第145夜 ワイヤーフレームの奇跡!「スターウォーズ〜Attack on the DEATH STAR」
参考リンク:STAR WARS - Attack on the DEATH STAR
すべてのゲーマーの憧れであったはずのX68000の時代にも、翳りが隠せなくなってきた1991年に、このゲームは発表されました。でも、最初に画面写真を観たときの僕の率直な印象は、「なんでいまさら『スターウォーズ』なの?」とか「いまどき、ワイヤーフレームなの?」というものでした。いくら今から14年も前の話とはいえ、そのころでさえ、ワイヤーフレーム(線画)のみで表現されたゲームは、非常に少なかった(というか、ほとんど皆無だった)のです。「光速船じゃあるまいし…」という突っ込みは、あまりにマニアックすぎて、賛同者はほとんどいなかったとしても。
しかし、この「時代錯誤」で「地味」なはずだった「スターウォーズ」(M.N.M. Software)は、X68000ユーザーにとって、忘れられないゲームになりました。それは、このゲームがX68000で開発・最初に発売されたゲームであったことと(のちに98にも移植されたもののグレードダウンしていました)、その、あまりの「こだわり」に、68Kユーザーが共感したという、2つの原因があったのでしょう。
このゲームのデモ画面は、映画のオープニングを忠実に再現しており、あの古代祐三さんが再現したテーマ曲が流れるのですが、このデモが、なんと、映画のオープニングシーンと同時に流すとほぼ完璧にシンクロしている、という凝りっぷりなのです。もちろんゲームのほうはワイヤーフレームなのですけど、マニアにとっては、まさに垂涎の的。
そして、このゲームは、映画のクライマックスである、ルーク・スカイウォーカーがX−WINGを操って、デススターの溝に侵入して敵の攻撃をかいくぐり、デススターの唯一の弱点である、ごくわずかな排気口からデススターのコアに向けて爆弾を落とすシーンを「再現」しています。いや、本当に「再現」しているんだってば。
その再現っぷりというのは、最後にダース・ベイダー機に攻撃を受けたときに「ヒャッホー!」と言いながら、ハン・ソロが助けにくるところまでなのですから。
もちろんゲームとしても素晴らしいデキで、ワイヤーフレームとはいえ、当時の技術のレベルを超えた敵機の滑らかな動きや、迫力のデススター爆発シーン!
しかしながら、このゲームの最大の難点は、その難易度で、それこそ「理力(フォース)でも使えなけりゃ、こんなゲーム、クリアできねえ!」というくらい難しかったのです。
まあ、この設定であればこそ、そういう「難しさ」に説得力があったのも事実。
ところで、このゲーム、なんと、「スターウォーズ」フリークの作者が、あらかじめルーカス側に版権を取らずに、完成した時点でそのことに気がついてあわてて版権を申請しに行ったそうです。通常なら、そういう依頼は門前払いするルーカスフィルムなのですが、このゲームのあまりのデキの良さに驚いて、発売を許可してくれたのだとか。
いろんな時代、いろんな機種で「スターウォーズ」のゲームが出ているのですが、僕にとっては、これがいちばん忘れられないんですよね……