第94夜『Dの食卓』と「Eの勘違い」


 この「Dの食卓」、インタラクティブ・ムービーとかいって
(僕の感覚では、「タイムギャル」みたいなものか?という感じだったのですが)、
発売時はけっこう話題になりました。
 とはいえ、発売初期にこのゲームで遊んだ人は少なかったはず。
 なんといっても、最初に発売されたのが「幻の32ビット機」こと、
パナソニックの3DOというハードでしたから…
当時は、「他のハードには移植不可能!」とか言われて、
このゲームのために高価な3DOを買った猛者もいたとか…御愁傷様でした。
 結局、後日プレステとサターンに移植されて、みんな遊べるようにはなったんですけどね。

 このゲーム(と呼んでよいのかは、若干疑問なのですが。
「ゲーム性」には乏しい気もしますし)は、プレイヤーは主人公のローラとなって、
もともと有名な医者だった彼女の父親が殺人鬼となって立てこもった
ロサンゼルスの病院に潜入します。
 ちなみに、ゲームは「画面がスムースに切り替わるミステリーハウス」みたいな感じ。
 もしくは、ヌメっと動くアニメーション。
 ローラに与えられた時間は2時間(ゲームは、リアルタイムで進行し、
本当に2時間以内にクリアできないとゲームオーバーです)。
 父親の想念?で異次元空間となった建物のさまざまなトラップを潜り抜けて、
ローラは、父親のところまで行かなければなりません。
 しかし、このゲーム、けっこう怖い。画面は終始薄暗いし、
あまり画像的にリアルではありませんが、グロテスクなシーン(死体とか…)が満載です。
 キャラが動くのにいちいち時間がかかるので、また胃が痛くなります。

 途中、なんかヘンな虫の映像をみないといけなかったり、
騎士に何度も穴に叩き落されたりで、なかなか先に進めません。
 しかも、セーブできないので、「気持ち悪い」&「めんどくさい」で、
一度ゲームオーバーになってしまうと、もう一度挑戦するのにはかなりの勇気と気合が必要なのです。
 そして、ゲームをすすめていくと、衝撃の事実が!
 要するに、人間が人間を…という話なのですが、某E野さんの本によると、
「アメリカ版ではこの内容だと発禁になりそうだったので、
別の(マイルドな)バージョンで検閲を受けて、
ソフトを工場で大量生産する寸前に「本来のバージョンにコッソリ差し替えた」ということなのです。
 本当なんでしょうか(当時は信じてたけど、今から考えるとかなりウソっぽい…)

 そう、このゲーム自体も話題になったのですが、やっぱり「D食」といえば、
飯野賢治という人のことを避けては通れません。
 この人、ゲーム界での開発実績の割にやたらと知名度だけは高くて、
プレステ陣営からサターンに寝返る際に、わざわざプレステソフトの発表会で
サターン版「エネミー・ゼロ」の開発発表をやっちゃうようなアバンギャルドな人だったのです。
 しかしねえ、結局この人の作るゲームは、「理想論とゴタクだけが多くて、
あんまり面白くない」ものが多かったような気がします。
 でも、一時期は「ゲームクリエイターの代表」みたいな感じで、
いろんなところに露出してたよなあ…
 それでも、肝心のワープのソフトは発売日が遅れまくっていたわけですから、
いったい何やってるんだよ、という感じ。
 そういえば、1年くらい前にダウンタウンの「青年の主張」みたいな番組に出て、
賞金取ってました、飯野さん。
 なんのかんの言いながら、結局長生きするんでしょうね、この人。