕掛けて来るが。


その全てを


「コロス」



「コロス」



「コロス」




「コロス」



ワラキアの顔には驚愕の色が浮かび始める。

俺は歩くスピードを上げる事無く、歩を進める。


「さあ、どうした。もう手品はネタ切れか?」


ワラキアが最後に繰り出した

巨大な黒い竜巻も「殺し」呟く。



「馬鹿な、ありえん。こんな事は断じてありえん」

最後の方は殆ど絶叫に近かった。
物事が全て計算で済むのなら、誰も苦労なんかしない。

「・・・・・・・・・・・・・死ね」

何の躊躇いも無くワラキアの腹にナイフを突き刺す。

それは墓標の如くにワラキアの腹にそそり立つ。



ごぼり


大量の血が腹から、顔から、体中から噴き出す。

深紅の奔流は尽きる事無く、天空の朱と競い合うかの様に
迸り続ける。

「クックックック
最後の最後で我は計算ミスをしたのか。
そうか、そうか、そうか、そうか、そうか、そうか」

仰け反る様に、天を仰いで。
何か可笑しいのか、ワラキアは大声で笑い続ける。

「全てが決まってるなんて、つまらないつまらないつまらないつまらない。
そう、だから人間は面白い。だから人生は面白い。面白い面白い面白い。
だから我はいつかこんな日が来るのを待ち望んでいたのか」

噴き上げる血流が小さくなるのと同じく
ワラキアの声も小さくなって行く。


シオンはそんなワラキアを痛々しい眼差しで見ている。
シオンも感じたのかも知れない。
もしかしたら、今のワラキアは自分の将来の姿だったのかも、と。


「我は最後の最後に欲しい物を手に入れられた。
そう。
我は計算できない未来が欲し・・・・・・・・・」


ワラキアの最後の言葉は聞こえなかった。


全ての血が流れ尽くして。
残ったものは、静寂のみ。


「・・・・・・・・・・・憐れな人。
有りもしない答えを求め、永遠を欲し。
結局、その答えも見出せず」



「それは違うと思うな、シオン」

シオンの呟きに俺が答える。


「ワラキアは利己の為に永遠を欲した訳じゃないと思う。
彼は見えてしまったから。
そしてそれを覆せるかも知れない手段を知っていた。
だからその手段を使って、そうしてしまった。
少なくとも、俺は最後に彼は救われたんじゃないのかなって、思う」


だから、志貴は甘いのです。
とか、シオンはプチプチ言ってる。


けど。
口ではそう言ってるけど。
顔を見れば、シオンも少しはそう思ってるのは分かる。

さああああああ。
風が一陣、吹き抜ける。


風が一切を運び去っていく。


さあ。
これで終わりかな。



「でもアルク。びっくりしたぜ。来るならもっと早く言ってくれ。
しかもアルトまで連れて来て。そんな事一切聞いてなかったぞ」

しかしアルクはしれっと


「うん、言ってないし。
けど、結果オーライでしょ」

にぱーと笑って。
Vサインまでしやがる。

ったく、このあーぱーは。
はぁぁぁぁぁぁぁぁ。
今まで溜まりに溜まってた胸のモヤモヤを吐き出す。



「アルト。来てくれてありがとな。
それに手助けまでして貰って、悪かったな」

屈んでアルトの頭を撫でる。


「フ、フン。別に志貴の為にした訳じゃないし。
只、この前の借りを返しに来ただけで」


プイとそっぽを向く。

この前?


ああ、アルクの所を訪れた時の事か。



実は俺とアルトとは顔見知りで。
今回が初対面ではなかった。


以前、この娘がアルクの所へ行く際
俺に道案内を頼んで来て
それがきっかけで知り合いとなり

その時の出来事を、恩義に思っていてくれていたらしく
今回その借りを返しに来た、と言う事らしい。



「でも、いいのか。
あれ位の事で、その、ワラキアを裏切る様な真似をして」

「わ、私がいいって言ってるんだから、いいの!!」
顔を真っ赤にしてうがーと噛み付く。




・・・・・・・・まあ、当人がそう言うなら
こっちはいいけど、さ。



「志貴」

シオンが俺を呼ぶ。




「志貴、本当に有り難う。
貴方がいなかったらワラキアは倒せなかった。
私だけでは無理だったでしょう。
本当感謝しています」



そう言って右手を差し出す。

???????????



