医者の夏休みの長さ

 学生さんは、夏休みシーズン。会社勤めの人々にも、まあ大概はお盆休みがある。
 でも、外来のみの病院はともかく、お盆だからといって入院患者さんの病気の進行が休みになってくれるわけでもなく、「お休みとか、あるんですか?」とい質問をされること、けっこあるのです。
 
僕は、いままで3つの病院に勤めてきましたが、ちなみに、この6年間の夏休み実績は、

    1年目  4日間

    2年目  6日間

    3年目  3日間

    4年目  2日間

    5年目  なし

    6年目  半日

以上です。けっこうばらつきがありますね。

さて、この夏休みの長さを決めるファクターとは何か?ということなのですが、「休みのない年は、ものすごく忙しい病院だったんじゃない?」とお思いの方もいらっしゃると思います。確かにそれもあります。あとは、バックアップ体制とか。自分と同じくらいの経験年数の医者がいると、いろいろ頼みやすいので。やっぱり、自分より上の人には、留守番は頼みにくいし。
 
実際のところ、世間が夏休みだからといって、病院の仕事の内容と量はとくに変わりないわけで、「自分で休もうと思わない限り、仕事自体が休みになることはない」というわけです。

 そこで、夏休みの長さを決める、いちばんの要素とは何か?ということなのですが、
 僕が思うに、これは「上の先生の性格」が非常に大きいです。

 1年目、2年目は研修医時代、あまりにハードな日々だったため、研修医どうしでフォローしあってなんとか夏休みを確保しました。
 3年目、4年目は、直属の上司が「休みたければ休めば、僕は休まないけど」という人だったので、まあ、このくらい。
 
5年目、6年目は、「医者に夏休みなんか、必要ない!とくに若手には!」という先生が上司だったため、休みなし。まあ、よく考えてみれば、一ヶ月も経てば誰が何日夏休みをとったかなんて、誰も覚えちゃいないんですから、休んでもよかったのかもしれないけれど。医者の世界では、休みといってもその間自分の患者さんをほっぽらかしにはできず、他の先生に代医として診ていてもらわないといけないので、ひとりで「休んでやる!」と叫んでみたところで現実的には難しいのです。ゴリ押ししちゃう人も当然いるわけですが。

 それに、実際に休むとなると申し送りをするのがけっこう大変だったり、休みの直前に受け持ちの患者さんが急変したりで、なかなか予定通りの休みはとれません。旅行の予約なんて、非常に危険です。ほんとに、キャンセル覚悟。

 まあ、逆にみんな一斉に休むわけにはいかず、バラバラに休むことになるので、空いているときに動けるというメリットもあるんですけどね。
 ああ、もう2度とちゃんとした夏休みなんて、過ごせないんだなあ…と思っていたんですが、
なんと今年は2週間の休みが。基礎ってすばらしい!給料は出ないけど…