ネットから隔絶された「病院」という陸の孤島


毎日新聞の記事より。

【ベッド数が200床を超える病院の6割以上が、入院患者や家族がパソコンでインターネットに接続する環境を用意していないことが、東京大大学院医学系研究科の高橋都助手(健康科学)らの調査で分かった。病気に関する情報を集めたり、家族と電子メールを交換するなど、パソコンは闘病を支える大切な道具だが、患者向けのIT(情報技術)環境を整備する予定がない病院は8割に上り、院外との情報格差は広がる一方だ。31日、東京都での日本病院管理学会で発表する。

 調査は、都内の一般病棟200床以上の122病院すべてを対象に6月実施。67施設が回答した(回収率54.9%)。

 医療機器の誤動作の原因になる携帯電話は78%の病院が全面禁止だった。パソコンは12%が全面禁止。29%は条件付きで使用を認め、59%は規定がなかった。

 ネット接続の環境を「用意していない」と答えた病院は61%。接続可能な端子付きの公衆電話を設置している病院は33%だった。患者用のパソコンコーナーを設けたり、ベッド横でインターネットが使える設備のある病院はわずか9%だった。

 改善の予定は、79%が「ない」と回答。理由(複数回答)では予算不足(78%)設備工事が難しい(62%)患者の安静が保てない(同)が多く、「患者に不要」(24%)「誤った情報を得る可能性がある」(6%)という答えもあった。

 総務省の調査(02年)では、インターネット利用者は人口の54%、使う人がいる世帯は81%。高橋さんは「ネットが暮らしの一部になっているのに、病院側の意識が追いついていない」と話す。

 インターネットを活用して病気と前向きに闘う「e(イー)患者」を提唱する埴岡健一さん(元骨髄バンク事務局長)は「数年前でも、米国の病院ではすべてのベッドサイドに電話線が来ていた。患者が情報にアクセスできる環境は、今では病院の機能評価項目に入れてもいいぐらい重要だ」と指摘する。】

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 僕が入院するときには、必ずパソコン持って行くと思います。だって暇そうだし。
 でも、この人たちが叩きまくるほど日本のネット環境が立ち遅れているとも思えないのですが。
 
必要な人は、Air−H“買って持っていけばいいじゃん、って。
 あれなら、ちょっと通信速度は遅いですが、料金は定額だし、ケーブルも要りません。
 病院側は、アンテナを増設する必要が出てくるでしょうけど、院内全体にLANケーブルを張り巡らせるよりはよほど安上がりなのでは。
 実際、入院中の患者さんでも、使っている人を最近はよく見かけますし。
 もっとも、若い人がメインで、高齢の方には敷居が高い印象もありますが、それは病院内外を問わない状況ではあります。

どこまでが病院の設備として必要か?というのは難しい問題ですが、「じゃあ、テレビのない病院や冷蔵庫のない病院は?」ってことになりますしね。
 もちろん、入院費がアップしてもいいんだったら、いくらでもIT病院も造れそうですけど。

 それにしても、どの程度を「インターネットが使える設備がある」と解釈しているのかって、けっこう現実とのギャップがありますね。
 「インターネットに繋げる公衆電話がある」なんてのは、実際には、1人でその電話をずっと占拠してネットをやり続けるわけにもいかないでしょうし、せいぜい、最低限のメールのやりとりにしか使えないレベルのはず。
 確かに「設備はある」のでしょうけど、現実的には「使えない」と同じことです。
 ただでさえ、病院の電話は「会話は短めに」と言われているのに。
 むしろ、都会ではこれらの大きな病院10件に1件が、パソコンコーナーがあったり、電話の設備があったりするということにビックリしました。

まあ、現実的には「病院には金がない」ということに尽きると思うのです。
 ネットによる情報収集も大事だとは思うのですが、それより担当医に聞いてくれればいいのに、とか思いますし、ほんとうにキツイ人はネットどころではないはずなのですが。
 そう考えると、一律に入院費を値上げすることにも反発があるでしょうから、「必要な人は自分で用意してください」ということになると思います。今は、それが十分可能な時代ですから。
 確かに、家からパソコンとケーブルだけ持ってくれば使えたら便利だろうとは思うけど。

病院という環境にはインターネットへのニーズが高いのは確かなので、この際、Air-H”とかドコモとかは、病院向けの貸し出しサービスとか検討してみるのも良いのではないでしょうか?

でもねえ、軽症の人なら「ネットくらい使わせろよ」と思うかもしれないけど、多くの病院にとっては、「ネット環境の整備をを病院に負担させる金があるなら、夜勤の看護師を増やして、ケアの質を上げたい」というのが本音ではないでしょうか?
 病院は、インターネットカフェじゃありませんから。

 これからの病院の生き残り戦略としては「IT病院」もアリかもしれないけど、物事には優先順位ってものがあるのです。
 誰でも、自分の専門のことを優先的に考えてしまいがちなものだけど。

 「インターネットを活用して病気と前向きに闘う」のが悪いことだとは言いません。
 入院中の不安な時期などは、情報収集やコミュニケーションで救われる面もあるでしょうし。
 ただねえ、「それより先にやることがある」っていうのも、考えてほしいよなあ。
 必要な方は、申し訳ないですが、しばらくはAir−H“でも使ってくださいな。
 まあ、そんなこと僕が偉そうに言う前に、必要な患者さんは既に使っているわけですが。

 しかし、これからの入院生活は、大部屋でもみんな黙ってネットをカチカチやってるようになったら、それはそれで怖いよなあ。
 実際は、現在の病院の入院患者さんの最大の情報源は「同じような病気で入院している人の話」なんですけどね。