第93夜 そして、束の間の友情が生まれた…「バトルシティ」
このゲームの元になっているのは、ナムコの初期の傑作ゲーム「タンクバタリアン」。
レンガで囲まれた迷路状の戦場で、「マイタンク(戦車)」を操って
敵の戦車を全滅させるというゲームです。
「タンクバタリアン」の新機軸というのは、いままでのゲームの多くが、
「自機がやられたら終わり」という設定だったのに対して、
このゲームでは、もちろんマイタンクがやられたらダメなのですが、
それと同時に敵のタンクに味方の「司令部」がやられてもゲームオーバー、
という点です。
プレイヤーにとっては、あんまりありがたくない新機軸なのですが、
この司令部が無防備極まりないヤツで、一応レンガで囲まれてはいるのですが、
レンガを壊されて敵のタンクの弾を一発くらったら降伏してしまうのです。
マイタンクはここでこんなに頑張ってるのに、なんで降伏するんだよ!
まさに、蜀滅亡のときの姜維の心境とでも申しましょうか。
さて、そのパワーアップ版であるファミコン版「バトルシティ」なのですが、
このゲームは接客用として、たいへん調法したものです。
「タンクバタリアン」との違いは、自機がアイテムでパワーアップできること、
敵のタンクに、速い弾を撃ってくるやつや弾を何発も当てないと壊れない
堅いやつが出てくること、地形に壊せない壁や川が出てくること
(壊せない壁は、パワーアップしたタンクだと壊せます)。
そして、なんといっても「2人同時プレイ」ができるようになったこと。
2人で協力すると、「ここから先には敵は通さない!」という
「防衛ライン」を築くことができたり、画面の左右をそれぞれが受け持ったりして、
かなり先の面に進めるようにもなりますし、
自分がいる逆方向から司令部が攻撃されてゲームオーバー、
ということもなくなります。
どちらかがやられると防衛ラインが崩壊するわけですから、
日頃他のゲームでは取り合いになるパワーアップアイテムも、
同じくらいの強さになるように譲りあったり、このゲームを2人でやっている間は、
美しい友情を築くことができたものでした。
そのあと「バルーンファイト」とかをやると、
もろくも崩れ去るはかない友情ではありましたが。
ほんと、単純なゲームだったんですが、
やっぱり戦友っていうのは深い絆で結ばれているんだなあ、などと思ってみたり。