第119夜 「キン肉マンマッスルタッグマッチ」の危険すぎる必殺技


 1985年にバンダイから発売されたこのゲームは、 「キン肉マンブーム」の後期に登場したのです。  
 当時全盛期の「週刊少年ジャンプ」に連載されていた「キン肉マン」は アニメ化もされていましたし、「キン消し」と呼ばれた 超人たちの消しゴムもみんな競って集めていたものです。
 希少だった人気キャラのバッファローマン消しゴムは、500円が相場でしたし。
  当時(20年前)の小学生にとっての「500円」というのは、 ものすごい金額だったのですが、考えてみれば、子供の金銭感覚を一桁変えてしまったのは、 ファミコンの登場だったんですよね。
 さて、そんな中発売されたこのゲームには、ものすごい期待と同時に、 みんな不安も持っていました。
 発売元が「キャラゲーの墓場」と呼ばれていた 「バンダイ」だったということもありますし、当時は 「ジャンプ作品のゲーム化に名作なし」というイメージをみんな持っていましたから。 どうも「キャラの人気に頼ったゲーム」が多かったというか、 「それは違うだろう…」という内容のものが多くて。
 それでもみんな、「今度は面白いんじゃないか?」と期待して、 「ジャンプ」の新作ゲーム情報にも乗せられて買ってしまったものでした。 堀井(雄二)さん、あのときの恨みは忘れてませんよ、なんてね。 当時、堀井さんは「ゆうてい」というキャラで ジャンプのゲーム紹介のコーナーに出ていたのです。

 この「キン肉マンマッスルタッグマッチ」は、タッグマッチですから、 プレイヤーが2人の超人を選んでコンビを組んで、 相手の超人コンビと闘うゲームです。
 基本的なルールは当時の一般的なプロレスゲームに近くて、 技をかけて対戦相手の体力ゲージを減らしていき、ゲージをゼロにすれば ノックアウト勝ち、というもの。
 ちなみに、登場する超人は、主人公のキン肉マンをはじめとして、 テリーマン、モンゴルマン、ロビンマスク、バッファローマン、ウォーズマン、 ブロッケンJr、アシュラマンの8人で、それぞれ必殺技を持っています。 そして、その必殺技を使うには、対戦中にミート君がリングサイドから投げてくる 「光の玉」を取らないといけないのです。
 この「必殺技」の威力はかなり強力で、キャラクターの動きも早くなるし、 必殺技も出せるようになり、要するに「光の玉」を取ったほうが勝ち、 というパターンがほとんど。
 「必殺技」は超人ごとに決まっていて、キン肉マンなら「キン肉ドライバー」、 ウォーズマンなら「スクリュードライバー」とかなのですが、 実際には、相手に近づかないと出せず、タイミングが難しい 「キン肉ドライバー」や「アシュラバスター」よりは、 遠くからでも出せる「スクリュードライバー」のほうが、 一撃の威力は弱いのですが使いやすい印象がありました。  そして、中でも最強(?)だったのが、ブロッケンJr.の 「ナチス毒ガス攻撃」(!)相手が毒ガスを食らって動けなくなっているところに、 さらに毒ガス連発で決着がついてしまいます。  しかし、当時も子供心に「こんな技、ゲームに出してOKなのか?」 と思ったものですが、人権団体からクレームがついたという話は聞こえてきませんでした。  「おおらかな時代」だったのか、それとも「ゲームだから」で許された時代だったのか…

 正直、「いいゲームか?」と言われればかなり疑問符がつくのですが、 それでも結構遊んだ記憶があるのは、やっぱり「キャラの魅力」に尽きるのです。  当時のファミコンゲームですから、キャラの絵もそんなに似ているわけではないんですけどね。 「敵がひっくり返って落ちてくるだけ」の「キン肉ドライバー」でも、 やっぱりきまると嬉しかったものなあ。