2011年10月14〜15日
日本の秋を歩く 北アルプス鏡平〜双六岳

昨年仕事でも登った北アルプス鏡平から双六岳のルートを無性に歩きたくなった。それは、昨年登った時期が紅葉の最盛期にはちょっと早かったことと、あの時に
お世話になった山荘の方たちにもう一度会いたくなったからである。計画段階では双六岳から西鎌尾根を歩いて槍ヶ岳まで縦走し、そこから槍平経由で新穂高温泉
まで歩いてみよう・・・と思っていたのだが、あいにくの天候で双六〜鏡平間の往復だけになってしまった。
秋色
10/14朝4時起きで福井の自宅を出発したのは4時20分。大野から岐阜県白鳥町までR158そして東海北陸道を走って高山経由新穂高温泉到着は7時25分。早朝の
道はどこも空いていて走りやすかったが、思っていたよりも早く到着できた。天候はいい兆しではなさそうだ。山の上の方は白くガスがかかっているが、所々青空を望む
ことができる・・・用意をして7時45分新穂高温泉から歩き出す。単独行なので何も気にすることなく気の向くままにどんどん林道を歩く。8時45分ワサビ平小屋到着。
去年と違ってここのあたりの紅葉は素晴らしい!もっと多くのハイカーに出会ってもいいのだが、ここまでで出会ったのは2人のみ。いくら平日とは言えちょっと少ない?
林道から見える紅葉ワサビ平小屋目指す鏡平方向素晴らしい石畳?の登山道が続く
昨年は何度も歩いたこの道を1年後歩いてみると、いろいろなことが思い出され懐かしい。林道を外れてからは石がきれいに並べて作られた登山道に入る。
小屋の従業員の方たちが整備された道だろうが、素晴らしくきれいに(芸術的感覚だ!)つくられている。紅葉はこの高度では今が最盛期のようでどこも美しい。
最盛期の紅葉
重い荷物を担いで上がったこの道も今は懐かしく思える。シシウドヶ原を10時50分に通過して鏡平(2300m)には11時30分に到着した。通常のコースタイムだと
新穂高温泉〜鏡平は5時間30分なので少しは早いペースで登って来れた。鏡平山荘は翌日の宿泊で小屋じまいのため、その準備に追われていた。テラスの机や
ベンチは取り払われ、小屋には雪に備えて突っかい棒が至る所に立てられている。中に入って挨拶すると懐かしい大沢支配人や昨年お世話になった方たちの懐か
しい顔が見える。皆さん再会を喜んでくれた。食堂に入れてもらって昼食をとりしばらく話をしていると雨が降り出してきた。天気は悪い方向に向かっているようだ。
明日は恐らくもっと悪くなるだろう・・・と思い、今日のうちに双六岳(2860m)の山頂まで登ることにして、鏡平山荘を12時25分に歩き出した。このあたりの標高になると
すでに紅葉は終了していて、大沢支配人の話によると今年の紅葉は早くに寒波が到来してピークもなく終わってしまった・・・ということであった。
紅葉はすでに終了雪の備えての突っかい棒が至る所に静かな鏡平だった
この鏡平に登ってくる途中に出会った登山者は7〜8名くらいで思っていたよりは、はるかに少なかった。これから上部もこの調子では出会う人は少ないだろう。
雨は山荘にいる間にタイミングよく止んでくれていた。一気に登り弓折乗越には13時5分に到着。ガスで何も見えなくなってしまった。弓折乗越からは、そうきつい
登りはもうない。視界はほとんどなかったが、幸い雨にあうことも無く順調に双六小屋まで進むことができた。双六小屋到着13時55分
双六小屋への道は真っ白ようやく小屋に到着数日前に降った雪が残る双六山頂
小屋の中は静まりかえっていて従業員の方たちも休んでいるのか?玄関で少し休憩させてもらって14時双六山頂へ向かうことにした。雨は少し降り出した
ようだったがそんなにひどくはない・・・今のうちに登ってしまおう・・・と思って歩き出したのだが、稜線上へ出たら激しい風雨!しかも山頂に近づくにつれ強くなる。
山頂稜線には先日降った雪が少し残っていたが、気温はそれほど下がっていない気がする。14時55分双六岳山頂(2860m)到着。当然誰もいない山頂である。
山頂へ着いた証?としてセルフフォトを1枚だけ撮ってすぐに山頂から逃げるように下山開始。風はますます強くなりメガネは雨でまったく見えなくなる・・・
駆け降りるようにして30分ほどで小屋に戻ることができた。ここの山頂からの下りはだだっ広い稜線なので、時々GPSで方向を確認しながらの下りとなったが、単独行
というのはやはりちょっと心細いものである。双六小屋でも昨年お世話になった従業員の方が見えて、再訪を歓迎してもらった。小屋にはすでに先客があり滋賀県から
