第142夜 みんな知っていた、でも遊べなかった…「コロニーオデッセイ」


参考リンク:Colony Odyssey

 1983年発売ということですから、今から20年以上前に発売されたこの大河アドベンチャーゲーム「コロニーオデッセイ」は、当時「歌うマイコン」という、「音階をつけて喋る機能」と「フロッピーディスクを標準で」搭載したことで話題になったPC6601というマイコンに付属していたゲームとして話題になりました。実際はこのゲームは「冒険編」と「対決編」の2部構成で、総画面数150枚!(当時は、アドベンチャーゲームの価値というのは、この「画面の数」と「画面表示速度」で決まっていたのです。今から考えたら、バカバカしいと思われるかもしれませんが、当時はこの150という数字だけで、オオーッ!と感じてしまうくらいの大河っぷり)の超大作で、冒険編・対決編をあわせると、ディスク6枚組になります。もっとも、僕は「対決編」のほうは、触ったことはないんですけど。あと、この「ディスク○枚組!」っていうのも、けっこうインパクトがあったよなあ…

当時はまだマイコンのメディアはカセットテープが主流の時代だったので、正直、PC6601のフロッピー搭載という「英断」に対しては、「フロッピー使うようなお大尽は、6001シリーズなんて買わずに、98とかを買うんじゃないか?」というような印象を受けたのも事実なのですが。

あのころのマイコン雑誌というのは、まだまだ発売されるゲームの数そのものが少なかったので、機種に関係なく、面白いゲームは大々的に取り上げられていました。そこで、このPC6601のおまけゲームは「あの『日本沈没』の小松左京監修(「監修」って、今から考えたら激しく微妙なのだけれど)」「マイコンが喋る!」などの話題性もあって、かなり大きな扱いを受けていたような記憶があるのです。しかしながら、実際にこのゲームをリアルタイムで遊べた人というのは、PC6601ユーザー、あるいは後に発売された、PC6001mk2版(5インチフロッピー版。当時の60ユーザーで、フロッピーを持っていた人がそんなにいたとは思えない)を買った人、ということになりますから、ごく少数だったに違いありません。今だったら量販店でパソコンを買うとおまけについてきたりするフロッピーディスクなんですが、当時はフロッピーのハードだけで10万円以上とかしてたので。

「コロニーオデッセイ」というのは、多くのオールドマイコンゲーマーにとっては、「あのころ、遊びたかったなあ…」というゲームではあったのですよね。

「コロニーオデッセイ」は、なぜかいきなり宇宙人にさらわれてしまった恋人を助けるために、宇宙に点在しているさまざまなコロニー(中世ヨーロッパ風とか、開拓時代のアメリカとか)を巡っていくというアドベンチャーゲーム。

正直、グラフィックはカラフル、だけどいかにも「ドットの荒い6001シリーズの癖が出ている」ものではありますし、例のごとく、理不尽な謎解き満載ですし、なんかちょっと、あの有名な「タイムゾーン」(アップル2の超大河アドベンチャーゲーム。全世界で5人くらいしか解いていないとかウワサされていた。もちろん男闘呼組の歌じゃないです)っぽいゲーム構成でもあるし、漢字が使われている一方で、漢字がひらがなに比べると異様に大きかったりするのですけど、それでも、「よくぞ6001でここまで…」と思いながら見ていたものです。まあ、「こんなに頑張っても、所詮6001だよな…」という気持ちがなかったといえば、ウソになるんですが。

 それにしても、このゲーム、「冒険編」をクリアしたら「対決編」を買ってください、という画面が出るらしいのですが(「もよりのはん売店でおかいもとめ下さい」と「宇宙の意思」(!)が言うそうです)、実際に遊んだことがある人、ましてや対決編までクリアした人というのは、ものすごく少なかったでしょうね。20年前には、僕が住んでいた田舎では、マイコンゲームを売っているところそのものが希少だったし。

実はこれ、「みんながコレで燃えた!永久保存版PC8001・PC6001」(アスキー)という本を読みながら書いているのです(この本には、Windowsで遊べる「コロニーオデッセイ」が収録されています)。でもたぶん「コロニーオデッセイ」を今遊んでも、全然楽しくないだろうな、とも思うのです。現在の小中学生にやらせたら「何このクソゲー!」とか言うこと間違いなし。

それでも、僕にとって、リアルタイムでは遊べなかったこのゲームは、今でも「記憶に残る作品」なんですよね。