飲み会で拾った、「白い巨塔」への現役医師たちのコメント集
いやあ、けっこうみんな観ているんですね「白い巨塔」。
もっと本格的に感想を書いてみたいのですが、今日は先日の飲み会で話題になったこのドラマについてのいろんな先生の一言感想集などを。
※ 飲み会での話なので、あんまり真に受けて怒ったりしないでね。おねがいします。
(1) 財前は、田宮二郎のほうがよかった!
「役にのめりこみすぎて自殺した」なんて言われているそうですね。唐沢さんは大丈夫なのでしょうか?
(2) あの癌は、手術するだろ普通…
基本的に、「統計上は転移しない可能性が非常に高いと考えられる癌」なのだし、経験豊富な医師がレントゲンで確認しているんだから、あの時点では「手術するのが当然」なのではないか、と。
では、もし事前に検査をして転移だとわかったとして、それで何か治療ができるのか?と問われたら、せいぜい抗がん剤による化学療法くらいで、根治は難しい。
それなら、浸襲のある検査をしたり、徒に時間を浪費するより、手術を早く行って病巣を取り除いてしまったほうがいい、という意見が多かったのです。
「手術したことによって患者さんの苦痛を増した」とは言えるかもしれないが(それはそれで問題だけど)、少なくとも外科的に切除することが「助かるための唯一無二の手段」であったことは確かですし。もし仮にあの肺の病変があらかじめ癌だとわかっていたら、「手術をしないで対症療法」という選択肢になっていただけではないか、と。
いちかばちか、なんて言ったら言葉が悪いですが、ゼロよりは良いはず、なんて。
(3)
俺だったら、財前みたいに上手い医者に手術してもらいたいよ
だそうです。確かに、手術に関しては、人柄より技術優先ですよねえ。両方揃ってたら、言うことないのですが。
(4) あの裁判は、勝てないだろ…
普通に考えて、「財前レベルの優秀な医者がレントゲンで炎症性疾患と判断するような病変で検査をしないで手術をした」からといって、「医療ミス」とは言えないと考えられます。
そういう「普通は考えられない病状」については、医者の判断がその時代の常識にのっとっていれば、「ミス」とはいえませんから。
戦後すぐの心筋梗塞の患者さんについて「心臓カテーテル検査をしていれば助かったはずだ!」なんて病院を訴えられても、それは困るわけで。
もし仮に、「検査をしておくべきだった」としても、「手術のせいで命を奪われた」というより、癌だったら対症療法だけしかできなかったでしょうから、「手術によって、(いずれにしても亡くなるはずの)患者さんの苦痛が増した」という点でしか争いようがないでしょう。
(5) 里見、ヒマすぎ
助教授があんなに直接ひとりの患者さんを診るなんて、まずありえません。おまけに他の科に任せた患者さんの家族に無断で説明するなんて、アンビリーバブルです。よその科の偉い人があんなに徹底マークしていたら、主治医はさぞやりにくかったことでしょう。
あの熱血ぶりはすごいですが、逆にあれでは、他の科の医者は「自分たちは信頼されていないのか?」と思うにきまっています。
(6) でも、世間的には里見が人気
店の人は、「里見先生のような人に診てもらいたい」って言ってました。たぶん、世間的にはそうなんだと思います。しかし、普通の大学の助教授にあそこまで期待されたら、本人たちは悶絶しそうです。
(7)
なぜ、ポーランド?
必然性なし。アウシュヴィッツのことを取り上げるのは良いことだと思うのですが、それがなぜ「白い巨塔」のなかで…?
(8)
悪い予感
しかし、こんなドラマが放映されると、事あるごとに「訴えてやる!」という人が増えるのも事実。「医者は患者さんのお通夜に参列するべきだ」なんて話になったら、ちょっと辛いです。
(9) でも、ついつい観ちゃうんだよなあ…
「あんなの旧過ぎ!」とか言いながら、実は結構みんな観ているんですよね。「ドラマとしては面白い」という意見も。まあ、だからこそ困ってしまう面もあるわけですが。ある意味「世間で理想とされている医者のイメージ」というのを知ることができる機会でもあるわけですし。