ドライアイの恐怖!
共同通信の記事より。
【目の充血や乾きに悩まされるドライアイに、パソコンを常用する会社員らの約30%がかかっていることが、約1000人を対象にした京都府立医大の木下茂教授と横井則彦助教授らの調査で分かった。
同助教授らは、この調査結果などから、ほかの原因も含めた国内の患者数を1600万−2200万人と推定している。18日、都内で発表した。
パソコン作業従事者のドライアイの実態を明らかにした初の本格調査。女性に多いことが分かるなど、対策に役立ちそうだ。
ドライアイは目をよく使う職業の人がなりやすいとされる。調査は2000年11月−01年8月に東京都、大阪府、兵庫県で実施。パソコン作業に携わる19−73歳の男女会社員ら1025人を対象に、涙の分泌量と目の表面が乾くまでの時間の測定と、表面の傷の状況からドライアイを診断した。
涙が少ないか短時間で乾く、目の傷が多い−−の2基準を満たしドライアイと確定したのは、約31%の320人。片方だけに該当した疑い例は449人で、確定分と合わせ75%だった。「目が赤い」「乾いた感じ」「涙が出る」などの症状を訴える人が目立った。】
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「ドライアイ」これにはもう、本当に泣かされた。
だいたい僕の趣味は、パソコンとか読書とかゲームとか、「眼に優しくない」ものばかり。
むしろ、なりやすさから言えばドライアイ界のナリタブライアン級だと思う。
僕がこの病気(というか、以前は、単に「ひどい疲れ眼」という解釈だったような気がするが)を自覚するようになったのは、ちょうど5年生で病棟実習をしていたときの秋だった。
なんだかずっと眼がゴロゴロした感じで、眼窩の中の眼球の存在がうっとうしくなるような感じだった。普通の状況では、「眼球の存在」なんて、いちいち感じている人はいないですよね。
最初は、ちょっと気持ち悪いなあ、というくらいだったのだけど、空気の乾燥に伴ってなのかどうかはよくわからないが、なんだかどんどん眼のゴロゴロ感は強くなり、しまいには眼をあけていること自体が辛く思えるようになってしまった。
車を運転しているときはとくに症状が強くて、ハンドルを握っていると、頭の芯のほうから鈍い痛みが出て、頭がボーっとしてきた。
ひどいときには、「風が眼にあたっただけで痛い」のだ。
しょっちゅう頭はボーっとするし、病院嫌いの僕でもやむを得ず、なんらかの対策を立てざるを得ない状況になってしまったのだ。
そして僕は、こともあろうに眼科の教授に相談した。チュートリアルの関係で面識があったとはいえ、今から考えると、神をもおそれぬ所業だったと思う。知らぬが仏とはこのことだ。
今から考えれば、先輩のツテとかで中堅クラスの先生を紹介してもらえば良かったんだけど。
しかし教授は、怪訝そうな顔をしながら僕の話を聞き、「風呂に入ったら気持ちいいだろ?」僕は一瞬、「は?」と思った。だって風呂に入れば普通の人間は気持ちいいはずだから。しかし、その質問の真意は、「湿気の多いところでは、眼の乾燥がマシになってラクだろ?」ということだったらしい。
そして教授は、「じゃあ、検査してみるからな」と宣言し、おもむろに小さな細長い紙を取り出し、それを僕の眼の眼球の下にはさんだ。
「これで涙の量を測るから、なるべく眼をあけているように」
ハッキリ言って、痛い、痛い。地獄だ。
ただでさえ異物感があってゴロゴロしている眼に、紙なんか挟まれたらたまったもんじゃない。
おまけに、「眼をつぶっちゃダメ」なんて散々注意されるし。
そんなのアッサリ「そうですか」とガマンできるくらいの症状なら、わざわざ相談に来ないって!
心の中で「もう勘弁してくれ〜」を何百回か繰り返した後、
「よし、じゃあ、もういいから」という一言で、
永遠のように感じた地獄はついに終わり、僕の眼球の下に挟まれていた紙は取り出された。
教授はそれを一瞥し、「よし、君はドライアイだ!」と宣言した。
紙に浸透した涙の量が、正常よりはるかに少なかったのだ。
これは「シルマーテスト」といって、ドライアイの一般的な検査法だったのだが、考えてみると、これは、涙が少なくて眼に異物感がある患者にとっては、いちばんキツイ診断法のような気もしなくはない。
結局、その後は何回か目薬をもらったりしていたのだが、実習のストレスから解放されたおかげなのか、僕が慣れてしまったからなのか、とくにたいした治療もしないまま、ドライアイの症状はあんまり気にならなくなった。
いまだに、眼が乾燥しやすいのは事実だが、日常生活に困るような症状は出ていない。
浮き沈みはあるけれど、なんとか僕は生きてます。
僕がこの経験から学んだのは、検査っていうのは、病気のところを重点的に扱うわけだから、やぱり受けるほうはラクじゃないなあ、ということだ。
まあ、「医者には患者の痛みはわからない」とは言うけれど、もし患者さんと同じ痛みを医者が感じるとしたら、何もできなくなってしまうかもしれないけれど。
僕は暑いのは苦手なので涼しくなるのは嬉しい。でも、少しだけ不安な季節でもあるのです。