第156夜 スーパーファミコンを救ったRPG「ファイナルファンタジー4」


 前作「ファイナルファンタジー3」で、ようやく「人気RPG」としての地位を確立した「ファイナルファンタジー」なのですが、この「FF4」は、スーパーファミコンで発売されました。
 発売直後のスーパーファミコンは、「凄いんだけど、ロールプレイングなどの思考型ゲームが弱い」という難点があり、ユーザーのなかにも不満が高まっていました。「ドラゴンクエスト」シリーズは、例のごとく新ハードには乗り遅れるというか、ファミコン末期になって「4」が出たばっかりという状況だったので、この「FF4」にかかる期待は、非常に大きかったのです。ちなみに、スーパーファミコン本体の発売は1990年11月21日で、「FF4」の発売は、翌91年の7月19日。いまから考えると、8ヶ月も間隔が空いていたのかという感じです。いや、いくら「マリオ」や「F−ZERO」が凄くても、やっぱり、RPGのようなじっくり遊べるゲームがないという状況は、かなり厳しかったんですよね。「アクトレイザー」じゃあ、さすがに厳しいし。

 そんな「次世代機でRPGを遊びたい!」というSFCユーザーたちは、この「FF4」に大きな期待を寄せていました。「SFCの機能を生かしたグラフィックと素晴らしいサウンドのRPG」になるのではないかと。正直、発売直後はともかく、SFCの「新機能」を使うのはいいとしても、「このゲームも、拡大・縮小・回転かよ…」というような、あまりにもワンパターンな「次世代機の演出」に、ユーザーは早くも食傷気味でもありましたし。
 そんな厳しい状況のなか発売された、この「FF4」は、期待にたがわぬ凄いグラフィックとサウンドのRPGだったのです。これまでのFFシリーズは、確かに飛行船のグラフィックなどの処理の素晴らしさが評判になっていましたが、グラフィックやサウンドに関しては、それほど突出した存在ではありませんでした。でも、この「FF4」は、オープニングの時点で、ギャラリーからも「おおっ!」と声が上がるくらい、当時のゲームとしても突出していたんですよね。

 オープニングは、【強大な軍事力を持つバロン王国の飛空艇団長セシルは、ミシディアから「水のクリスタル」を奪うという任務を受け、これを達成した。しかしその帰り道、彼はこの行動に疑問を抱く。かつて王に育てられた孤児であった彼だが、最近の王の変心ぶりに疑問を抱いた彼は、クリスタルを渡す際にそのことを告げたことから飛空艇団団長の座を追われ、親友のカインと共にミストの幻獣退治を命じられるのであった。】というもので、これまでの「世界を救う英雄」が主人公のRPGとはちょっと異なる、中間管理職の悲哀みたいなものが伝わってくるストーリーです。セシルは「暗黒騎士」だし。そのうえ、王に依頼された「ボムの指輪」を届けにいくと……という、感じで、かなりストーリー性も高い作品になっています。途中でカインはアレだし、ローザもソレだしで、なんだか途中はけっこうメチャメチャな状況になってしまい、さらに最後のほうは、かなり説明不足な状況で「なんでいきなりこんな感じでまとまっちゃうの?まさか、早く出そうとするあまり、開発の途中だったとか…」と、ジャンプの20週打ち切りマンガのような理不尽感もありますが、それでも、「システム重視」の印象があった「FF3」に比べると、「FF4」は、かなりストーリー重視だったような気がします。ファイナルファンタジーって、けっこうシステムが複雑だったり独特だったりするんですけど、この「4」は、スーパーファミコンでの第一作ということもあり、自分で選べるジョブチェンジもなければ、アビリティなども自由度が低くて、システムはオーソドックスでした。そのぶん、演出面は、本当に派手だったんですけど。あと、「アクティブタイムバトルシステム」というのも、かなり話題になりましたよねえ。正直、「あんまり今までのものとは違わないな…」とも思ったのですが。

 いずれにしても、「ハードの性能を生かしたRPG」として「ファイナルファンタジー」の地位を確立したのが、この「FF4」で、その役割は、プレステの「FF7」で、最も発揮されることになるのです。
 それにしても、このゲームのオープニングの音楽のインパクトは、いまでもよく覚えています。ああ、ゲーム機もここまでの音が出せるようになったのだなあ、と感動したんだよなあ。今みたいに「普通の音楽」が流せるようになってしまうと、それはそれであんまり面白くないんだけどさ。