2011年8月2〜5日
やっぱり日本一!夏の富士山

「夏の富士山」と聞くと、つい最近までは大ブームとなり猫も杓子も富士山へ・・・という感はいがめず、実は我が家の娘達もその波に乗って登った口である。
その当時のブーム・・・と言えばそうなのかも知れないが、今でも富士山登山の人気はそう衰えるものではないだろう。一番流行した3年前にも登った富士山
であるが、今回またしても仕事で登れる機会がやってきた。山の仕事を長い間続けていると、数少ない山の仕事があるときにありがたいことにすぐに声を
かけてもらえる。それは単に山の仕事を多くこなして山をよく知っている・・・と言ってしまえばそうであるが、こと富士山となると話はちょっと変わってくる。
何と言っても3776mという高度で、安心して仕事ができる人というのが絶対条件となる。この高度になると稀に酸素の薄い高地に順応できず、やむを得ず
下山しなければいけない・・・という事態に陥る場合もあり少ないスタッフと機材をやりくりする中で、必然的に高地に適応でき実績のあるメンバーが集められ
る・・・というような訳である。今回は沖縄に台風が接近しつつある中、不安定な天気ではあったが、ある意味日本一の山、富士山を体感することができた。
富士山 右側が山頂
8/2に福井を出発して新幹線で新富士へと向かう。この日は5合目に宿泊する。五合目と言ってもすでに標高は2400m!とりあえずこの高度で一泊して体を
高地に慣らしていく。これは高地順応するための基本である。一見すると無駄なことのように思われるかも知れないが、日帰りで富士登山するのと違い、山上
で何日間か仕事をしなければならない我々にとってはひじょうに意味のある滞在なのである。夜は21時消灯、山の夜は早い。

8月3日(水)登り
朝5時起床。外は完全に明るくなっていて快晴!6時から朝食をとってこれからの登りに備える・・・と言っても今日はブルドーザー乗車で富士山頂を目指す。
この五合目レストハウスお土産屋さんも一緒にあり車で来ることもできるのだが、食事は完全に山小屋状態。すでに山モードに入っている。
5合目の朝食これから行く山頂方向駐車場はすでにイッパイ
朝食を終え五合目レストハウスから出ると、、快晴で山頂の建物までスカッと見渡せる。駐車場は平日にもかかわらず、すでに車がイッパイで富士山の人気の
高さがわかる。我々は機材と一緒にブルドーザーで頂上を目指すため、ブルドーザーの登山口に向かう。今まで富士山へは何度か来ているが、ブルドーザーで
登るのは初めての経験である。富士山の山小屋や、かつてあった測候所への荷上げに使用していることは有名であるが、果たして乗り心地はどうなのか?
バケットに機材を積み込む戦車のようなブルドーザー
富士山の荷上げ用ブルドーザーは前のバケットにあたる部分と、後部にも荷物が載せられるようになっていて、一度にかなりの(数t?)荷物を上げることができる。
運転手席は一人用であるが、その左右横に3人ずつ座席がありもろにホコリを被るが6人が座れる。また荷物をすべて前のバケットに載せることができれば、後部の
荷室にも何人か乗ることができ、一度にかなりの要員+荷物を上げることができるのである。と言っても、わずかな時間で3700mもの高度に達する、ということは
高山病に対してはひじょうに良くない・・・という訳で、最近富士山に登って高所順応ができている者と今まで高所を経験して高山病にかかったことがない者を厳選?
