2013年9月1〜3日
  雨ニモマケズ立山雷鳥沢から剣沢まで

今年の秋はなぜかひじょうに天気が良くない。下界ではゲリラ豪雨・竜巻といった言葉が近年の流行語のように聞こえてくる。今回の山行は例年秋に実施
している山からの生中継シリーズの下見山行である。天気の状況を見ながら剣岳(2909m)を登って撮影もして・・・ということまで考えていたが、天気が
良くないことに加え、いろいろな手続きや現場取材に時間がかかりなかなか思うように進めることができなかった。しかし素晴らしい景色にも出会えた。

9月1日は福井からJRで富山、その後富山地鉄に乗り換えて立山駅へと向かう。立山駅にて名古屋からのクルーと合流後、そのまま車で室堂まで一気に
上がり、剣沢までその日のうちに入る・・・というのが予定だったのだが、手違いで立山黒部アルペンルートの走行許可が下りず結局ケーブルカーとバスを
乗り継いで上がることになり室堂から歩き出したのは15時!これは遅すぎ!しかも雨が降り出してとても剣沢まで行くのは困難な雰囲気になって来た。
そこで同行ガイドの佐伯知彦氏(4代目平蔵)の提案により、雷鳥沢ヒュッテに宿泊することにし、この日はここを拠点に調査と下見を実施することとした。

天気が良くないこともあってみくりが池を過ぎると観光客の数はグッと減ってくる。雷鳥沢のキャンプ場には夏の盛りを過ぎたこともあってテントの数は少ない。

通常我々が登山するときはこの雷鳥沢周辺はほとんどスルーしてしまうため、まったくと言っていいほど知らなかったのだが素晴らしい温泉が多い。しかも温泉と
言えば「日本一高所にあるみくりが池温泉」が有名でみんなそちらへ行ってしまう・・・この雷鳥沢ヒュッテの温泉に入って驚いたのだが、白濁した源泉そのままの
屋外の露天風呂が素晴らしかった。しかも雷鳥坂から別山乗越までスカッと見える素晴らしさ!秋も深まれば絶景は間違いなし!!このヒュッテの御主人の話に
よれば、このあたり一帯の温泉は皆どこも源泉の取り口が違うそうで、それぞれ効能が異なっているとのこと。またかなり高温なのでここの温泉もすぐに熱くなる。

このヒュッテは室堂から近いため荷物や食材はすべてボッカで上げている(というより下げている?)という話だった。プロパンや灯油などは春の雪のあるうちに
雪上車でドカンと荷上げしてそのままシーズンを過ごすそうだ。山小屋の仕事というのはその土地土地によって異なり話を聞いてみると結構いろんなことがある。


翌9月2日は朝5時発の予定だったが、これまた雨で出発時間を7時に変更して朝食(弁当にしてあった)をとってから歩き出すことにした。雨もちょうど上がってきて
景色も見えるようになってきた。またしても重い荷物を担いで雷鳥坂を登る。曇りではあるが何となくまた雨が降ってきそうな雰囲気で気分はなかなか軽くならない。


あの長大な雷鳥坂を喘ぎながら登り9時20分剣御前小屋(2750m)に到着した。到着する直前あたりから急に激しい雨風となり、特にこの別山乗越ともいわれる
小屋のあるあたりは鞍部になっていて谷中からの風が一気にここへ集まってくる。そのため立っていられないほどの風で体感的には一段と厳しい天候状態になる。

剣御前の小屋に入れてもらい昼食をかきこんで電波チェックを行う。ここの小屋はこの雷鳥沢+剣沢からの放送時の電波の要となるべき場所である。しかし強風と
雨により窓を開けてチェックすることはできずガラス越しである。雨はますます激しくなり小屋の窓は雨戸まで閉めている。いやはや大変な天気になったものである。
それでもお昼近くになって何とか雨も収まってきたので、12時10分剣御前小屋を出て剣沢へと下る。さすがに剣沢に入ると風は弱くなりかなり歩きやすくなった。
剣御前まで担ぎ上げた重い機材を降ろすことができたことが、かなり楽になったことの要因であるが・・・

