2013年2月28日〜3月2日
 快晴のち吹雪!北アルプス西穂山荘

久しぶりの北アルプス西穂山荘へ行く機会がやってきた。というのも職場の山岳研修・・・これは登山技術の習得と中継技術の向上を目指して毎年
1度開催されているものである。私が担当しているときは西穂の他に夏の御嶽山や残雪春の立山などで実施している。2月終わりから3月にかけての
この時期は冬山シーズンであるが、北アルプスで唯一通年営業している西穂山荘をベースに行動すればこの時期でも快適な行動が約束されている。
西穂高岳

2月28日 名古屋→新穂高温泉→西穂山荘
2月28日朝7時に名古屋を出発。東海北陸道を北へひた走る・・・この道は名古屋に単身赴任していたときはよく山へ行くのに利用していた道である。
高山経由で新穂高ロープウェイ乗り場に到着したのは11時である。この日は気持ちのいい快晴で荷物を準備する間もウキウキとしてくる・・・
昼食をとって13時30分にロープウェイの西穂高口駅から歩き出す。しばらくは雪の中に歩道が作られた雪の回廊を進み、山荘へと続く山道に入る。
ロープウェイの展望台白銀の世界雪の回廊を進む西穂山頂が見える
今回はガイドの方2名を入れて21人の大所帯である。しかも女性が5人含まれる。今まで男ばかりの山岳研修だったが、一気に5人とは驚き。
その分荷物の負担がこちらに回ってくるのではないかとハラハラしたが、そういうことも無く軽めのザックで雪の中を進む。登山道は多くの登山者が
すでに歩いたのであろう、固くしまってツボ足で歩くことができる。時々休憩を入れながらゆっくりペースで15時50分に西穂山荘(2385m)に到着。
快晴の雪上歩きは楽しい山荘着山荘の積雪は7mとか?
この日は素晴らしい快晴であるが、明日以降の天気は期待できない・・・という判断のもと快晴時の周囲の景色を収録しておかねば・・・ということで
私とディレクターそしてガイドのI氏とともに、ここから30分ほど上の丸山へカメラを持って上がることとする。早く登らないと日が沈む。気は焦るが
高所でもありなかなか思うように体が言うことを利かない。そうこうしているうちに南アルプスの裏側に富士山が見えてきた・・・その富士山を何とか
うまく撮影しようと丸山をさらに進んでちょっとしたピークで撮影することにし、ザックからカメラを取り出す。日が沈むまでに見える景色をすべて撮影し
17時10分に現場を離れる。後で聞いたらこんな素晴らしい天気の日はそうないらしく山荘の方もここまで上がってきてシャッターを押していた。
独標方向チラリと見える富士山日没は近い向こうは乗鞍と焼岳
上高地と乗鞍岳白山に沈む夕日
天気のいい日と言うのは何を見てもいいものである。白山に沈む素晴らしい夕日を眺めていただく夕食は最高であった。

3月1日 西穂山荘→西穂独標へ
早めに朝食を済ませ西穂独標(2701m)を目指して西穂山荘を出発する。歩き出す前に全員ハーネスを付け歩き方をガイドの方から指導を受ける。
この山荘から上部のルートはクラストした雪面と岩稜が続き細心の注意が必要である。8時に西穂山荘を歩き出した。
山荘前で準備アイゼンを付ける急斜面を上がる丸山を越えた鞍部
上部へ行くにつれ傾斜は急になってくる。さらに稜線に出た途端、北西の風が強力に吹き出してきてちょっと気を緩めていると飛ばされそうになる。
笠ヶ岳と抜戸岳登りはつらい・・・風も強い
丸山を上がったあたりで、一人の女性のアイゼンの調子が悪く、付け直しても外れる可能性が大きく危険なために付き添いで山荘まで下山することになった。
山荘まで一緒に降りてまた丸山まで登りかえす・・・が、他のみんなはすでにかなり上まで上がっている。相当な距離離されたが10分ほどで追いつくことができた。
追いついたのはよかったのだが、独標ほんののわずか手前のピークへ出たところ突風が急に吹いてきて全員飛ばされそうになる・・・それでも少しずつ上がろうと
したのだが、強風は一向に止む気配が無い。先頭を歩いていたガイドのU氏が「これは危険だ!こんな状況で独標は登れない!」と言う判断で、独標一歩手前
のところまで来たのだが、撤退することになった。全員耐風姿勢をとっていたが、この号令を合図に全員下山開始。あとでGPSを確認したら標高2600m付近まで
登っていたことがわかった。今までの経験で行くと独標に登れる確率は3分の1もしくは4分の1と言ったところだろうか?天気の悪くない日でも強風だと難しい。
全員耐風姿勢下山下山
天候はいいとは言えないが、やはり風が強すぎる・・・バランスを崩したところへあの強風がやって来ると稜線から吹き飛ばされかねない・・・
ここまで降りれば安心山荘に到着山頂方向は見えなくなってきた
11時西穂山荘に到着。周辺で雪上での滑落停止訓練や歩行訓練をして翌日放送用のカメラ位置等を確認後昼食にとりかかる。昼食は毎回恒例の特製カレー!
このカレーがまたウマイ!人参なんかはものすごく大きく切ってあるのだが、芯まで柔らかくそうとう長時間煮込まれていると見た。今回は21人で米2.5升とカレー
50人分を軽く平らげた・・・というから半端じゃない。若い人が多く3杯4杯とお代わりする人多数。(女性陣もみんなお代わり)ちなみ私は2杯目で満腹でした・・・
カレー!福神漬けもたっぷり機材設営機材設営女子も頑張る
食事後は担ぎ上げた放送機材の設営。ひとつひとつザックの中からとり出し接続していく。何しろカメラ2台しか使わないと言っても地上で使用する中継車
1台分に相当する機材を組んでいくわけなのでそこはちょっと大変。しかも午後からの天候は最悪・・・猛吹雪となり外には出られないため室内でチェック。
カメラにかなりの機能を負担させるためイッパイつく夕食はハンバーグ食事後は気象講座
18時からは夕食だったが、この山荘の支配人でもあり、また気象予報士でもある粟澤氏より山の気象について実にわかりやすく説明していただき、我々一同
納得。その後は山岳ガイドのU講師よりスポーツとして見る登山について体験と理論に基づく説明があった。とくに山での水分補給について興味深い内容だった。
登山の運動生理学では1時間の行動で体重1Kgにつき5gの脱水が生じる。すなわち体重70Kgの人が8時間行動すると2800ccの水分が必要になる・・・
ということである。これだけの水分を一度に摂取するのは難しいので、行動中は少しずつでもいいので水分摂取を心がけなさい・・・というものである。この話は
すべてのスポーツに言えることなのだが、登山においては低体温症や凍傷にもつながり、あらゆることが水分摂取につながってくる。実に興味深い話だった。
食堂での濃い話のあとも部屋に戻ってさらに濃い話が続く・・・早朝から深夜まで一日が長い。歳をとってくるとつらいはずだが山にいるととても楽しい。

