第72夜 伝説を創ったアクションRPG「ザナドゥ」
ファルコム初期のアクションRPG「ドラゴンスレイヤー」シリーズの第2弾として発表されたこのゲーム、本当に当時のゲーマーたちに大きな衝撃を与えたのです。
最強の敵「キングドラゴン」を倒すために、プレイヤーは10階建てのダンジョン(通常画面・ボスは横から見た視点で、建物内は上からの視点)を冒険していくのですが、このゲーム、そのすばらしい映像とサウンドとは裏腹に、とてもとても難易度が高いゲームでした。
このゲームの特徴は、世界のすべてが計算されている、ということ。
プレイヤーが動くと食料はどんどん減るし、武器は経験値によって、攻撃力がアップしていきます。つまり、使い慣れた弱い武器のほうが、慣れていない強い(値段が高い)武器より強い、ということが起こりうるわけで、武器を買い換えるタイミングにも注意が必要。
それに、敵の数も限られていて、一度倒した敵はもう出てきません。
それならラクでいい、と思われるかもしれませんが、実際は、ゲーム全体で得られるお金や経験地にリミットができてしまうため、とにかく敵を倒してレベルアップし、力技でクリア、ということができないので、逆に難易度を上げる結果となっています。
しかも「カルマ」という概念があって、「善いモンスター」を倒してしまうとこれが溜まっていき、ゲームを進めるのに支障が出てくるし。
マップも複雑で、ほんとうに難しかったんですよ、このゲーム。制約多いし。
ほんとうに、泣きそうなくらい。
正直、僕はやってる最中も、何が面白いのかよくわからないくらいでした。
このゲームとT&Eの「ハイドライド2」は、アクションRPGの2大高峰として、ものすごくヒットしたんですけどね(ちなみに、総売上は「ザナドゥ」の方が上)。
そういえば、このゲーム、当時「ポプコム」というパソコンゲーム雑誌に同時進行レポートというのが載っていて、凄く人気があったのです。
一ヶ月単位の連載ですから、ゲーマーもメディアも、まだまだのんびりとした時代だったんでしょう。
で、結局僕は最後までクリアしてはいないのですが、この大ヒットゲーム、最後までクリアした人って、買った人の何%くらいなんでしょうか?
少なくとも、50%を超えているとは思えないんだけどなあ。
ちなみに、このゲームには、「電話帳のようなプログラムリスト」とか、「製作者は高級外車を即金で購入」なんて伝説もありました。
なかでも、いちばんの伝説は、シャープX1の「ザナドゥ・テープ版」。
当時は、あまりディスクが普及していなかったX1(シャープが昔出していたパソコンの機種の名前)用に、ファルコムは、気を利かせてテープ版を出してくれたのです。
しかし…
これが、一度階段を上り下りして他の階に移動すると、地獄のように長いロード時間に突入し、次にゲームが再開されるのが60分(秒じゃないです。要するに1時間!)後というシロモノでした。
それはもう、「初代ゼルダ」のディスク版で、敵に飛ばされて洞窟に入ってしまったときのうざったさなんて、全然比較になりません。
それでも、X1ユーザーは、喜んで「ザナドゥ」をやってたんですよね。
結局挫折して、フロッピーディスクを買った人も多かったみたいだけど。
逆に、フロッピーディスク普及に一役買ってたりして…