前サイトの閉鎖と「いやしのつえ」について


「趣味の
Webデザイン」(11/3)
で、このサイトについてとりあげていただきました。

 これもいい機会だと思いますので、「リンク集が前サイトとほとんど同じな理由」について、ちょっと説明させてください。
 前のサイトの閉鎖の経緯とこのサイトの誕生までについても。

 前のサイトに来られていた方と「いやしのつえ」に来られている方とがどの程度重複しているかは僕にもよくわからないのですが、
「この人は、『バレたら閉鎖』なんて言いながら、1ヵ月くらいで復活して、しかもリンクサイトのコメントもコンテンツもほとんど一緒、サイト狂言自殺の常習犯(or ポケットビスケッツ)みたいな人なんじゃないの?」と思われる向きもあろうかと想像しています
(もちろん、徳保さんはそんなふうには書かれてないし、善意でとりあげてくださっているので、念のため。ただ、いい機会だと僕が判断したので、ここで言い訳しているだけです)。

 前のサイトがバレた経緯については、また聞きなのですが、「検索エンジンで偶然見つけた」ということでした。
 1日100アクセスくらいのサイトでは、自分の周りの人に宣伝しない限りはサイトバレなんてことは起こらないはずだ、というのが僕の読みでした。
 「絶対に言わないはずの友人」とかは、意外と盲点になったりするんですよね。
 その人に悪意がないとしても。
 だから、本当に前サイトのことは、現実の知り合いでは誰にも教えていなかったのです
 だって、1日100アクセスって、見ている人は、100万人に1人なわけですよ。でも、現実的にはバレてしまった。

 たぶん、僕が書いていたのが模型飛行機についての文章とかだったら、サイトバレすることはなかったのでしょうが、やっぱり、僕と同じ仕事の人とは、興味の対象が似ているということなんでしょうね。
 だから、「こんなマイナーなサイトだから大丈夫」というのは、油断でした。
 しかも、バレたときのテキストが、内部批判的な内容で、「こんなの上の人に読まれたらどうするの!」という話になったわけなのです。

 もともとサイトバレ=閉鎖というふうに考えていたのは、こういう状況を避けるためでした。誰かに遠慮して書くのはいやだし。第一、「あの人が読んでるかも…」とか想像すると、何を書くのも恥ずかしいじゃないですか。
 毎朝会うたびに「お前、あんなこと書いてただろ…」とか言われるのは困る。
 昔、佐藤春夫だか誰かが、「身内に恨まれてこそ作家として一流」と言ったという伝説を聞いたことがありますが、僕はこれで飯を食っているわけでもないですし。

 結局、前サイトは「閉鎖」という形になりました。でも、それは誰かに強要されたわけではなくて(むしろ、彼女には「書くのは好きにしていいから、自分を危なくするような内容は止めて!」と言われた)、自分で決めたことです。

 そのときは、「もう止めよう」と思いました。
 これまでの経過からいって、僕が同じようなことを書き続けているかぎり、HNを変えようがどうしようが、必ず見つかるという気がしましたし。
 「ネットの匿名性」なんていうのは、ある意味幻想です。
  そして、「ネットでは、好きなことが書ける」ということも。

 でもね、一度ついた習慣というのは、なかなか止められないんだよ。
 何か面白いものを見るたびに、どこかに書きたくなるし、本を読むたびにネタになりそうな文章を探してしまうのです。
 それに、サイトを閉鎖してから、(僕にとっては)たくさんのメールをいただきました。
 そして、そのメールをくださった方々は、いわゆる「サイト持ち」の人たちばかりではなくて、ごく普通に仕事をして、その合間の息抜きに僕の書いたものを読んでくれているような人たちだったのです。
 ネットの世界というのは、強い言葉を使える人や自己主張の強い人がどうしても目立ってしまう面があります。
 その中で、「いままでメールしたことはなかったんですけど…」という前置きで、何人もの方がメールを下さったのは、本当に嬉しかった。
 僕は、そういう人たちの仕事の合間の息抜きに読んでもらえる文章を書きたい、と常々思っていたので。

 結局、「書かない寂しさ」に僕は負けちまった、だけのことかもしれないけど。
 最初は一生懸命、「こういう寂しさも、ガマンすれば薄れていくはずだ」と思い込もうとしていたのです。そして、もうひとがんばりすれば、サイト運営は過去のものになったはずでした、たぶん。
 それは、まるで失恋から立ち直るプロセスのようなものでした。

 でも、僕はそのとき思ったのです。
 女の子に振られたのだったら、それは相手の気持ちもあるから仕方がない。
 でも、僕は自分で「サイトを閉鎖するんだ!」という意地にとらわれて、自分に対して嘘をついているんじゃないか?って。
 そうなんですよね、嫌になってやめたわけじゃないから、やっぱり未練があった。
 そして、そうやって自分に意地を張ったがために、僕は今までに多くのものを失ってきた。
 それなら、ちょっとだけ素直になってみようかな、と。
 こういうのが、年の功ってやつなんでしょうか?