3月2日 西穂山荘からOnAirその後新穂高温泉→福井へ
朝5時起床、外は当然のことながら真っ暗である。恐る恐る外を見るとやっぱり猛吹雪・・・誰も外に出たがらない。しかし外のカメラは出さないといけないので
頃合いを見計らって外へ出てみるが、これは厳しい!仕方がないので外のカメラは当初の予定より山荘に近いところで木の影になる場所とし、雪のブロックを
切り出してカメラの風上に積み上げる。さらに下へも掘り進んで北西の厳しい風にカメラマンが直接さらされないよう環境を整える。(と言っても気休めだが)
山荘の外は極寒!高さ4mの巨大雪だるま
そんな厳しい環境の中でも放送時間は確実に迫ってくる・・・6時40分頃に全国放送、引き続き7時30分に30秒ほど、7時40分頃にも6分間ほどのONAいrを
こなすが、外で作業をする人はホントに大変!−13℃という気温の中、吹き荒れる風をものともせずにひたすら忍の一字である。私も外でブロックを積んだりして
作業を行っていたが、放送中は室内に待機しひたすら外の様子に注意を払っていた。風は一向に止む気配は無くますます厳しくなってくる。暖かい山荘の中と
外ではまさしく天国と地獄である。温度差40度以上はあるだろう・・・それでも困難であればあるほどそれをやり遂げたスタッフの表情は満足げである。
ご褒美?という訳ではないが朝食は普通の朝食メニューではなく名物西穂ラーメン+ライスにして、冷え切った体を中から温める。これは実においしかった!
特別に朝食にしてもらった西穂ラーメン山荘を後にする雪の中を下る
朝食後は機材をすべてパッキングし直し重いザックを再び担いで9時35分下山開始。相変わらず吹雪いていてロープウェイが動くかどうか心配であったが、聞いた
ところでは午前中は運行しているとのこと。お世話になった西穂山荘の方たちに見送られて歩き出した・・・が下山する方向はもろに風に向かって行く方向でもあり
これまた樹林帯に入るまでのしばらくはかなり厳しかった。11時30分ロープウェイ乗り場到着。女性の髪の毛は白くなって凍っていた。下る途中にも何組か登ってくる
登山者と出会ったが、実は我々が下山したあと強風のためロープウェイは運行を中止した。日帰り・・・と言う人もいたので山荘に宿泊したのか?少し気にかかる。
山荘従業員の方々(朝食中失礼)
西穂山荘を訪れるのはほぼ2年ぶり・・・山荘に着くと懐かしい顔が見え、まるで自分の家に帰ったような気分にさせてもらえる。
これから先いつまで登ることができるかわからないが、いつまでもそのままであり続けてほしいと思うのは私だけだろうか・・・
そして今回一緒に登った職場の仲間達はこれからもずっと登り続けてくれるだろうか?

2011年3月26〜27日 新雪!西穂山荘から西穂独標へ
2010年3月4〜6日 快晴!西穂山荘から独標へ
2009年2月28日〜3月7日 2週続きで北アルプス西穂山荘へ
2005年3月3日〜5日 北アルプス西穂山荘冬山訓練


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