医者の「専門」と「性格」に関する考察


「お客に言えない業界のヒソヒソ話」(現代情報ネットワーク編・青春出版社)より。

(「医者の専門と人間性の相関関係のフシギ」という項より)

【研修医のM君から聞いた話。
 医学部の卒業が近づき、そろそろ専門科目を決めなければいけない時期に、M君は多くの友人や先輩にリサーチした。すなわち、選択科目と人間性の相関関係についてである。
 いかは、直接本人から聞いた話もあるが、人一倍人間観察が好きなM君自身が分析したものも含まれる。

<外科の場合>
 頭脳より体力に自信を持っている。もちろん体はものすごく丈夫。授業など休んだことがない。酒好きが多い。自分は酒が強く、どんなに飲んでも乱れないと思っている。
「なんで外科を選んだんだ?」
「やっぱり”開けて”みなきゃわからないだろう?」

<内科の場合>
 頭が良くて成績優秀な者が多い。ものごとをじっくり考える哲学者タイプか、どうでもいいと思っているかのどっちか。親が開業医というケースも多い。
 ひとつの症状で、少なくとも5つの病名を思い浮かべることができるように訓練しろ、と先輩にいわれているからか、想像力は豊か、外科の場合と違って、行動する前にじっくり考えるタイプ。
「小さい頃ねえ、プレゼントとかもらうとすぐに包みを開けずに、中身を創造するほうだった。振ったり、たたいたりしてね」

<皮膚科の場合>
 こちらも頭のいい人が多い。ひとつのことをとことん問い詰める性格。気が長いほう。なぜか女性が少なくない。
「症状が表面に出るからわかりやすいじゃない」
「え〜、でも気持ち悪いじゃない」
「大丈夫。アタシ、気持ち悪いものにさわるの昔から得意だったの」

<小児科医>
 子どもが好き、というより大人が苦手。たいてい仲間内で自分の意見をいってはバカにされている。オタクが多い。なぜか結婚が遅い。
「ムンテラとかインフォームド・コンセントとか超苦手。小児科は本人に病名をいわなくていいから、その点ではすごくラク」
 ちなみにムンテラとは患者・家族への説明、インフォームド・コンセントとは治療や検査を行うにあたっての事前の「説明と同意」のこと。

<産婦人科>
 子どもが好き、女性が好き。出産のとき以外の診療は、あまり手がかからないからいい。
「実習のとき触診してから病みつきになってしまった……」

<美容整形外科医>
 細かい作業が得意。たとえば、中学の頃、家庭科の裁縫が得意だったとか。女性的でけっこうおしゃべり。プラモデルが好きだった人も多い。電気系統を分解するのも好き。
 ちなみに、壊れたものを必ず元通りに直したがったのは、むしろ形成外科医のほう。
「数学でもね、文章問題より計算問題のほうが好きだった。結果がすぐに出るだろう?術後のケアとか面倒だよねえ」

<麻酔医>
 あまり目立ちたがらない性格。自ら率先してなにかをやるのではなく、あとからついてくるほう。おっとりしているから、なにかとものを頼まれやすい損なところがある。
「はっきりいって、毎日当直でもあんまり苦にならないんだ。だって手術のときはたいてい座っているからね」
 以上、これはあくまでM君が独自に調査分析したもので、真実の限りではないので、悪しからず。】

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 ちなみに、この話のオチは、M君が「明快なのがいい。あまり人の性格分析とか体質研究とか、したくなかったので」と整形外科を選んだ、というものでした。まあ、僕も正直、けっこうメチャメチャだなあ、と思いつつも、世間のイメージというのはこういうものだろうか?などと、興味深くもあったのですけど。ただ、この内容からすると、外科・内科あたりはまだしも、後のほうで書かれている診療科は、ネタ切れなのか誤解や偏見が強いように感じたのも事実です。しかしながら、せっかくこういうネタがあるので、僕もこれを読みながら各科のイメージなんてものを書いてみようと思います。もちろん各科にはそれぞれいろんな人がいますし、独断と偏見&与太話なので、あんまり真剣に読まないでくださいね。

<外科>ものすごく体育会系の人とものすごく神経質な人が両極端、という印象。消化器系のほうが豪快系、呼吸器・心臓外科はやや研究者系のイメージがあります。患者さんをお願いしたときに、「じゃあ早速診せてください」というフットワークが軽い人と、「それって、外科的な適応があるの?」と講義風にネチネチ迫ってくる人と2タイプいて、研修医などにとっては、どちらの先生にヒットするかで天国と地獄。

<内科>とにかくいろんな医者がいます。カリスマ的な名医から、「なんでこんなのが医者に…」というトンデモ系まで。一般的に、循環器内科や消化器内科は緊急処置の機会が多いため、やや外科寄りの「考えるより先に動け!」というメンタリティの持ち主が多いです。資格フリーク、鑑別疾患マニアとか、外来がやたらと長くなってしまう人もけっこういる一方で、遊び人もいます。まあ、良くも悪くも「いろんな人がいる科」です。

<皮膚科>器用な人が多い印象があります。本当に真面目に全身を診ようとする人から、目に見えないところは知らん、という人まで。僕のイメージでは、皮膚科の女性医師はきっちりした人が多くて、男性医師は豪快な人と研究者肌の人と両極端。

<小児科医>この本ではもっとも誤解されているみたいなのですが、「子どもの親にムンテラをする」というのは、ある意味、本人に説明するより大変なことも多いようです。大人が苦手じゃ務まらない科なんですよね。でも、同僚の医者も含めて、大人には厳しい人がときどきいるような気もします。「オタクが多い」というのは、確かにそうかも。というか、いろんな意味で自分のこだわりをもっている人は確かに多い印象です。

<産婦人科>とにかく人当たりがいい人が多いです。ただし、産科と婦人科でもまた違う印象があって、婦人科は女性の割合が高いですが癌の手術などがあるので、より「外科的」です。

<美容整形外科医>すみません、知り合いがいないのでよくわかりません。

<麻酔科医>「目立ちたがらない人」というよりは、むしろ、自分のライフスタイルをしっかり持っている人が多いような印象です。「仕事のときはどんなに酷使されても泣き言は出さないけれど、休みのときはキッチリ休む」というようなオンオフがはっきりとした人というイメージ。

 そのほかにも、いろんな科があるんですけど、今回はこのくらいにしておきます。気を悪くされたら、どうもすみません。でも、世間ではこの本のような「各科の類型」が、信じられているのでしょうか……