第62夜 正義の勇者の最大の敵は…「ウルティマ4」


 もう、そんな時代のことを覚えている人は少なくなってしまったのかもしれないけれど、
今から15年くらい前は、世界のロールプレイングゲームの2大高峰は、
「ウィザードリー」と、この「ウルティマ」シリーズだったのです。
 ダンジョン型RPGの「ウィザードリー」と比べて、
フィールド型の「ウルティマ」は、現在主流のRPGの原型といえるかもしれません。
 簡単に言えば、2次元のマップであらわされた世界を旅しながら、
敵を倒して自分のレベルを上げていき、
最後に敵の親玉を倒して世界を救うというストーリー。

 しかし、この「ウルティマ4」は、明らかに異質のRPGだったのです。
 このゲームの目標は、さまざまな職業のキャラクターが、
聖者「アバタール」を目指すというもの。
(パソコン雑誌「ログイン」には、”バカタール”なんて人がいましたね)
 そのためには、もちろんレベルアップが必要なのですが、
町の人をむやみに殺したり、フィールド上の敵でも属性が「悪」でないやつを倒すと、
たちまちプレイヤーは悪人として、町のひとには罵倒されまくり、
ゲームは進みません。
 会話も、単語について質問するというシステムなのですが、
日本語化の問題なのか、かなり難しくなっています。

 しかし、僕がやったシャープX1の「ウルティマ4」には、
そんなゲームシステムの難点をはるかに超えた大きな障害が。
 それは何かというと、「キースキャン」なのです。
 いや、たぶん「キースキャンって、何?」といわれると思うのですが、
これは、キーの先行入力システムというやつで、
左なら左のカーソルキーを押すと、ずっと、その方向に動き続けるというもの。
 つまり、一度左に行くと、障害物に当たるまで、左にキャラは移動し続けるわけです。
 もともとスクロールは地獄のように遅いので、苛立って方向キーを押しまくると、
町の外に出るまで自分のキャラは勝手に動いてしまうのです。
 そしてまた、激烈に長いロード時間…
 
 戦闘時間も異様に長かったし、
「普通に動けば、すごく面白そうなゲームなんだけどね…」
と思いつつ、序盤で投げ出してしまいました。
 もし、あのキースキャン地獄のX1版をクリアした人がいたとしたら、
心の底から拍手を送りたいです。
 
 いやほんと、昔のゲームの「難易度」は、現代の比じゃなかった…