2015年9月議会一般質問 山田やすゆき議員
おはようございます。日本共産党の山田泰之です。通告に基づいて質問を行います。
昨日の21番議員の質問と一部重複するかもしれませんが、地域産業として、農ノ・林業の育成について質問を行います。
我が国の農林業と農村は崩壊の危機が広がりつつあります。日本の食料自給率は、先進国で最低水準のままであり、岩国市も例外なく農業従事者の高齢化が進み、国土の荒廃も広がっております。
今日の危機的状況は、大企業製品の輸出を最優先し、TPP等で食料を輸入すればいいという政治が行われています。広大な岩国市の行政面積の81%を占める森林は放置されていると言っても過言ではありません。再生可能な木材の供給とともに、中山間地域の維持と国土・環境の保全や水源洒養、生物多様性の捻出の保全、レクリエーションの場、これらの提供など市民生活に不可欠な役割を果たしています。またC02の吸収・固定による地球温暖化防止への寄与など、低炭素社会の実現にも欠かせない資源であります。
岩国市の森林は、戦後の植林が多く、森林の育成の段階から利用の段階に今入っているのではないでしょうか。山林所有者からは木材価格が安過ぎて伐採できないという声が寄せられております。
健全な森林の育成と持続可能な林業経営のため、地域の実情に即した安定的な生産・加工・流通体制の構築を求めます。
次に、農業振興と鳥獣被害防止対策についてお尋ねします。
戦後、日本の農業を中心に支えてきた農家は、超高齢化が進み、担い手の面から農業と農村が崩壊しかねない状況であります。日本の食料生産は誰が担うのか、国土や環境を誰が守るのか、農村地域にとどまらず、日本社会が真剣に向き合う待ったなしの課題であります。
国連は2014年に、国際家族農業年に設定し、世界各国に農業、兼業も含め、家族経営に対する援助を呼びかけました。安倍内閣は、この呼びかけを無視し、日本を企業が一番活躍しやすい国にするとして、営利企業に農業・農地を全面的に開放する規制緩和、農業改革を進めています。これは家族農業とその共同を基本的な担い手としてきた戦後農政のあり方を根本から壊し、農業・農村をもうけ本位の場にするもので、地域農業も地域社会の維持も困難になります。岩国市は、農業・農村の現在と将来の担い手の確保・育成に特別な力を注ぐことが求められています。
また、ふえ続ける鳥獣被害は、農豪の生産意欲を失わせ、集落の衰退にも拍車をかけ、それが鳥獣被害への対抗力も弱める、こういう悪循環をもたらしています。根本的に農林業が成り立ち、農山村で元気で暮らせる条件整備が不可欠です。鳥獣が里山に下りずに生息できる森林環境を整備するとともに、防護柵・わなの設置、捕獲物の利用など、農家への支援が必要です。答弁を求めます。
次に、基地問題について質問を行います。
今、米軍岩国基地内では、2017年に厚木基地の艦載機部隊受け入れのため、この工事が急ピッチに進められています。工事完了後、米軍再編に伴い、空母艦載機59機が移駐すれば極東一の米軍基地になることは間違いありません。
日本共産党市議団は、平成21年の12月議会以降、岩国米軍基地に新たにステルス戦闘機F-35Bの配備計画についてたびたび質問を行ってまいりました。これらが移駐されれば、まさに極東の最大級の軍事基地となります。今、ステルス戦闘機F-35Bの岩国基地への配備の準備が着々と進められております。ステルス戦闘機F-35B、10機の配備に反対いたします。市長の見解を求めます。
岩国市は、米軍基地と共存するまちとして、市民の安心・安全と平穏を確保するとしております。
「基地と岩国」によると、岩国基地は岩国市臨海平野部のほぼ中央に位置し、約7.89キロ平方メートルの広大な面積を占め、中心市街地である麻里布地区と南部地区を分断している。こうしたことから、基地の存在は都市整備と、また、産業活動上等の面でも大きな支障を来たしており、岩国市の土地利用の適正化を阻む要因となっている。また、岩国基地は、市街地の中心部に位置し、航空機の墜落、または落下物があった場合、大惨事になる危険性が常に存在していると指摘し、米軍人と市民の間には、言葉、生活習慣の相違などもあって、風紀の維持に困難な点があり、いろいろなトラブルや各種犯罪が相当発生していると記載されています。各種犯罪についてどのように対処するのか、防止対策についてお聞きします。
