第88夜 名作の悲しき完結篇「スナッチャー」


 コナミの傑作アドベンチャーゲーム「スナッチャー」は、
映画「ブレードランナー」を彷彿とさせる世界観と美麗なグラフィックと
当時の最先端のサウンド(僕が最初に遊んだMSX2版は、
FM音源パック対応で、とくに音楽が凄かった!
親友のゲーマーと一生懸命カセットテープに録音していたものです)
によって、とても評価の高いゲームでした。
 人間を殺してスナッチ(すりかわる)する、
謎のマシーンたちと主人公との闘いを描いたこのゲーム、
妙にリアルな(蛆までわいてて、夢に出てきそう)死体とか、
「音を大きくしてください」という画面の指示に従うと、
「バーン」とすごい音が突然鳴り響いて近所迷惑な爆発シーンとか、
化学式を利用したトリックなど、プレイヤーをわくわくさせる
(かなり気持ち悪いシーンも満載でしたが)要素でいっぱいだったのです。

スナッチャーとの銃撃戦(要は「もぐらたたき」なのですが)も緊迫感がありました。
(ゲーム内のミニゲームで、トレーニングすることも可能)。
とにかく、絵・音・話の3拍子揃った名作なのですが、
このゲームが最初に発売されたとき、プレイヤーたちは、
みな一つの不満を持ったのでした。

それは、「ストーリーが途中で終わっている」ということ。
一応、「第一部完」という感じなのですが、ジャンプの10話打ち切りマンガのように、
「さあ、これからがスナッチャーたちとの本当の戦いだ!」
というところで、ゲームは終わってしまいます。

ものすごく評判の良いゲームでしたし、プレイヤーたちは、
みんな続編を待ち望んでいたのです。もちろん僕も。

しかし、待望の続編は、なかなか世に出ることはありませんでした…

そして、みんなが待ちくたびれかけた頃、ついに、
続編(というか、移植+完結篇)が発売されました。
なぜか、PCエンジンのCDロム専用で…
当時普及過程にあった、PCエンジンCDロムの戦略商品としての
登場だったみたいなのですが、このあまりにも冷たい仕打ちに、
自分の機種での続編を待ち望んでいたパソコン版のユーザーは、激怒したものです。

結局、パソコン版の「完結篇」が発売されることは、無かったのですが…

僕も泣く泣くPCエンジン版をやったのですが、実際に遊んでみると、
肝心の続編の部分は、なんだか取ってつけたような内容の強引かつ御都合主義な展開
(しかも、ゲームというより、プレイヤーはただ、ストーリーを読まされるだけ、
という感じ)で、かなりガッカリしたのを覚えています。
せっかくの名作なんだから、最後までちゃんと作って欲しかったなあ…
もちろん、制作期間など、いろいろな制約もあったんでしょうけど。

まあ、そんな不満もありましたが、今遊んでもけっこう楽しめるゲームだと思います。

中古で買えば、1000円もしないくらいみたいですし。