いらっしゃった、というご夫婦が談話室で休んでおられ今夜の宿泊客は私を含めてたったの3名!のんびり過ごせる山小屋宿泊となった。外は激しい風雨で窓から
見る限り今日は誰ももう来ない・・・と思っていたらサプライズがあった。受付に外国人が一人やってきた。ずぶぬれになりながら小屋の従業員に「槍ヶ岳の殺生ヒュッテは
営業しているか?」と尋ねているようだった。「WhereYouFrom?」と聞くと「England!」ここには何人泊まっているか?と聞いてきたので「3人だけだ」と言うと彼は
「Iam Camping!!!」と。この悪天候でテント泊とは!次の言葉が出なかった・・・従業員の人たちと思わず顔を見合わせてしまったが、無理に小屋へ引き留めても
仕方ないので「明日も天気は良くないから気をつけて」と見送った。夕食まで時間が少しあるのでBEERでも飲みながら本でも読もうと思い談話室の書棚を探したら
横山秀夫の「クライマーズハイ」が目にとまった。かつてテレビドラマで佐藤浩市の主演した新聞社の話である。ドラマは見たが原作はまだ読んでいない・・・
ちょっと分厚いので読み切れないかも知れないか、こういう日はゆっくりBEERでも飲みながら読書に限る。
楽しみの時間談話室でゆっくり夕食メインは天ぷら広い部屋を独り占め
夕食はいつもの食堂ではなく3人だけなので談話室でとなった。談話室の方が部屋が小さいので暖かく、お客さん同士和気藹々とゆっくり食事を楽しんで下さい
という小屋の方の配慮であった。ところで、小屋の受付には「BEERは売り切れました」と表示してあったのでがっかりしていたのだが、実は宿泊客のために先日
ボッカで上げてきました!といううれしい答えが返ってきた。山でBEERが無いのは山に来るな・・・ということに等しい。缶BEERを2本頂いてあとは焼酎お湯割りで
楽しい時間を過ごさせて頂いた。滋賀県からのご夫婦は9月にも来られたらしく明日も天気は悪そうなのでもう一日停滞するとのこと。これまでにもよく来ておられる
そうで昨年の双六岳、今年の涸沢もおととしの槍ヶ岳からの放送もすべてご覧になられたそうでこちらとしては頭の下がる思いだった。9時の消灯前に部屋に戻り
寝る準備をするが、だだっ広い部屋に一人で寝るのはちょっと落ち着かない。消灯後もヘッドライトをつけて「クライマーズハイ」を読み続けたが、朝早かったこともあり
10時前には寝てしまった・・・と思う。夜中ふと目が覚めるととものすごい風で小屋の建物が揺さぶられていた。あのイギリス人はテントでどうしているだろうか?と
思いながらもまた寝てしまった・・・
荒れた朝
翌朝目が覚めて外を見るが、相変わらず風雨が強い。玄関先にあったベンチは倒れて元あった場所から離れた所まで飛んできてしまっている。6時の朝食を終えて
下山にかかるには、まだあまりに天気が悪くちょっとリスクが大きい。BSで放送の天気図を見ると、もう少しで雨雲が抜けそうな気配がありここはしばらく待つこととした。
幸い読みかけの「クライマーズハイ」がまだ半分以上残っている。朝食後はストーブのそばで座布団を枕に横になって、読書の秋・・・となった。時々外の様子を見に
出る程度で、こんな日は誰も登って来ないし誰も外へ出ようとはしない。(まあ当然と言えば当然だが)それでも、9時を回るくらいから雨足が弱くなり10時前には雨が
止み風も弱くなった。いつまでもごろごろしている訳にもいかないので10時5分に双六小屋を出ることとした。玄関に出ると、滋賀県から来たというご夫妻と小屋の
従業員みんなが見送ってくれ、ちょっと去りがたい気分になった。
山小屋の朝食は本当にスタミナ満点!最後に見た双六小屋ライチョウ発見!
雨は止んだといってもガスはまだ残っているので視界はあまり良くない。こういう日はどこを歩いていても何も見えないので面白くないのだが、弓折乗越の手前で目の前に
突然ライチョウが現れた!まだ子供のようだったがまだら模様の体が美しく、しばらく写真を撮るのに夢中になってしまった。こういう日は確かにライチョウとは遭遇しやすい
環境にあるが、生息域は小屋から上とばかり思っていたので、まさかこんな稜線で出会うとは思ってもみなかった。双六へ来て初めてライチョウも見れ今回はラッキーだった。
11時15分に鏡平山荘に到着。小屋の方たちに挨拶して来シーズンにまたお会いしましょう・・・と別れた。昨日宿泊していた人は今日も停滞で泊まります・・・
と言っていた。鏡平山荘は今日の宿泊までが今シーズンの営業最終日である。秋の日の最後をこの鏡平で過ごすのもいいかもしれない。

