第17夜 サンタクロースの誤算〜「クレイジークライマー」の想い出


 それはもう20年も前のクリスマスの話。
当時ずっと、うちのクリスマスイブは、家族でケーキを食べ、
翌朝起きると枕元にプレゼントが置いてあったものでした。
 子供心に、やっぱり親が置いてるんだろうなあ、と思いつつも、もしかしたら…
などという気持ちが捨てきれない年頃。
 毎年、今年こそはサンタの正体を見てやろうと思いつつも、
10歳の子供には徹夜などかなわず、やっぱり起きると枕元にプレゼント、
というパターンの繰り返し。
これは、そんなある年に起こった出来事です。
 だいたい、うちのクリスマスプレゼントは、
そのとき欲しいといっているものが置いてあることになってるんですが
(その時点ですでに怪しいんだけど)、その年一番ほしかったのが、
LSIゲーム(注:LSDではないです)の「クレイジークライマー」。
これは、主人公「クライマー」が、窓から落とされる植木鉢や鳥の糞などを避けつつ、
高層ビルをただひたすらに登っていくというゲームでした。
ビルの屋上にたどりつくとステージクリア。
その年は、とにかくこのゲームが大人気だったのですが、
クリスマスの夜、目を覚ますと恒例のプレゼントの箱が。
開けてみると中は憧れのスレイジークライマー!!

喜び勇んでさっそくゲーム開始、しようとしたのですが、
レバーを動かしても全然操作できず。
なんとこれが、不良品だったんです。
半泣きで親のところに「壊れてるよ〜」と言いに行くと、
なんと押入れの中から保証書が
「サンタさんからのプレゼントなのに、なんで保証書持ってるの?」と聞くと、
サンタさんから預かったんだよ」の一点張り。
でも、わざわざ保証書預けていくサンタクロースなんているわけないことは、
子供心にも明白でした。
というわけで、ゲームは無事とりかえてもらえたんだけど、
サンタクロースはいなかったことを思い知らされたクリスマスだったのでした。

でも、今考えると、サンタクロースからのプレゼントよりも親の愛情の方が、
はるかにありがたいと感じます、ほんとに。