してのブルドーザー登山となった。1t以上?の機材と人を載せて7時35分ブルドーザーは急坂を上がりだした。中はエンジン音がうるさく何を言っても聞こえない。
また、巻き上げるホコリと振動はなかなかのもので時々現れるスイッチバックのところでは、切り替えしをしながら高度を稼いでいく。
そして、どんな坂でもグングン気持ちよく登っていく。(当たり前のことであるが)一気に頂上まで上がってしまうのは、体にもあまりよくなさそうなので、途中九合目の
万年雪山荘(3460m)で一息入れての登りとなった。九合目着8時55分、1時間半でここまで登って来たことになる。
ブルの中から急斜面を登っていくブルドーザー山頂富士館横の広場に到着
九合目で一息入れて、頂上の小屋富士館裏の広場に着いたのは10時5分である。歩いて登るのと違って体は楽だが何か物足りない・・・
山を汗をかいて登ってきた充実感がないのである・・・今回は仕事で来ているので、そんなことは言ってはおれないのだが。
とにかく多くの機材をブルから降ろし、整理して並べる。あとから歩いて上がってくる人たちが到着する前にひととおりの仕事をしなければいけない。今回は浅間大社
奥宮の一角をお借りして、放送用の機材を組み上げる。中継車1台分の機能をここに組み上げるのも、数多くの現場をこなしてきているのでそう苦にはならないが、部品
ひとつでも下界に忘れてくると放送が出ないこともあり緊張の一瞬でもある。(しかし、人が担いでくるのでなくブルで上げれるので今回はかなり楽である)
多くの機材臨時の放送用スイッチングルームを組み上げる山頂浅間神社前の賑わい昼食のおにぎり
途中で昼食休憩をとりながら作業を進めるが、悪いことに雨が降り出してきたりして作業は夕食時まで続けられた。なお、今回は食べ物の写真がよく登場してくるが
この富士山では、どんなものが食べられるのか?ちょっと注意して見ていただきたい。この日の昼食は五合目レストハウスで作ってもらったおにぎり3個である。
雨の中での作業となったが、何とか作業を終え17時半山小屋である頂上富士館に入り夕食となる。頂上富士館は富士山本宮浅間大社奥宮の鳥居前に位置しこの
あたりで唯一営業している山小屋である。収容人数は150人とのことだが、結構込み合っている。夕食はカレーで盛り切りイッパイのみである。さらにこの山小屋
アルコール類の販売は一切やっていない。高山病やその他高度の影響を考慮するとこれは正しい判断かも知れないが、私にとってはややさびしい気もする・・・
左が頂上富士館 右が浅間大社夕食のカレー消灯19時!
ちなみにこの頂上富士館消灯は何と!19時である。幅50pほどの特注布団で全員びっしり一部屋に固まって早々に就寝。ここでの状況はよくわかっていたので
3年前に来た時と同じように薄いシュラフ(インナーシュラフ)を持参し、そのシュラフに潜り込んで上から布団をかけて眠る。ここのところ朝早かったり夜遅かったり
不定期な時間だったことと、高地での作業疲れですぐに寝ることができたようだが、深夜ふと目が覚めると「イビキ」の嵐?だった。

8月4日(木)放送
富士山の朝は早い・・・朝食は4時からなので、まだ真っ暗の3時半くらいから皆さんゴソゴソやり始める。つられてこちらも起き出し4時に朝食をとることとする。
朝食はふりかけと漬物山小屋の前の駒ケ岳はたくさんの登山者でイッパイ
簡単な朝食を終えて、小屋の前に出るとご来光を見ようという登山者でイッパイ!これは驚きである。山小屋に宿泊していた人以上の数で、下からこの時間に合わせて
登ってきたのか?小屋の前は大渋滞。この日の業務開始時間は5時からなので、仲間を募って富士山頂である剣ヶ峰まで登ることとする。剣ヶ峰まで人の列が続く。
ヘッドランプを点けて4時15分に歩き出す。途中ふもとの富士宮市の夜景が美しく見えるが、剣ヶ峰付近は多くの登山者で賑わっているようだ。
ふもとの街明かりみんなヘッドライトを点けて上がっていく山頂
剣ヶ峰頂上には10分ほどで到着した。ここには100人くらいの登山者がご来光を今か今かと待ち焦がれているようだが、ツアーで登ってきている団体さんが多い
ようで「○○ツアーの方、お集まりくださ〜い」とメンバーを呼んでいるツアーリーダーがいる。ちょっと早く着いたので旧測候所の脇で休んでいたが、どんどん登って
来る人が多くなり、帰りが大丈夫か不安になってきた。日の出は4時45分頃ということだったが、これだけの人数が一気に動き出すとちょっと大変だ。業務開始に
遅れるといけないと思い、いったん下山して小屋近くの三島岳の上でご来光を拝むこととした。
山頂は人がイッパイ富士山頂三島岳からのご来光
朝焼けの中から上がる太陽は神々しくもあり、日本最高峰の山の上から眺めている・・・ということでかなり満足できるものだった。さて、5時から業務開始。
ハイビジョンのカメラを持って再度三島岳に登りなおす。ほんの50mほど登りかえすだけなのだが、この高度でこの三島岳まで何往復かするのは実につらい!