この鏡平へ降りてくるまで出会ったのは一羽のライチョウだけ。ここからの下りでは今度は人に出会うだろう・・・と思っていたがこの日も少なかった。天気は回復傾向
のようで、時々日が差してくると山の紅葉が輝くように見える。しかし、登山道は昨夜降った雨のせいで沢のようになり足を置く場所を考えながら下らないと靴が濡れて
しまい要注意である。足元に気をとられがちだったが、鏡平から下の紅葉は美しくちょうど見ごろだった。
鏡平とも来シーズン沢と化した登山道紅葉は降りてくるほど美しい
海抜1800mくらいか
ワサビ平の小屋には13時30分に到着。昼食にラーメンを頂いて新穂高温泉に着いたのは14時50分。鏡平での紅葉にはちょっと遅かったがこのルートは
他と違って小屋の方の印象がものすごくよく、天気は悪くてもなぜか暖かい気持ちになれる。小屋の方に聞いた話だが、双六小屋に去年アルバイトで来ていた
A君は石巻市出身で今回の津波で被災し、家族の一人が亡くなられたとのこと・・・同じ小屋に勤めていた仲間同志でボランティアに行ったとのことだった。
A君は小屋の中でも若くて明るくすごく気持ちのいい青年だった。受付を任されていて宿泊客が帰るときは、いつも見えなくなるまで見送るんです・・・と言っていた。
3・11の震災はいろいろなところに影を落としていた。彼の顔を今回見ることができなかったのはちょっと残念ではあったが、また来シーズン会いに行ってみたい・・・

福井に帰ってきてから、無性にあの「クライマーズハイ」の続きが読みたくなって
図書館で借りてきました。やっぱり途中でやめるのはよくない。
今回の歩いたGPS-DATA
(今回歩いたルート双六山頂まで片道約17km)

2010年9月26〜29日 今日も荷物が重い!北アルプス鏡平〜双六岳登山 
2009年10月3〜4日 ヘシコ登山隊 鏡平へ行く

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