第164夜 悲劇のSF・RPG「銀河の三人」


参考リンク(1):銀河の三人

参考リンク(2):地球戦士ライーザの全て


 この「銀河の三人」のファミコン版は、任天堂から1987年に発売されたのですが、当時はまだ「剣と魔法のRPG」がようやく世間に認知されだした時代ですから、このゲームのようなSFのRPGは、まだまだ珍しかったのです。そもそも、「SFモノのゲームは売れない」なんてことも昔は言われていたようですし。まあ、確かに「純粋SFモノ」で売れたゲームって、考えてみれば、RPGでは「スターオーシャン」くらいのような気もするのですが。

西暦2300年──。
人類は地球連邦国家をつくり、永遠に戦争を放棄した。国境はなくなり、すべての人に愛と平和が与えられた。 しかし、外宇宙から現れたナゾの文明”ガルム”の攻撃により、地球はふたたび危機をむかえることになった。

「我々はおろかなる戦争によって我が大地ガルム星を失った。 我々は第2のガルム星をさがし、2億6千万光年の旅を続けてきた。 そして今、ここに安息の地を見つけたのだ。 その名は地球・・・・・・。」ガルムの強大な軍事力に地球は敗北寸前まで追い込まれていた。

 ストーリーとしてはもう定番、という感じなのですが、実は、この「銀河の三人」には、元になったパソコンゲームがあったのです。その名も「地球戦士ライーザ」。「ライーザ」は、当時エニックスから発売されていたのですが、参考リンク(2)を見ていただければわかるように、当時のパソコンとしてはかなり書き込まれたグラフィックを有しており、キャラクターも渋くて、かなりファンが多いゲームだったのです。まあ、いかにもアニメファンのお兄さんたちがが喜びそうな(というか、喜んでいた)グラフィックだったのですけどね。ちなみに、このゲームのガルムのメカデザインをしているのは、あの「ジーザス」のグラフィックを担当した真島真太郎さん。

 しかし、このゲームがファミコンに移植されたときには、「銀河の三人」とタイトルが変えられ、肝心のグラフィックは、なんと、巨匠・永井豪先生が担当されました。しかしながら、当時のゲーマーたちに言わせれば、「あのグラフィックが良かったのに、マンガみたいな絵になってしまった……任天堂は、売るために有名漫画家を使って、このゲームをダメにしてしまったのだ!」という、かなり大きなネガティブイメージが残ってしまったのです。僕や友達のパソコンゲーマーも、「あのファミコン版の絵はなんだ!」と、当時は本気で怒っていましたし。今から考えれば、グラフィックが変更されたとしてもこのゲームの本質的な面白さというのは変わらなかったのかもしれませんし、そもそも、ファミコンであのグラフィックを再現することそのものがムリだったのでしょうけど…

 そして、この「銀河の三人」は、当時としては、かなり意外なエンディングで有名でした。あの「ザンボット3」を彷彿とさせる(と言っても、誰もわからない可能性大か…じゃあ、「Zガンダム」くらいでとりあえず手を打っておきましょう)衝撃と感動のエンディング。もっとも、参考リンクなどで今見直してみると「そんなもんか…」という感じなので、あくまでも、あの時代基準なのですが。それでも、当時は「アスピック」と並ぶ、「衝撃のエンディング」だったんですよね。

 ちなみにこの「銀河の三人」、なんと発売日が、あの「ドラゴンクエスト」のわずか10日くらい前だったこともあり、デキのわりにはあまり売れなかったそうです。いや、あのころは、僕たちだって、「ドラゴンクエスト2」があんなに凄いゲームで、あそこまで大ヒットするなんて、全然予想していなかったんだけどねえ。