「第179夜 研修医の理想と現実… 「研修医 天堂独太2〜命の天秤〜」


『研修医 天堂独太2』の公式サイトはこちらです。


 タッチペンを使った新しい操作感覚で話題になった『研修医 天堂独太』の続編。前作とほとんど同じゲームシステムは、相変わらず「逆転裁判かと見まごうばかり」なのですが、かなりボリューム不足の感があった前作に比べてかなりゲームの内容はボリュームアップしており、マルチエンディングや数々のミニゲームなど、新しい要素もつめこまれています。
 このゲーム、ストーリーは相変わらずで、2年目の研修医がいきなり心臓手術の術者になったり、開頭手術にカテーテル治療をひとりでやってしまうなど、主人公の「ゲームならではのスーパー研修医」っぷりには正直悶絶させられてしまいます。

「先生、カテーテル治療なんて、やったことあるんですか?」
「うん、この間一度見たことがあるから、たぶんできるはず」

 そんなの「一度見た」だけで自分でできるわけねえよ!!

 というか、それで失敗したら、間違いなく犯罪です。

 まあ、ゲームだからいいのかもしれないけれど、僕の知っている研修医の仕事って、入院患者さんの回診をすること以外は、検査の予約と伝票書きとかカンファレンスの準備とかばっかりだったのは、僕が無能だったからなのだろうか、とすら思えてきます。いやしかし、いくら外科でずっと研修医していても、脳外科と整形外科と消化器外科と心臓外科の手術が1年でできるわけないだろ……

 アドベンチャーゲームとしては、手軽に遊べるDSソフトとして、けっして悪い出来ではないと思います。マルチエンディングの結果が、ゲーム本編とはほとんど関係なさそうな(しかも、けっこう難しくて、その場でやり直しもできない)ミニゲームの結果に左右されたりするのはかなり興ざめなのですが、少なくとも前作よりははるかにやりごたえもあります。「サイコ・ロック」は出てきませんが。

 しかし、このゲームの最大の問題点は、「手術シーンの難しさ」にあるんですよね。

 術野を最初に消毒して、皮膚を切開して……というような「流れ」のリアルさは、これまでの「手術を題材にしたゲーム」には無かったものなのですが、手術中の操作に関しては、ヒントとして大まかな矢印が表示されるだけで、「これをどこに貼り付けたらいいか」が全然わからないまま何度も死にまくり、ネットで検索したあと、さんざんやり直した挙げ句にようやくわかった「実際にその処置をしなければならない場所」は、僕がイメージしていた「傷口」とは全然別だったりして、正直「なんでこれがその場所なんだよ!」とDSを投げつけたくなるようなシーンがいくつもありました。「難しい」のはさておき、「答えを見てもなんでそうなるのかわからない」というのは、ちょっと酷い。

 けっしてつまらないゲームではないですし、アドベンチャーゲーム好きの僕にとっては十分楽しめたのですけど、もうちょっと「親切設計」だったらなあ、という気はしました。