粉!粉!粉!


医者なんて仕事をやっていると、病気の際に、好きなだけ薬が手に入ると思われがちなのだが、自分で病院経営をしていないかぎり、なかなかそう簡単に薬は手に入るものじゃない。もちろん、緊急時用に、ボルタレンなどの解熱鎮痛剤や抗生物質、胃薬のストックが病棟にあるが、たいがいは売り切れ。

ラシックスやプレドニンがいくらストックしてあったって、そうそう使い道は無いのだが、えてして病棟の薬箱には、そんな薬ばっかりが残っている。

医者だからといって、薬局に行って勝手に薬をとってくることはできないし。
ちゃんと他の医者に診察を受ければ処方もしてもらえるのだが、ちょっとした風邪くらいだと、
なんだかかえって申し訳ない。

というような事情で、風邪薬や胃薬などを買いに、町の薬局に行くこともたまにある。
近所の薬局で、風邪薬を買ったときの話。

症状は、咳、発熱、咽頭痛、胃の痛み。
興味本位で、薬剤師さんに症状を話し「風邪薬、どれがいいですか?」と尋ねてみた。
その人は漢方薬フリークのようで、これがいいですよ!と某漢方風邪薬を持ってきた。
そして、咳止めなら、これ。胃薬は、これがいいですよ、と手際よく。

目の前に並べられた3種類の薬。確かに効きそうな気はするのだが。

「あの〜これ3種類全部飲むんですか?」と僕。

「ええ、こちらが食後、こっちは食間ですね。どれもよく効きますよ。」

いや、そういう問題じゃなくて…

「あの〜…粉薬ばっかり3種類も1日3回飲むのは、ちょっと辛いんですけど…」

 僕は、けっこう粉薬飲むのって、苦手なんですよね。むせちゃうし。
それにしても、風邪薬とか胃薬なんて、種類はいろいろあるんだから、
なにも全部粉薬にしなくても、ねえ。

そのへん、ちょっとは考えて処方するべき、ですね(←自省込み)。

 いや、僕もあんまりコンプライアンスの良い患者じゃないんですけど。