第87夜 ナポレオンもラクじゃない「ランペルール」


 あのシミュレーション界の大御所、光栄のシミュレーションゲームなのですが、たぶん「えっ?そんなタイトルあったっけ?」と思われる方も多いと思います。
 このゲームは、プレイヤーが主人公ナポレオンとなって、地方のイチ司令官から出世街道を驀進し、第一執政から、フランス皇帝となり、宿敵イギリス、ロシアを倒してヨーロッパを征服する、というのが目的。
 しかし、ゲームの最初・ナポレオンは一地方の司令官ですから、自分でできることは(ゲーム的には、実行できるコマンドは)限られています。具体的に言えば、自軍の編成と戦争くらいのもの。そこで周辺の敵を倒していくと名声が上がっていきます。

 とにかく最初は、フランスの総裁であるバラスという人に、何をやるにもお伺いを立てないとならず、占領地が広がる部下の将軍の頭数が足らなくなると、中央政府に「軍人派遣」の依頼をしないといけません。
 しかし、返ってくるのは、たいがい「ムリだ」の一言。
 ムチャな命令は次々出されるし、周辺国との関係が突然変わったりもします。
 まさに、前線司令官の悲哀を味わう羽目になるのです。

 それでも頑張って周辺の敵国を討ち果たしていくと、ナポレオンは「最高司令官」に任命されて、軍事に関しては全権を握れるようになり、さらにエジプト遠征で名声を高めると第一執政の座に。
 ここでようやく、貿易とか外交とかのコマンドが使えるようになるのです。
 まあ、それはそれで面倒なことが増えるというのも確かなのですが。

 そうそう、このゲームでの戦闘フェイズについても触れておかないといけませんね。
 当時の戦場の状況を忠実に再現して、歩兵と騎兵、砲兵がいるのですが、砲兵は遠くから攻撃でき、敵兵力を「混乱」させやすいので、まず遠くから砲撃をして、「混乱」の状態になった敵軍に騎兵で突撃するというのが必勝パターンです。
 砲撃すると氷が割れるとか橋が落ちるなんて設定もあります。
 とはいえ、騎兵はお調子ものなのか、突撃の威力はものすごいのですが、逆に「混乱」させられやすいという面もあり、ミイラ取りがミイラになってしまうこともしばしば。

 そして、フランス軍はとにかくやたらと弱いのです。
 一騎当千という言葉がありますが、印象としては一騎当0.5くらいなんだよなあ。

 そして、このゲームには敵味方さまざまな将軍が出てくるのですが、ミュラとかダヴーのような将軍たちにはそれぞれ、「歩兵が得意」とか「騎兵が得意」とかいろいろな能力がA〜Dでランクづけされています。
 残念ながら、一部のナポレオンマニア以外には、「ダヴーって、誰?」としか言いようがないところが悲しいところ。

 そうして、領地を広げて皇帝となり、ヨーロッパ全土統一をしていくのですが、このゲーム、やたらと難しいんですよ。
 ロシアは冬将軍で機動力激減だし、イギリスを攻めようとしたら、有名な提督が出現してあっという間にやられるし…
 金はないし予備兵力もない…

 本当に、難しさにかけては、光栄有数だと思います。
 続編が出なかったところをみると、あんまり売れなかったんでしょうね…
 僕はけっこう好きだったんですけど。

 ところで、僕はこれをX68000版でやったんですが、]68000版って、喋るんですよ将軍たちが。でも、当時のコンピューターの無機質な声で、むさくるしい将軍たちが「わが生涯をフランスの栄光に捧げよう」とか言っているのを夜中に聞かされるのは、正直言って気持ち悪かったです。

 セリフはバリエーション少なかったし。

 そうそう、このゲーム、つい最近Windowsで再発されたらしいですよ。
 ごく一部のマニアの皆さん、機会があればぜひ。