第116夜 最初で最後の前・後編シューティング!「R−TYPE」


 この「R−TYPE」のアーケード版は、アイレムという会社から発表されて
大ヒットしたのですが、当時としてはものすごく綺麗で、
映画「エイリアン」を彷彿とさせるようなギーガー調
(っていう表現が妥当かどうかはわからないんですが)のメカニカルかつ
ドロドロとしたグラフィックと、「フォース」という「グラディウス」の
オプションみたいな武器の独自の操作性で一世を風靡したものです。
 ほとんど面の最初から最後まで敵の巨大戦艦が出ずっぱりの面とか、
ウネウネと動くボスの触手、フォースをつける場所によって、
弾が出る方向が変わったりするシステムなど、
当初の「グラディウスの二番煎じ」というようなイメージを打ち破って
大ヒットしました。

 でも、当時の感覚からすると、「R−TYPE」が家で遊べるなんて、ありえない!
もし可能だとしても、「気分だけ、もしくは名前だけR−TYPE」
になるに違いない、というのが僕の予想でした。
あの巨大戦艦が家庭用ゲーム機で再現できるとは思えなかったし。

 ところが、噂の新ハード「PCエンジン」は、それをやってのけたのです。
 ゲーム屋でこのゲームのデモを見たときは、
どこかに本物がつながっているのではないかと思わず周りを確認してしまったくらいの
すばらしいデキでした。
 ウネウネも巨大戦艦も、素人目には「完璧!」と思えるくらいに
移植されていたのです。
 そして、暴虐なその難易度までも。

 ただし、このPCエンジン版には、致命的な弱点がありました。
 それは、「完全移植だが、ゲームの容量が大きくなりすぎて、
シューティングゲームにもかかわらず、前・後編の2本に分割されてしまったこと」。
 前編には4面までが入っており、それ以降の面は後編に入れられたので、
プレイヤーが全部の面を遊ぶには、その両方を買わなければなりません。
1本4800円×2!
 さらに、難易度の高いゲームでしたから、後編から遊ぶとまさに地獄絵図です。
 パスワードで装備を持ち越せるようになっていたと思うのですが、
いきなり丸裸で後編から遊んだりすると、まさに即死確実。
素手でヒョードルにケンカを売りにいくようなものでした。
 本当にすばらしい移植だったのですが、この「前・後編」だけは、
「ありえねえ!」と非難轟々だったのをよく覚えています。
「新・鬼が島」みたいなアドベンチャーゲームならともかくねえ…
 それでも、このゲームがPCエンジンの性能をアピールしたのは間違いないことでした。
 それと同時に、Huカードの容量の限界をもアピールし、
CDROMを売ろうという戦略だったかどうかは、
今となっては定かではありませんが…