第86夜 熱帯魚は、シーマンより手がかかる…「アクアゾーン」
パソコンの中で熱帯魚を飼う、というこのゲーム
(というより、環境ソフトに近いかも)は、一時期、ものすごく流行したものです。
ユーザーは、自分のパソコンの中に、バーチャルな水槽をつくって、
その中でさまざまな熱帯魚を飼い、それを眺めて楽しむというソフトです。
そう、コンセプトは「眺めて楽しむ」
なんて優雅なオトナの世界!!
餌をやれば魚たちは一時的に寄ってきますが、それ以外は基本的に
魚は好き勝手に動き回っているだけ。さりとて、面白がって餌をやりまくっていたら、
水が汚れてしまって、水槽は魚の墓場になってしまうのです。
基本的には、水槽内は現実と同じスピードで時間が流れます。
ただし、人為的に時間の進み方を遅くしたり、時間の進行を止めたりすることも可能。
そうすると繁殖行為などは起こらないかわりに、病気などのリスクも防げる、
というわけなのです。
何も起こらなければ、シーマンみたいに「餌くれ!」とか
大騒ぎすることもありませんし、餌や照明のオンオフの時間を
きちんと調整しておけば、そんなに毎日あれこれいじる必要もありません。
でも、この「アクアゾーン」、見た目ののどかさとは逆に、
実際はけっこうややこしくて、リアルなことは確かなのですが、
水槽の温度設定や水質管理、餌の量、照明の設定など、
本物の熱帯魚飼育のための知識が要求されるのです。
それでも、試行錯誤の末、なんとか水槽の中が安定し、稚魚が誕生するようになると、
なかなか感動的です。とはいえ、眺めてるだけですから、けっこうすぐ飽きますが。
しかし、ようやく慣れてきた頃に、最大の敵が…
それは、「病気」。
「アクアゾーン」内では、病気の魚に対する対処法として、
病気の魚を別の水槽に隔離して、薬の入った水で薬浴させなければならないのですが、
これがけっこう面倒くさいし、おまけにこの「薬浴」で、
魚の病気が治ったことはほとんどないような気がします。
それでも、放っておいたら病気がどんどん伝染して絶滅してしまうので、
結局、病気の魚は「なかったことにする」しかなくなってしまうのです。
それでも、病気はどんどん蔓延していって、いつの間にか水槽は
「開かずの間」のような存在になってしまいます。
要するに、僕に生き物を買う資格とか才能ってものが、
欠落しているということなのかもしれませんが、あまりにリアルすぎるのも考えもの、
ってことですね。
熱帯魚に比べたら、シーマンは生命力ありますよ。うるさいけど。