何回か休みながら上がるが素晴らしい景色がその疲れを癒してくれる。眼下は見渡す限りの雲海!(焼酎ではない)おまけにその雲海に影富士が現れた。
富士山頂と影富士ふたつのピークが同時に見えるというのはラッキーだった。
影富士
この日は、朝7時半頃から最初のOnAirのあと8時前、10時前、12時台、14時台、18時台と連続の放送とリハーサルが続き息つく暇もない・・・
(静岡県以外で見ておられた方は7時台と14時台の放送しか見られなかったと思いますが、実際はものすごくたくさん放送はあったのです)
朝7時台の番組ではこの日に山頂にある浅間大社で結婚式を挙げる・・・というカップルの紹介だったのだが、放送時間帯には周りに多くの登山者が
いて実に多くの人達に祝福され我々も見ていて実に清々しく暖かい気分になった。新郎新婦ともに山が好きで、新郎の誕生日であるこの日に山頂
結婚式を挙げる・・・と決めて今日になったとのこと。素晴らしい!ずっと幸せでいてほしいものだと、心の中で願う・・・でも参加者で山に登るのが苦手な
人は大変だっただろうな〜と、ちょっと考えてしまった。
雲海昼近くになると雲が出てくる山頂方向ここで結婚式を挙げるカップル
お昼の23分番組を出して、その後14時台の番組のリハーサルを行い結局昼食にありつけたのは14時半頃。しかし、昼飯は「赤いきつね」いわゆる
カップヌードル1杯のみ・・・いやあ〜これには少々参ったけれども、ここは山の上。贅沢は言えない、足らない分は持ってあがったスナック類で補う。
18時台最後の放送を出した時には雨が降ってきた。富士山の上での雨はつらい。風もあるので雨量は少なくても、すぐに体中がびしょ濡れになってしまう。
でもここまで何とか降らずに済んでよかった。午後は雲も多くなってきたのだが、OnAirの時だけ雲が切れて我々は実についていた。
そして夜は19時前に例によって昨夜と同じカレーが出てくる。腹が減っているのでお代わりしたいところだが、ここでは盛り切りイッパイのみのお約束である。
空腹はカロリーメイトで癒すしかなかったのである・・・
豪華ランチ?福神漬けがない・・・
そして、カレーは好きなのでいいのだが、この日のカレーには福神漬けがなかった・・・昨夜のカレーにはあったのに・・・この点については皆同意見で、私の分だけ
福神漬けがないわけでもなさそうなので、単に忘れられたということもでない気がする。在庫がなくなったか!?それにしても残念!カレーに福神漬けはつきものだ。
とまあ、いろいろ愚痴をこぼしても仕方なく、すぐに消灯時間なので19時半には布団の中に入る。そしてこの日はなかなか寝付けない・・・と思っていたら一人隣の
誰かが「グオゥ〜」と巨大なイビキ!こりゃ参ったな〜と思っていたら、私の隣のS君も「ガォ〜」と始まってしまった。やられた!まるで動物園である。これは寝れない。
他の皆様も同様のようで、布団をかぶりなおしたり寝返りを打っているようだ。時間はまだ21時である。同じ部屋に30人近くが寝ているので、これはもう運命共同体。
こうなったらどうしようも無い・・・と思っていたらいつの間にか寝てしまっていた。しかし、このイビキのひどい人に限って朝起きると「昨夜はよく「寝れなかったなぁ〜」
と言うので始末が悪い。他のみんなからブツブツ言われてもこれはしょうがない。

8月5日(金)下山
例によって朝3時半くらいからゴソゴソと始まる。4時に朝食、これまた昨日と同じふりかけ定食である。昨日の天気予報では雨らしい・・・という情報で、雨にぬれても
大丈夫なように完ぺきな雨対策をして表に出る。4時半から昨夜できなかった機材の撤収を全員で行うが、この時は細かい霧雨が降っていた。機材の撤収は雨の中
とは言え意外にも早く終わり1時間ほどですべて梱包し終えた。迎えのブルドーザーは10時半頃・・・ということでここでやっと空き時間ができた。そこでせっかくここまで
