厚木基地誘致問題での申し入れ
岩国商工会議所
会頭 笹川 徳光 殿
在日米軍基地の再編協議の中で、厚木基地空母艦載機部隊とNLP(夜間離着陸訓練)の岩国移転案が浮上しています。
岩国商工会議所では厚木基地誘致を検討する「基地問題調査特別委員会」が設置されていると聞いています。
一月二十四日の笹川徳光会頭の年頭所感は、現在建設中の新滑走路のさらに沖合にNLP用の新滑走路を建設することと、「民間空港の即時暫定開港とターミナルの建設整備」など十八項目を条件に厚木基地移転を求めています。
岩国市民は長い間、騒音・犯罪・事故などの基地被害に苦しめられてきました。基地被害をなくし、平和のうちに安心して暮らせることこそ岩国市民の悲願です。山口県議会も岩国市議会も「NLP反対」「基地機能強化反対」の決議を行っているところであり、岩国商工会議所としても、厚木基地の誘致は行わないよう申し入れるものです。
今、岩国市は五十年、百年先の将来も見据えて、街づくりを考える時にきています。このまま基地に依存し続けるのか、それとも基地のない平和で豊かなまちづくりをめざすのかが問われています。
基地があるために、市民の平和と安全が脅かされていること、生活環境が悪化していることは誰もが認めることです。健全な都市計画の発展が阻害されていることも指摘できます。経済効果についても、基地があるばかりに岩国市がこうむった財政的損失は、笹川会頭も指摘されるように、多大な額になります。
現在、「滑走路移設事業」「愛宕山開発事業」など基地に関連し、他都市に見られない大プロジェクトが進められていますが、岩国の経済にどれだけの効果があるのでしょうか。現在多くの市内中小企業・業者は長引く不景気に苦しみ続けています。大プロジェクトの恩恵を受けている市内企業・業者はごくわずかしか見当たりません。
国から財政的支援があり、たとえ一時期のみ潤うことがあっても、岩国市経済の健全な発展がなければ長続きせず、結局経済的なメリットはないのです。基地に依存する道を歩んだのでは、本当の経済的発展は見えてきません。このことは戦後六十年の岩国市の歴史が語っていることです。
真に経済的な発展をかちとるためには、誰もが住んでよかったと思えるまちづくりの道を進むことです。
基地被害をなくす、そして滑走路移設後の跡地返還を実現するなど基地の拡大・強化を許さないことを一歩とし、将来基地のない平和で安心できるまちづくりに岩国市が踏み出すことが、本当に豊かなまちをつくることではないでしょうか。
岩国商工会議所の賢明なご判断をお願いするものです。
二〇〇五年四月十二日
日本共産党東部地区委員会
委員長 山中 良二