第131夜 シブいよ、ハロルドさん!「マンハッタン・レクイエム」


 画面写真やストーリーなどはこちらをどうぞ(僕が遊んだのもX1版でした)。


 リバーヒルソフトから出ていた「J.B.ハロルドの事件簿」シリーズの第二弾が、この「マンハッタン・レクイエム」でした。僕は前作の渋い雰囲気が大好きだったので、躊躇無くこの続編を買ったのです。このシリーズは、とにかくオマケが豊富で(今から考えると、コピー対策の面も大きかったのかもしれませんが)、今回も、前作「殺人倶楽部」に続いて、捜査手帳とか、顔写真シールとか、被害者からの手紙などの「証拠品」もついています。まあ、僕はこういう付属品は綺麗なままとっておきたい若者だったので、結局その「捜査手帳」とかは、ほとんど使えませんでしたが。
 この「マンハッタン・レクイエム」は、前作の登場人物のひとり、サラ・シールズという女性の事故死からはじまり(しかも、その保険金の受取人もまた、サラ・シールズという名前なのですよ)、その事故を調査するためにやってきたJ.B.ハロルドが、それをきっかけにして起こった連続殺人事件を解決していく、というものです。
 このゲームは、当時ようやく完成の域に入った「コマンド選択式アドベンチャーゲーム」のひとつの最高峰とも言えるもので、画面切り替えも早かったし、ストーリも魅力的でした。まあ、当時のコマンド選択式アドベンチャーの常とも言うべき「どのコマンドを入力したら先に進めるのかよくわからず、結局『コマンド総当り』をやらなければならない」という傾向はあったんですけど。
 それでも、そういうのが逆に「足で稼ぐ」なんていう雰囲気を醸し出していた、なんていうのは、僕の贔屓目にすぎるのかもしれませんが。
 ジャズ風のBGMとか、アニメ絵が主流だった当時としては珍しい、写実的なグラフィック、ハードボイルドな世界観など、とにかく「渋いなあ…」とオトナの世界を感じさせてくれるゲームでもあったんですよね。これだけ「ハードボイルドな雰囲気作り」にこだわったゲームは、今までのゲーム史でも珍しいかも。気分はフィリップ・マーロウです。(とかいいながら、あまりの「コマンド総当り」に、泣きそうにもなるんだけどさ。だって、「正解」にたどり着くために、とにかく全部のコマンドを選んでいって、同じセリフを延々と聞き続けらければならないので、最後のほうは、もう「作業的」になっちゃうんだよなあ。

 そういえば、この「マンハッタン・レクイエム」には、グラフィックをそのまま流用して、シナリオだけを新しくした「殺意の接吻(くちづけ)」というアナザー・ストーリーも発売されました。僕はそれも買って遊んだのですが、こちらのほうは、なんだかとても難しくて、途中で挫折してしまったような記憶があります。
 面白いアイディアだったのだけど、「絵が同じだと混乱するなあ」と思ったのも事実で、けっきょく、この試みは、この作品だけで終わってしまったのですけど。当時はまだ、「アドベンチャーゲームは、新しい画面を見るのが楽しみ」という時代でもあったことだし。