こちらは parasite eveさんに送った作品です。

私は変わったのだろうか。

昔の私を知っている者が見れば、今の私を見て何と言うのだろう。


「脆弱になった」

「心を持った」

「絵空事を」


多分こんな所だろうか。

いや。

もっと酷い言われ方をされるかも知れない。


けど。

だから何だと言うのだ。

では、今までの私とは一体何だったのだ。


「心無き機械」

「只狩る者」

「穢れ無きモノ」


人々は口を揃えて私をこう表現しただろうか。



それは私も自覚していた。

凡そ、他人から見れば
今までの私とは概してこんな者だったのだろう。


おそらく


真の恐怖の具現者。

絶対的な暴力。

抗える事の出来ない運命の体現。



自分でもそうだったろうな、
位は容易に思いつく。






それが明確に思い描けないのは。

その当時の私は文字通り。


「機械」

だったからだろう。



何も考えず
只、目的の為に行動し。

任務が終われば
又、一人機が熟すまで活動を停止する。




それの繰り返し。




飽く事無く
いや
そんな疑問すら思う事無く。



永劫とも思える時の中を過ごして来た。





けど

今は違う。







今は全てが嬉しくて楽しくて面白くて。

何を見ても何を聞いても何を触っても。

私を囲んでいる物全てが光り輝いていて。





それはとても眩しくて。


それはとても綺麗で。


それはとても儚くて。




「PURE〜純真〜」





私は生まれて初めて「生きる」って事の意味を知ったと思う。









そう

この極東の小さな島国で。

たった一人の

しかも
人間によって。


皮肉な事に
彼に「殺されて」から
その意味を身を持って知ったんだと思う。






彼に殺された時。

私は完全に自分を再生できた、筈だった。


なのに





その体はどこか不自然で
どこかぎこちなく。



しっくりと私に馴染まなかった。






頭では
その人間を殺してやる
と思っているのに。






別の所では
その人間に対して
酷く興味をそそられていた。



やがて



その殺意と興味が入り混じって。



いつしか
彼への好意に変わっていて。







私はその想いを彼にぶつけた。



彼はその私の好意を気恥ずかしく思うらしく。


よく人前で抱きつくな、とか
何だってお前はそう言う事が言えるよな。


何て言ってくる。



だけど
私にはそれも良く分からない。



だって私は私が今一番したい事を素直にしているだけで。
褒められこそすれ、そんな風に言われる事は無い筈だ。



そう彼に言うと。


お前のその天然さが羨ましいよ。
何て
小馬鹿にした様に笑って。



ではお姫様。
これから何処へ参りましょうか。


やたら芝居がかった動作で私に向かい、聞き返す。




だから
私も
ああ〜私の事馬鹿にしたでしょ〜

腰に手を当てて怒る振りをする。

彼も
はははなんて笑いながら

さっさと先に行ってしまう。





そんな彼を追いかける様に
彼の体目掛け、タックルをする。


ど〜ん、と大きく彼は吹っ飛ぶがそれでも構いはしない。


吹っ飛んだ彼を起こしながら
素早くその左腕を私の右腕に絡める。



慌ててその腕を解こうとするがそんな事はさせない。

この場所は私のもの。

誰にも渡さないし、渡す気もない。


たまにこの場を巡ってどっかのメガネとかと喧嘩もするけど。




それだって今は楽しく思える。




この世の全てが無駄だって彼は言うけど。
その無駄って事を教えてくれたのは彼。




彼も自分がしている事は無駄だって分かっているのに。
判っているのにその無駄な事を止めようとはしない。




そういう気持ちを持つ事が大事なんだよ。
夕暮れの教室でにこやかに笑いながらそう言ったっけ。





だから今は思う存分無駄を楽しもう。


私には時間なんてものは関係ない。



幾らでも楽しむ事は出来る。




今は彼とのこの時間を
目一杯楽しもう。






ねぇ
明日は何処に連れて行ってくれるの?

志貴?






終わり
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月詠:毎度ドーもです。
アルク:いぇーい。みんなのヒロイン、アルクェイドだよ。
月詠:しかし、よもやお前のSSを書くことになろうとは思いもよらなかったぞ。
アルク:あちしもビックリよ。妹スキーのあんたが書くなんて。
月詠:これも浮世の義理って奴よ。
アルク:なーにカッコつけてんだか。
月詠:でもこんな事がない限り、アルクは書かないし。シエルだってそうだな。
アルク:そうでしょうね〜、このロリコンのシスコンは。
月詠:不思議不思議。何も聞こえないわ。
アルク:そりゃ、耳塞いでれば聞こえないわ。
月詠:突込みが詰まらん。もっとこう、ばぁーとだな。
アルク:こう?(大きく振りかぶる)
月詠:誰が本気でやれと言うた。俺はそこいらの輩とは違うんだ。丁寧に扱え。
アルク:人間て脆すぎー。これじゃ、握手も出来ないー。
月詠:俺はしたくもない。真祖と握手する人間。絵的にはシュールな気が。
アルク:微妙にこう、キレが悪いわね?スランプって奴?
月詠:単純に疲れてるだけ。睡眠が足りないのと疲労が蓄積されてるのと。
アルク:これじゃ、からかうにしても面白くない。
月詠:文句言うな。これが精一杯なんだから。
アルク:(ちぇ)さて。それでは。ここまで読んでくれてありがとね。
月詠:又、次のSSでお会いしましょう。


















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後書きの後書き(舞台裏)
ハイ、ドーもです。
月詠です。

今回も多分初めてですね。
月姫でしかもアルクメイン。

怖ろしい。
新年から私は何てチャレンジャーなんだ。


えーと。
これは私事でお世話になりました
Parasite_eve 氏に捧げるモノです、このSSは。

別に要望があった訳ではないですが
それが浮世の義理って奴ですね。

Parasite_eve 氏、こんなSSですがどうか貰ってやって下さいませ。



それでは、又次のSSで。


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