剣沢小屋には13時到着。これまた雨がポツポツと降ってきて正面の剣岳は雲に隠れて見えない。一旦荷物を置いて雨の上がるのを待って小屋周辺のカメラ位置や
電波を送信するためのポイント探しを行う。剣沢の小屋は数年前に雪崩が原因で現在の場所に移設されたが、前の場所よりもかなり低く距離的にも離れた場所に
作られたため電波的な条件はかなり厳しくなってきている。実は新しくなった小屋に泊まるのは初めてでもあり定評のある食事も実に楽しみな山小屋である。

夕食はトンテキでした!ご飯も料理も、ものすごくおいしい!山でこんなにおいしいものを頂けるとはありがたいことである。

9月3日は5時半に起床、6時朝食である。天気は曇り、剣の尾根にぽつぽつと登山者の姿が見える。頂上が見えるまでかなりの時間待って、池に映る逆さ剣を
何とか撮ることができたがやはり天候が思わしくない・・・これ以上待っても天気は良くなることは無く、逆に悪くなる方向なので7時15分出発。剣沢を登り返す。
気温13℃なので歩くにはちょうどいい気温である。相変わらず剣岳の頂上はガスの中だったがカッパを着なくていいのがひじょうに助かる。

8時15分 昨日通過した剣御前小屋に到着した。ここでは昨日できなかった仕事をやるべく別山側へ200mほど登り返す。電波の受信点を探さないといけない
ため剣沢小屋の見えるポイントを探すのだが、これがなかなかガスが出てきて見えない・・・30分ほど待ってかろうじて確認できたが、ひじょうに厳しい条件だった。

9時5分 剣御前小屋の方にご挨拶して今度は雷鳥沢へ向かって下山開始。上部ではガスの中だったが下へ降りるにつれ景色が見えるようになってきた。

10時40分 昨日もお邪魔した雷鳥沢ヒュッテに到着。ここで再度打ち合わせを終え、ついでに昼食も済ませて室堂まで戻ることにした。ここで昼食に
ラーメンを食べようとしたら、ご主人の佐伯さんに面白い薬味?を出して頂いた。唐辛子を油と醤油の中に漬け込んだものだが、これをちょっとラーメンに
入れるとピリッと辛くなって味が引きしまる・・・しかし私は入れ過ぎて目から涙が出てくるくらいだった。

ちょっと長居をしてしまいそろそろ出発しようかと思ったとたんに、バケツをひっくり返したような激しい雨が降ってきた。あまりのすごさにしばらく様子見。
小雨になったところで室堂へと歩き出した。雨が降っていても観光客は傘をさしたりコンビニカッパを着て散策しているが外国人観光客がかなり多い。
実は剣沢小屋にもネパール人の従業員が働いているし、近くの文登研の建物工事現場にもネパールから来ている・・・という作業員がいた。ネパール
ではナムチェバザールの上の集落に家がありガイドをしていたと話しており、日本語と英語とネパール語で意思の疎通は十分できた。ネパールでは
仕事が無いため日本に来て働いているようである。ナムチェバザールなら行ったことがある・・・と言ったらひじょうに喜んでいた。

室堂ターミナルへ行く途中で雷鳥を発見した。実はこの雷鳥を見た・・・という報告を室堂にある自然保護センターに報告するとステッカーがもらえる。
こんなことは全く知らなかったのだが、同行して頂いたガイドの佐伯知彦氏に教えてもらった。さて室堂には13時40分に到着。雨は小雨でよかった。

3日間の剣沢までの山行だったが、3日間滞在していてスカッと晴れる日が一日も無いというのはちょうど季節の変わり目の良くない時期に当たったようだ。
次回は9月末から10月初旬にかけて登山の予定である。本番の時は晴れてくれることを願うのみ・・・

(今回歩いたルートのGPS-DATA)
この日のうちに立山駅→JR富山駅→福井駅へと帰って来たのだが、大雨の影響で列車のダイヤは大幅に乱れた。
2時間以上の遅延となり特急料金は払い戻し・・・福井駅へは20時過ぎに到着したが、電車の中で座っているだけでも疲れた・・・

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