第167夜 拡大・縮小・回転・転落!「パイロットウイングス」
参考リンク:パイロットウイングス・ギャラリー完全版
何度も「発売延期」を乗り越えて発売されたスーパーファミコン。しかしながら、本体と同時に発売されたのは「スーパーマリオワールド」と「F−ZERO」のみで、多くのSFCユーザーたちは、「もっとSFCらしいゲームを!」と待ち望んでいたのです。「F−ZERO」で「新世代のゲーム」を味わったあとでもありましたし。
そんな中、本体発売後1ヵ月経った1990年12月21日に、本家・任天堂のSFC第3作として発売されたのが、この「パイロットウイングス」です。
プレイヤーは、「フライトクラブ」に入会して、軽飛行機(ライトプレーン)、スカイダイビング、ロケットベルト、ハンググライダーの四種を課題をクリアしていきながらレベルを上げていきます。コースは大別して4つ。全ての種目が終わった時点で規定の点数に達していればライセンスが貰え次のステージに進むことが出来るのですが、最初のほうが楽勝だったクリア条件は、どんどん厳しくなっていきます。そして、このゲーム、けっこう難易度が高くて、僕は途中であきらめて、ターゲットから離れたところに着地したり、減速しないまま地面に激突したりして遊んでいました。いやまあ、現実にはそんなことして「遊べる」わけもないし、せっかくだから。
この「パイロットウイングス」が出る前も、「フライトシミュレータ」というのは「アメリカのパソコンではものすごく人気があるソフト」として知られていたのですが、日本では今ひとつメジャーにならず(たぶん、自家用機を操縦するという概念そのものへのリアリティが日本とアメリカでは違いすぎるからだと思います)、この「パイロットウイングス」も、「日本でフライトシミュレーションが受け入れられるの?しかもファミコンユーザーに」という声もありました。しかしながら、任天堂は、この「フライトクラブ」という概念で、短時間でそれなりのリアリティを持って遊べる「簡易フライトシミュレーション」の世界を造ったのです。いや、アメリカの有名フライトシミュレーターって、キーボードのほとんどのキーを使ったり、実際の飛行機と同じように、3時間とか操作し続けなければならなかったりしたらしいので、やっぱりそれではSFCユーザーには厳しかったでしょうし。でも、この「パイロットウイングス」ですら、僕にはかなり難しかったんですけどね。
それでも、このゲームの拡大・回転・縮小をフルに使った「空を飛んでいる感じ」「高いところから落ちていく気分」というのは、当時の僕にはすごくインパクトがありました。今の技術からすれば「ごくシンプルなもの」でしかないのかもしれませんが、最初にスカイダイビングで落ちていくときには、かなり怖かったですしね。そういえば、ロケットベルトはなんだかめんどくさくて苦手だったなあ。
ちなみに、ニンテンドー64では「パイロットウイングス64」という続編が発売されたそうです(僕は遊んだことないのですけど)。WiiとかPS3なら、もっと凄い映像でやれそうなものですが、こういうのって、あまりにリアルになりすぎても、それはそれで「ゲームにならない」のかもしれませんね。