これも職業差別?
当直をしながらこれを書いていた。ゴールデンウイーク中の当直、ふう。
今日は外は雨で、そんなに急患も来ないだろうという予定。
ところが、外来から一本の電話。
「先生、救急隊から電話があって〜ビルで20歳くらいの男性が、飲みすぎて意識を失った、レベルは100くらい、ということで依頼があったんですが、どうします?」と当直の看護婦さんが。
「どうします?」って、断ってもいいんですか?とちょっとひねくれてみる。
この辺では、かかりつけでもない急患、しかも急性アル中をとってくれる病院なんてありはしないのはわかってるんですけどね、はいはい。
これで給料もらってるとはいえ、急性アルコール中毒は、なんだか哀しくなる。
愉しく飲もうよ、どうせならさ。
〜〜〜〜〜〜〜(この間1時間半)
急性アル中の人、観察入院になりました、はい。
まあ、一晩寝れば、たぶん大丈夫なはず。
僕がどうして急性アル中の患者さんがキライかというと、嫌な想い出があるからなのです。
それは、今からちょうど4年ほど前、救急部をローテーションしていた時期のこと。
救急外来に連絡なしで現れた急性アル中の患者とその友人たち。本人はもう完全に意識とんじゃってますから、まあ、ぐったりとしているだけなんですが、その友人というのが、とんでもない連中で。救急外来で、僕らが処置をしていると「お前ら何やってるんだ〜」と殴りかかってくる。落ち着いてください、というと「医者なんか、違う世界のやつらなんだ!俺たちのこと、バカにしてるだろ!!」とまた殴りかかってくる。
だから、処置してるだけだって。眠そうな、嫌そうな顔はしてるかもしれんけどな。
まさにブラック・タイガー軍団。
バカにしてるというよりは、勘弁してくださいと思っているというのが真実なのだが。
さらに、「医者なんかに、俺たちの気持ちがわかるか〜」と大暴れ、殴る、蹴る。
今だったら「そのとき、虎がいっせいに噛み付いた!!」とかいう、「マネーの虎」風のコメントがつきそうなところ。
それでも、「患者さん」とその家族というのは「絶対的弱者」で医者は「絶対的強者」なのだ。
殴り返したり、言い返したりすることは、赦されないこと。
そっちこそ、勝手に飲んで、勝手に暴れてやがって、お前たちに夜中も仕事してる俺たちの気持ちがわかるか!!と言い返したい気分でいっぱい。
でも、僕たちは聖職者だから、抵抗できないのだ、これが。
くそ、ドラクエの僧侶だって、バギくらい使うぞ。
こういうのって、職業差別じゃないのかなあ?
ちなみに、彼らは、警備員の人たちに取り押さえられましたとさ。
警察呼ぼうかと思ったぞ、ほんとに。
それ以来、僕は急性アルコール中毒に対して、寛容になれないのです。
酒は飲んでも、飲まれるな、これ酒飲みの鉄則。
ちなみに、僕の友人の女医さんは、旅行先で仲良くなった同じの女の子に「自分は医者である」ということを話したら、急に相手はよそよそしくなり、それまでタメ口だったのが敬語で話すようになったそうです。なんだか、とてもかなしい現実。