 少なくとも今の段階では、サイトをやることによって得られるもののほうが、バレによって失うもののほうが多いはず。
 それがサイトをまたやろうと思った理由です。
 でも、書く内容については、ウケを狙うあまり調子に乗り過ぎないようにしよう。
 ほんと、書いてると、ついつい裏話的なことを書きたくなるのです。
 こんなふうに書けば、たくさん人が来てくれるかなあ、とか。情けない話ですが。

 最初は、僕だとわからないようにしようと考えて、某所で書いてみたりしたのですが、ぶっちゃけ話をすると、一度「ある程度人目にさらされる文章」を書き続けてきた人間にとって、「誰も読んでくれない文章」を書くのは、すごく辛いことです、少なくとも僕にとっては虚しかった。昔は売れていたのに、売れなくなった歌手とか辛いんだろうなあ、って思いました。

 全く宣伝もせず、更新報告もしないできたてのサイトなんて、残念ながら、誰も観にきてはくれません。
 同じ人間が、同じ様なことを書いていても。自分がそんなに目立ちたがりだとは思えなかったのですが、それでも誰も読まないであろう文章を書くのは、けっこう虚しい作業でした。。
 
 「いやしのつえ」の骨格は、前のサイトの2周年記念に大幅リニューアルをするつもりで造っていたものです。前サイトはデザイン的に不備が多かったので。ちなみに、市販のパーツを大部分使用しています。センスないから。
 それで、どうせサイトを新しくつくるんだったら、使えなかったこれを流用しようと考えたわけです。

 リンク集は、もう止めようと思っていました。徳保さんが書かれていたように、「いままでの人間関係は隠蔽する」というのが常道だと思いますし。
 でも、結局、消せなかったんですよね、リンク集。
 せっかく今まで築いてきた繋がりを絶ってしまうのは勿体無くて。やっぱり、誰かに気づいて欲しいっていうのもあったし。

 コメントについては、書き直そうと思ったのですが、全部書き直すのはすごく手間がかかりますし、書き直そうともしてみたのですが、最初に書いたコメントが、僕にとってはベストだったサイトがが多かったんですよね。もちろん、状況が変わったサイトや閉鎖されたサイトについては、リンクを外したり、コメントを変えたりしましたが。

 「そのまま」っていうのはリスクが高いということは承知の上でしたが、だからといって、どれかを外すとすれば、どのサイトを外すか?とか考えると、ひとりのサイト運営者としては、やっぱり自分のサイトが外されていたら「どうしてだろう?」とか感じると思ったのです(こんなふうに書いたからといって当サイトに義理立てされなくてもいいですからね、これはあくまでも僕の考えですし、他人に強要する筋合いのものではないですから)。
 そう考えると、「小細工してお世話になっている人たちを不快にするより、そのままでいいかな」というのが結論だったのです。
 HNとサイトアドレスを変えて、それでもバレたら仕方がないな、と。

 やたらと長い言い訳になってしまったのですが、基本的には前のサイトをやっていたときには、バレるのが、とにかく嫌でした。バレるくらいなら閉鎖してやれ、と。
 でも、実際に閉鎖してみると、まあ、バレることによるデメリットより、サイトを止めることのほうが僕には辛かった、ということなのです。だから、もう「バレないサイト」よりも「バレても極力困らないサイト」をやっていこうという発想の転換に至った、というのが、現在の状況です。

 ということで、「内容が抽象的になって、面白くなくなった」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、今後もたぶん、こんな感じの内容で続いていくことになるでしょう。

 もちろん、今後も知り合いにサイトの宣伝をすることはありません。
 もし知り合いが読んでいたら、お願いだから知らんふりしてくださるよう、心よりお願いいたします。

 たぶん、「いやしのつえ」は、これからの環境の変化を考えると、今以上の更新ペースになることはありえませんし、運営の方法も変わっていくかもしれません。
 でもまあ、自分なりのペースで、これからもやっていきたいと思います。

 どうか、末永くおつきあいいただければ。
 このサイトがほとんど前のサイトのコンテンツを引き継いだのは、僕自身が、自分が書いてきたものを葬り去るのに忍びなかったから、なんですよね。なかなか、ものを捨てられないで部屋が散らかる性質なので…

 「いやしのつえ」は、誰かのために更新されるサイトではありません。

 それは、今後も変わることはないと思います。

 でも、このサイトが続いているのは、きっと、読んでくださるあなたがのおかげなのです。

                               じっぽ拝