第101夜 体感ゲーム事始「ハングオン」

 

 この「ハングオン」というゲームをはじめて知ったのは、たぶん「マイコンBASICマガジン」の記事だったと思います。レバーとボタン、あるいはトラックボール、ガン型のものやレースゲームでのハンドルなど、それまでも様々な操作法はあったのです。

しかし、このゲームのように「プレイヤーが実際にバイク型の筐体に跨って、それを左右に傾けることによって、画面上のバイクもそれに従って動く、というのは、まさに画期的だったのです。

この後のセガ・体感ゲームシリーズである「スペースハリアー」や「アウトラン」が、「機械の力で動くシートをプレイヤーが体感する」というものであったことを考えると、「ハングオン」は、より原始的であると同時に、直接的な「体感ゲーム」だったのかもしれません。

最初にこのゲームを実際にプレイしたのは、某巨大温泉ホテルのゲームセンターという状況下で、まわりに人だかりができるほど注目度満点だったこのゲームに「乗る」のには、すごく勇気がいりました。1ゲーム200円だったしね。

それでも、勇気をふりしぼって200円を入れ、ゲームスタート!

ところが、カッコよくハングオンをきめる予定は、もろくも崩れ去りました。当時中学生だった僕は当然本物のバイクに乗ったこともなく、ちょっと体重を移動すると一気に左へ右へと傾いてしまう筐体で、カッコよくハングオンなんてできません。
 
まあ、ゲーセンで気合を入れてカッコよくハングオンをしている姿というのも、想像してみるとかなり滑稽なものですが…

困ったあげく、僕は、ひとつの攻略法を編み出しました。それは、「両足をついてバイクを操作する」というもの。
 でも、この方法を使うと「最高速度が上がらない」というシステムになっていたのですよ「ハングオン」は。

結局、どうやってもうまくいかず、ギャラリーの前で恥ずかしい思いをしたことが、すごく記憶に残っているのです。
 しかしながら、このゲーム、普通に動かないシートに座って、ハンドルだけ動かすタイプも少数ながら流通していたのですが、それだと全然面白くなかったんですよねえ。

恥ずかしいのもまた、ゲームの魅力のうち、だったのかなあ…