また、岩国基地において発生した航空機やヘリコプターの墜落、不時着、航空機からの落下物による被害等の事故が多発しておりますが、これらの原因について米軍からの報告はどのようになっているのでしょうか、お聞きします。
航空機の騒音被害についてもお聞きします。
戦闘機の騒音は、一般騒音とは異なり、危険的、威圧的な騒音を伴い、被害は明確であり、ジェット機の飛行中に発生する被害地域は、臨海部だけでなく、市街地上空など所構わず飛び回って騒音をまき散らしております。以前から騒音の軽減と民間防音対象区域の拡大を求めてまいりました。
騒音がひどく、苦情が多くなっています。騒音軽減と防音工事対象区域の拡大を求めます。
このように基地が所在するゆえに岩国市ではさまざまな問題が発生しています。市長におかれましては、基地との共存のまちづくりと基地が土地利用の障害、基地にまつわる被害との整合性についてお聞きします。
以上で壇上からの質問を終わります。
○市長(福田良彦君) それでは、山田議員御質問の第1点目の農林業についてお答えをいたします。
まず、(1)の地域産業として林業・木材産業の育成についてでございますが、森林は、地球温暖化防止を初め、山地災害の防止や水源の洒蓑といった公益的で多面的な機能を有しており、それらの機能は、安心・安全な市民生活のために欠くことのできない重要なものとなっております。
本市の林野面積は、7万1,294ヘクタールで、林野率や人土林率については山口県の平均を上回っており、県内有数の林業地帯である本市では、錦川流域の森林を中心に良質な木材が生産されております。
しかしながら、林業経営におきましては、就業者の高齢化や担い手不足、長引く国産木材の価格低迷、木材流通の停滞などにより、健全な森林を支える林業の構造的な厳しさは一段と増しています。
また、本市にあります林業経営体のほとんどが家族で経営する小規模な個人経営体であることから、後継者不足などの問題により、森林組合などの林業事業体に委託する経営体が年々増加をしております。
さらに、木材価格の低迷により、間伐などの森林整備が余り進んでいない状況にある中で、森林組合などの林業事業体は、森林所有者から受託し、造林や間伐などの作業を行う森林整備の中心的な担い手として位置づけられており、今後の林業振興において重要な役割を果たす存在となっております。
林業の生産性を向上させるためには、育林や間伐などを効率的に行うとともに、コストの低減を図る必要があり、隣接する複数の所有者の森林をまとめて育林や間伐などの作業を集約化し、一体的に林業を進めていくことが大切であります。そのためには林道や作業道の整備や、高性能林業機械の導入といった条件整備が必要であり、生産コストの低減を図るための、各種支援を積極的に進めていきたいと考えております。
本年度は、間伐の効率性を高めることなどを目的に、国の補助による林道整備を1路線、県の補助による林道整備を2路線行うなど、林業基盤の整備を進めているところであり、山口県においても2路線の林道整備を実施されています。
また、木材の利用を促進することが重要であることから、公共施設の整備において、木材利用を積極的に進めることや、木造住宅の建築を促進するための補助事業を進めていくなど、今後も引き続き県や関係機関と連携を密にしながら、可能な限りの支援を行ってまいりたいと考えております。
次に、(2)の農業の振興と鳥獣被害防止対策についてでございますが、農業につきましては、農業従事者の高齢化が進むとともに、耕作放棄地が拡大し、農地の維持と担い手の確保が深刻な課題となっております。また、米などの農産物の価格も低調に推移する中で、生産資材などの高騰により、生産農業所得は低水準となっており、農業経営は厳しい環境となっております。
野生鳥獣による農作物被害においては、中山間地域を中心に全国的にも深刻な問題となっており、本市の状況としましては、イノシシや猿を中心とした獣類による被害が全体の約9割を占めている状況でございます。これらは集落の過疎化・高齢化による人間活動の低下とともに、近年の気象状況の変化に伴う鳥獣の生息域の拡大などが影響していると考えられます。