「その、コレで会うのは最後でしょうから。
あの、お別れとして、ですね。・・・・その・・・」

ごにょごにょと口の中で言いながら
右手をぷらぷらさせる。




「ドンカン男。
最後の別れでしょ」


アルトがドンと背中に体当たりをする。



「あ、ああ。さよならだね。
シオン、短い間だったけど。
楽しかった。
その、君の研究の結果。
期待してるから」

シオンの右手をぎゅっと握り締める。


シオンも
満面の笑みで頷く。


「ええ。楽しみにしていて下さい。
一番先に志貴に報告しますから」



キス位してあげなよ〜、何て外野が五月蝿いけど。
そんな声は今は聞こえない。






こうして
一夏の不可思議な出来事は幕を下ろした。



様々な想い出と共に。












FIN
___________________________________________
後書き
秋葉:皆様、お久し振りです。いい加減この挨拶も飽きたわね。遠野秋葉です。
シオン:何故、秋葉が最初なのです。初めまして。シオンです。
アルト:アルトです。実は月詠は私がアルクの姉と言う事を知らなかったのよ。
秋葉:何ででしょうね。やはり月詠はロリと言う事で、良いのかしら?
アルト:かなぁ?でもそのお陰で出番あったし。まあ、いいか。
シオン:さて、恒例のSS解説ですが。これは、メルブラSSですね。しかもオリジ。
秋葉:何でもやってて。あれなら私はこうする、と大それた事を考えたそうで。
アルト:?て事は秋葉のあの「血を飲むシーン」が書きたかったの?
シオン:何て、ジョーカー(道化)
秋葉:しかも、自分のLVを弁えず、シリアスにして。誰が読んでくれると言うの?
アルト:長いしね〜。読んでて飽きちゃうよ。
シオン:考えてみると。今いるのは皆、吸血鬼、ですか。
秋葉:そうね。私は秋葉だけど、裏秋葉の方だし。
アルト:もしかして、吸血鬼好き?
シオン:と言うか。妖しが好きだそうで。
アルト:ああ、だから。妖狐とか、朧月夜(むぐ〜むぐ〜)
秋葉:フフフフフフ。それはまだダメなのよ。
シオン:いい娘だから。それ以上はダメよ。
アルト:(苦しいよ〜。全力でふさがないで)
秋葉:そう、いい娘ね。(手の中でぐったりしてるアルトを見て)
シオン:クスクス。寝てしまって。
秋葉:珍しく下書きまでしてこれ書いたそうよ。
シオン:いきなり戻りましたね。そうですか、結構な量ですが?
秋葉:知らない。何かの裏に書いたらしいから。
シオン:へえ。あの人の悪筆は有名ですから、それはそれは。
秋葉:アルトの登場も本編で名前が出たかららしいし。
シオン:途中、何回か七夜になったり、志貴に戻ったりしていますが。
秋葉:アレは、七夜は私の時。後は兄さんです。分かりずらいですが。
シオン:しかもろくに登場人物出てませんし。まあ、仕方ないですか。
秋葉:あ。ここで言うのも何ですが。月詠のSSは「月詠の都合の良い様」に
シオン:「ストーリーを歪曲、捏造」していますので。本編とはかなり違います。
アルト:まあ、今更そんな事で文句言う人もいないでしょうが。
秋葉:あら、お帰りなさい。
シオン:早かったですね。
アルト:ええ。伊達に朱い月の候補者じゃないのよ。
秋葉:そんな訳で、意見等がありましたらメール、掲示板にどうぞ。
シオン:貰えるとそれはそれは悦ぶらしいわ。単純よね。
アルト:それでは皆様。御機嫌よう。
秋葉:ここまで読んで下さいって真に有り難う御座います。
シオン:今気付きましたが。アルト、アダルトバージョンですか?帰還後は。
アルト:又次回のSSでお会いしましょう。


















__________________________________________
後書きの後書き(舞台裏)
えー。
どーもです。
月詠です。

かなりここの所ハイペースで作品が上がっています。
大丈夫ですか?

作品の質、堕ちてません?
自分で書いててこう言うものは分かりませんので。
皆様からのお声が頼りです。

自分ではこれで良い、と思っても。
やはり第三者からの意見と言うのは大事だと思うんです。
私自身無頓着ですから。

もし
何かありましたらメールや、掲示板などにお書き下さい。


それではここまで読んで下さいまして真に有り難う御座いました。

又次のSSでお会いしましょう。

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