来たのだから御鉢巡りをやろう・・・と誰からともなく声が上がり、下山開始までの間の時間を有効に使って火口を一周する御鉢巡りにスタートした。通常は1時間くらい
かかるとされるこの御鉢巡り、スタートする頃には霧も晴れて快晴となり絶好の富士山日和となってきた。前に来たときは浅間神社から東に向かって一周したので今回は
西回り頂上剣ヶ峰から回っていくことにして5時45分歩き出した。
浅間神社歩き出し雲海を背に山頂へもう少しで山頂いつも賑やかな剣ヶ峰山頂
雨上がりは美しい山頂から西安河原ブロッケン現象後ろに見えているのが山頂
万年雪富士吉田側頂上大日岳付近後方剣ヶ峰山頂
この御鉢巡りは素晴らしくよかった。というのは、朝方まで霧雨だったのがスカッと晴れあがり雨上がりのスッキリした景色を見れたことと時間帯が
早かったことで光線の具合がひじょうに良く、今までの富士山のイメージを払しょくするような素晴らしい景気が繰り広げられたからである。
スタート地点とは反対側の吉田口頂上には、多くの宿泊施設や売店が立ち並び富士宮側とは一線を画している。どこの小屋の前を通っても、客の
呼び込みや売り子の声がかかり登山者の数も多い。さながらネパールのどこかのバザールのようなイメージである。
左剣ヶ峰山頂山頂と火口
一緒に歩いた仲間富士吉田側も雲海浅間神社が見えてきて一周終了
7時に無事一周を終えスタート地点の浅間神社前に戻ってきた。ゆっくり歩いて1時間15分、いい時間である。この日は富士山が頑張った我々
スタッフに「お疲れ様〜」と言っているような?そんな素晴らしい天気だった。そのおかげで、この富士の自然の素晴らしさを垣間見れたような
気がした。今まで特にいい印象もなかった富士山だったが、この日の朝の富士山は今までのイメージを払しょくするような素晴らしさがあった。
こんないい日にはなかなか遭遇することがないのかも知れないが、富士山に登ったら朝のうちに是非御鉢巡りを体験されることをお勧めする。
下山開始雲海に向かって降りていく
7時半下山開始。下りはブルドーザーではなく歩いて降りる。登りはいいのだが下りというのは勢いよく降りてしまうと膝を痛める。そのため毎回この
下りには神経を使う。おまけに溶岩の溶けたごつごつした岩で靴はボロボロになってしまうため、足の置く位置をよく考えて進まなければならない。
さらに登ってくる登山者との擦れ違いもあり思うように下らせてはくれないのである。まあ、焦ることはない、ゆっくり降りればいい。
この後は7時45分 九合五勺/8時 九合/8時半 八合/9時 元祖七合/9時20分 新七合/9時50分 六合といった具合に降りていき
五合目のレストハウスには10時5分に到着した。山頂付近は森林限界を超えているので、まったく緑はなく岩と土と雪だけの無機質な感じだが
七合目くらいまで降りて来ると緑が少しずつ増えてきて空気がうまく感じる。やっと下界に降りてきた・・・ということを実感し体も軽くなる気がする。
 さて五合目から新幹線新富士駅まで富士スカイライン(週末は交通規制があるので要注意)を車で走り、福井には17時過ぎに帰り着いた。
3泊4日の富士山だったが、新幹線や走っている車の窓からは一度もあの富士の美しい山の姿を望むことはできなかった。しかし不思議なことに
富士山の中にいるときは毎日晴れの時間が多く、刻一刻と移り変わりゆく美しい景色を楽しむことができた。富士山はやっぱり日本一の山だ
歩いたGPS-DATA
(今回歩いたGPS-DATA 登りのブルドーザーは含まれていません)

2008年7月25日〜29日 避暑には最高!富士山登山

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