また、野生鳥獣による農作物被害は、農業者等の営農意欲の低下を招き、鳥獣の餌場や、隠れ場所となる耕作放棄地を拡大させ、これがさらなる被害を招くといった悪循環を生み、大きな課題となっております。
こうした状況において、農業経営を持続的に営むためには、農地の集約や農業経営規模の拡大、効率的な生産条件の整備、農業後継者の確保策の推進などが必要であると考えております。また、農作物被害を防止するためには、人の生活活動域に野生鳥獣が入り込まないよう、すみ分けを行う必要があります。
具体的には、野生鳥獣の隠れ家となる竹林を効果的に整備していくために、やまぐち森林づくり県民税事業を活用し、中型の木材粉砕機である竹チッパー2台を購入する予算を本議会に提案をしており、今後は森林整備活動を行うボランティア団体や地域の方々に活用していただくようにしております。
本市では、平成26年度に策定した岩国市鳥獣被害防止計画に基づいた、野生鳥獣の捕獲による適正な個体数管理、鳥獣の侵入を防止する防護柵の設置に対する支援、農地と里山の間に緩衝帯を整備する支援など、鳥獣被害防止対策の強化や農作物被害の軽減に取り組むことで、農作物を安心して生産できる環境の整備を図るとともに、担い手の育成や、農林業・農山村の多面的機能の推持・増進に取り組みたいと考えておりますので、よろしくお願いをいたします。
○基地政策担当部長(高田昭彦君) 第2点目の基地問題についての(1)基地との共存のまちづくりと基地が土地利用の障害となっていることの整合性についてお答えします。
御承知のとおり、昨年12月に策定しました岩国市総合計画に、当計画において初めて基地との共存を掲げました。ただ、計画上は初めてでありますが、これまで岩国市と基地の関係がどうであったかと言えば決して共存の関係でなかったということではなく、市の基地対策の基本姿勢において言葉では明確にあらわしてはいないものの、その内容は共存を前提としてきたものでございます。
岩国市は基地とともに歩んできた歴史があり、多くの市民が基地の存在を受け入れ、基地の安定的な運用に協力してきたものと思っております。
総合計画の策定で、基地と共存の関係を新たに構築しようとするものでなく、検討委員会における委員の皆様からの御意見も踏まえた上、これまでの共存の関係を再確認し、共存に向け、基地に起因する安心・安全対策に取り組むとともに、教育や交流などの分野で基地を積極的に活用していこうとする姿勢を示したものです。
また、基地と地域社会、言いかえれば米軍人や米軍家族と市民がかかわりを持ち、相互理解を図ろうとすることが共存の精神と考えております。
航空機騒音などの基地に起因するさまざまな障害、その中には土地利用に係るものもあるかもしれませんが、このようないわゆる負の側面については、これまでと同様に少しでも取り除いていく努力をしていく、あるいはそうした負担に見合う財政措置や必要な対策を国に求めていく必要があります。
申し上げるまでもありませんが、基地との共存とは、基地の持つ負の側面から目を反らすことでは決してなく、これに積極的に取り組み、改善に向けた努力をする一方、基地の存在を岩国市の大きな特色、有効な資源として捉え、活用できる分野については前向きに取り組んでいこうとするものでございます。
マイナスの側面、言いかえれば、基地に起因する障害については軽減しながら、プラスの面については生かしていく、こうした取り組みは決して矛盾するものではないと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
次に、(2)F-35Bステルス戦闘機配備に反対することについてにお答えします。
F-35B戦闘機に関する新聞報道等につきましては、市としましても承知しておりますとともに、関連する情報収集に努めているところでございます。
同機の配備に関しましては、国から、F-35Bについては、2013年及び本年の日米2プラス2共同発表において、2.017年に我が国への配備が開始されることについて言及されておられますが、配備先等の詳細については、米国政府から正式な通報を受けておらず、引き続き意思疎通を行っていくものと承知している旨、説明を受けており、市といたしましては、岩国基地への配備が決まっているとは認識いたしておりません。
