診察を待つ人、待たせる人



富山新聞の記事より

【富山市民病院は、希望する来院者にポケットベルを貸し出し、診療時間を伝えるサービスを行い、来院者から好評を得ている。県内の公的病院では診察時間の予約、番号札の配布など待ち時間のイライラ解消、来院者の利便性向上のため知恵を絞っているが、ポケベルの利用は珍しい。同病院では「待合室で長時間待つ苦痛を少しでも軽減できれば」と話している。

 市民病院は昨年五月、医師の呼び出し用ポケベルをPHSに切り替えた。不用になった約百個のポケベルの再利用策として、案内サービスを始め、昨年八月から、十七診療科のうち、内科など三科に導入した。同十月には外科など五科でもサービスを開始した。市民病院内ならどこでも連絡が取れ、利用者は食堂や自販機コーナーなど待合室以外の場所でも自由に待ち時間を過ごせる。

 待ち時間の解消については、各病院が診察時間の予約や番号札の配布など工夫を凝らしている。県立中央病院は内科の初診で番号札を出す。再診の診察時間の予約率も85・4%と高く、待合表示で診察までの時間が予想できるよう配慮している。富山赤十字病院では予約率、院外処方せんの発行がともに約70%に上る。混雑する駐車場整理にも力を入れ、来院者の利便性向上を図っている。】


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 いやほんと、待たせてすみません。

 僕も前の病院のときは、「どうしてこんなに待たせるんだ!」と患者さんに苦情を言われたりしていました。
そりゃあもう、病気で苦しくて来ているのに、さんざん待たされちゃかないませんよね。

 でもなあ、実際、患者さんを待たせようと思って待たせてる医者なんて、いないのです。
まあ、それはどんなサービス業でも、同じだと思うんですけどねえ。

 では、どうして人は病院で待たせられると腹が立つのか?というか、不安になるのか?

 ひとつは、病気の症状で苦しいから。

 もっとも、これについては、あまりに症状が激しい人は、救急扱いで診るようにしています。

 もうひとつは、診察室の中で、何をやっているのか、よくわからない、というのが問題なのかなあ、と感じるのです。

 たとえば、行列しているラーメン屋では、人が並んでいて、店の中では店員さんが忙しく立ち働いている姿が見えるわけですよね。
それで、中の様子が見えれば、みんな納得して待っているはずです。
まあ、病院なんて、できればなるべく早く用事を済ませたい場所ではあるんでしょうけれど。

 別に、患者さんが待っている間スタッフは遊んでいるわけじゃなくて、
「2時間待ちの3分診療」などと揶揄されながらもとにかく忙しく働いているんですよね。ときにはお昼抜きだったりして。

 でも、そういう姿って、すべて診察室の中の話で。

 だからといって、まさか診察室の中を実況生中継するわけにもいきませんし…

 それにしても、何かと競争が激しい病院としては、これから生き残っていくためには、
患者さんへのサービスが大事だと思います。このポケベルサービスもそのひとつとしては、かなり有効なのではないでしょうか。
今、病院では続々と院内PHSが導入されており、ポケベルは使われなくなってきていますしね。

 とはいえ、まだポケベルを使っている病院も多いのです。だいたい今ポケベル持ってる職種って、
医療関係者がほとんどじゃないでしょうか。携帯電話はまだ、電磁波の問題があったりしますから。

 実際は、どこの病院でもそうなのかはわかりませんが、予約時間を決めたら決めたで、時間通りにいかずにかえって患者さんが怒ってしまうというトラブルもあったりするのです。

 もうちょっと医者や看護師の数、増やしてくれないかなあ…

 というのが、現場の本音だったりもするわけで。

 それでも、「待たせるのが常識」という考えは、どんどん変わってきています。

 うーん、ほんとうは、そんなに待たなくて良い、優秀な開業医の先生は、たくさんいらっしゃるのですけれども…

 大きな病院での診療が必要なときには、紹介してもらえば良いのに。

 しかし、「オレを待たせるな!」といつもゴネる無症状の患者さんが、
スタッフに気を遣って黙って待っていてくれる患者さんより優先されてしまったりするのは、正直、僕も納得いかないなあ…