いずれにいたしましても、市といたしましては、同機の配備については、基地対策の基本姿勢である、基地機能が変更される際には、その影響により、周辺環境が現状より悪化することとなる場合、及び十分な安心・安全対策が講じられるとは認められない場合はこれを容認できないという立場をしっかりと堅持し、対応してまいる所存でございますので、よろしくお願いします。
次に、(3)岩国基地周辺の過去の事故とその後の報告についてお答えします。
岩国基地周辺における過去の航空機事故については、市が発行しております「基地と岩国」にも掲載しておりますが、その件数については、昭和23年から平成26年度の間で97件となっております。
事故の内訳につきましては、墜落が33件、不時着が5件、落下物が45件、離発着事故その他が14件となっており、これは米軍機、自衛隊機を合わせた数でございます。また、事故の発生年月日、発生場所、事故の概要、被害状況を掲載いたしております。
事故が発生した場合には、緊急時の連絡通報系統に沿って、市を含めて関係機関への通報がなされ、事故の状況に応じて各機関が必要な対応を行うこととなります。各事故のより詳細な情報や、岩国市が行った基地や国への申し入れの状況については、「基地と岩国」には掲載しておりませんが、得られた情報や記録については、市において整理し、保存しておりますので、よろしくお願いいたします。
次に、(4)米軍人等による犯罪及び交通事故等による被害とその後の対策についてお答えします。
航空機事故と同様に、米軍人等による犯罪及び交通事故等につきましても、「基地と岩国」に掲載しております。「基地と岩国」には、各年度ごとの刑法犯及び交通事故の発生件数及び岩国警察署管内における総件数に占める比率、また、交通事故については事故による死傷者数などを掲載しております。
岩国基地所属の米軍人等による犯罪や事故が発生した場合には、犯罪等の状況をこ応じて、山口県と連携して綱紀粛正や再発防止等の要請を、米軍や国に対して行っております。また、市長自らが岩国基地内でブリーフィングで行っており、この中で、事件・事故等が発生した場合の影響や、周辺住民との信頼と理解を得ることの大切さを訴えるとともに、市内に住む全ての人々が暮らしやすい安心・安全なまちづくりを推進するために、米軍、国・県と安心・安全共同パトロールの実施も継続しております。
事故、事件のない安心・安全なまちづくりのためには、地道な努力を積み重ねていくことが大切ではないかと考えております。市といたしまして、引き続きこうした努力を続けながら、43項目の安心・安全対策わ中の治安対策の強化の項目が一層果たされるよう努めてまいりたいと考えております。
次に、(5)騒音被害対策についてお答えします。
御承知のとおり、住宅防音工事につきましては、米軍岩国基地に係る43項目の安心・安全対策の中の住宅防音工事に関する制度の拡充の項目で要望をしております。
これまでの成果といたしましては、80W値以上の告示後住宅が全国で初めて対象に加えられたところでございますが、さらに、対象区域を70W以上に拡大することなどを重点的に要望しているところでございます。
現在の騒音状況といたしまして、滑走路の沖合移設後、数値的には騒音が軽減しておりますが、それに反して騒音に対する苦情の件数は少なくなっていない状況でございます。
一般に、騒音のうるささをどのように評価し、その対策としてどの範囲を対象とするかということについて、住宅防音工事の助成制度が全国的にも共通の制度である以上、対象地域の指定値や範囲については、騒音測定器で測定された数値等の客観的なデータにより定められる必要がございます。
市といたしましては、騒音が数値的には減少しているものの、住民の皆様からの航空機騒音に関する声についてはしっかりと受けとめ、こうした声を踏まえ、米軍に騒音の軽減を求めるとともに、住宅防音工事の拡充について、ねぼり強く国に要望してまいりたいと考えております。
また、住宅防音工事の拡充につきましては、岩国基地だけなく、基地所在の自治体の共通の課題であり、渉外知事会等においても継続的に要望を行っておりますので、よろしくお願いいたします。