2015年9月議会一般質問 つぼた恵子議員
つぼた恵子 日本共産党市議団 坪田恵子です。このたびは市議団を代表して一般質問を行います。
今議会では、3項目の質問を通告しています。
では、1項目めの教科書問題について質問をさせていただきます。
「戦後レジームからの脱却」が信条という安倍首相の基本姿勢を後押しする教科書が再び、市内、和木町の公立中学校で使われる歴史の教科書として採択をされました。その育鵬社版「新編 新しい日本の歴史」教科書の内容は、2011年に検定済みの「新しい日本の歴史」教科書をより一層深く、安倍内閣の意図に応じる記述に変えたものとなっています。
その内容は、教科書の「日本国憲法の制定」に記述されている「日本国憲法の最大の特色は、交戦権の否認、戦力の不保持などを定めた他国に例を見ない徹底した戦争放棄(平和主義)の考えでした。しかし占領が終わり、我が国が独立国家として国際社会に責任ある立場に立つようになると、憲法改正や再軍備を主張する声が上がりました。この問題については、現在もなお多くの議論が行われています」となっています。
今、世論はどう動いているでしょう。安倍内閣が推し進める歴史教科書の流れ・記述とは、全く正反対の方向に動いています。70年前、二度と戦争をしないと誓った日本国民の痛切な思いが凝縮されたのが憲法9条です。同時に9条は、アジアと世界に向けた不戦の公約でもあります。その憲法9条を破壊する戦争法案の強行は、国民世論だけでなく、世界の平和の流れに大きく反するものであることは明らかです。
「あの戦争は自存自衛で、アジアの解放のためだった」という教科書の採択に、岩国市も再び加わったことは重大な問題であり、怒りが湧いてきます。
そして、私は、特に歴史教科書というものは、子供たちに歴史の真実を伝えるものでなければならないと強く思っています。歴史教育者協議会の前事務局長・大野一夫さんは、「教科書は、子供たちが社会に出て「生きていく力」になるものにしなければならない。歴史を学ぶとは、過去を知ること。それが歴史の中に生きていることを自覚することにつながり、未来をつくる糧になる」と言っています。
1996年の慰安婦記述の削除を求める運動が起きたときに、ある中学生が言ったそうです。「教科書に載って事実を教える先生と、教える必要はないと考え教えない先生がいると思う。だから載せなければならない」と。これは教科書が果たす役割を物語っています。
教育長は、憲法違反の戦争法案を何が何でも成立させようとしている安倍政権に対し世論がどう動いているか、また、政権政党やその支持勢力である財界などの圧力で、教科書の内容を自分たちの政治目的に都合のいい方向に書き直させるような動き、また、文科省が教科書検定基準を改定し教科書等の統制を強めていることなどを理解され、育鵬社版の歴史教科書を採択されたのでしょうか。これまで、岩国の教育を考える会を中心に市民が意見した内容はどのように受けとめられ、協議に臨まれたのでしょうか。協議会の傍聴を初め市民の意見など公開することを求めます。教育長の見解を伺います。
続いて、2項目め、高校生の就職についての質問です。
ことし6月に開催されたILO・国際労働機関、第104回総会では、非正規労働から正規雇用への転換を促進する、インフォーマル経済からフォーマル経済への移行に関する勧告を、多数の賛成で採択し、日本の代表も賛成をしました。
このように、国際社会が非正規から正規への転換促進に向けて真剣な討論を行っているときに、派遣労働をさらに拡大する派遣法の改悪案や、残業代ゼロと過労死促進につながる労働基準法改悪案を強行しようとしている安倍政権の暴走ぶりは、世界から見ても孤立した異常のきわみです。
雇用は正規が当たり前、また雇用は直接雇用が当たり前というのが、世界では当たり前の大原則となっているそうです。
今、世界最大の派遣大国と言われる日本ですが、決して労働者が選択してそのようになっているわけではありません。日本政府のこのような議論が通用しないことが、ILO総会ではっきりと示されました。どこの国でも多数の労働者が安定した雇用を求めているということです。
今、全国で、若者が正規雇用として働けず、親と生活をともにしないとやっていけない、また、離婚をして親と生活をしている、大学を卒業しても一人では生活できない若者などがふえています。年々、子供の数が減少してきている昨今、8月11日付の中国新聞では、県内のことしの春に高校を卒業された就職者の割合は81.6%とありました。文部科学省の学校基本調査では、6年連続で8割台を維持しているとのことでしたが、県内全体で3,429人の高校生の就職に対し、岩国市では282人とのことでした。市内での高校生の雇用は、将来を見据えての市の人口確保にも大きく影響するものと考えます。地元の学校を卒業し、地元で就職し、そして地域を盛り上げていく。それには、地元の高校生の就職率を高める方法が大切です。
市内の高校生の就職率は、どのようになっているのか。また、正規、非正規の割合はどうかを尋ねます。市長の答弁を求めます。
引き続き3項目め、通津美が浦公園の整備について質問をいたします。
以前にこの公園のトイレの清掃について質問をいたしましたが、このたびはトイレの清掃も含め、公園全体の木の伐採や剪定、草刈りなど、整備についての質問です。
もう20年も前になりますが、広島に住んでいたころに、友人が、通津の海水浴場に行ってきたと言っていたほど、海水浴場がにぎわっていたときに、私も家族で訪れたことがありました。由宇へ引っ越してからも、地域の子供会でバーベキューをやったり、お花見に行ったり、秋にはドングリを拾ったりと、子供たちと楽しんでいましたが、子供たちが大きくなると、散策で訪れる程度となってしまいしました。
たまに休憩に出かけると、海を見ながら運動をしたり、犬の散歩で来ている人の姿は見かけますが、子供を連れている人の姿は、夏休み以外ほとんど見かけることはありません。アスレチックや遊具もそろっている風光明媚な景観の公園が利用者のニーズに応えられていないことが非常に残念で仕方ありません。
若いお母さんたちは、以前も言いましたように、岩国に子供たちの遊び場所が少なくて困っています。玖珂のどんぐり公園や柳井のウェルネスパークまで連れていくんですよという声をよく耳にします。遊歩道も草や木の枝、落ち葉で埋もれ、小さな子供やお年寄りが歩ける状態ではありません。一日も早く整備をし、誰もが楽しめる公園に復活させていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。市長の答弁を求めます。
以上で、壇上での質問といたします。
◎市長(答弁) それでは、坪田議員御質問の第2点目の高校生の就職についての(1)高校生の就職率についてと(2)の正規、非正規の割合について、まとめてお答えをいたします。
山口労働局がこの4月に発表しました新規学校卒業者の就職内定状況等についてによりますと、平成27年3月末現在における県内の新規高等学校等卒業者の求人等の状況につきましては、求人者数が4,469人、求職者数が3,133人、就職者数が3,116人で、就職内定率は99.5%となっており、現在の形で統計を取り始めた平成7年度以降、最高の就職内定率となっています。
また、岩国市内の分校や定時制、通信制の学校を含めた高等学校は全部で11校ありますが、岩国公共職業安定所によりますと、平成27年3月末現在における市内の新規高等学校卒業者の求人・求職・就職の状況は、求人者数が438人、求職者数が284人、就職者数が282人で、就職内定率は99.3%となっており、4月以降には全員が就職できているものと推測しております。
このように、平成18年度から平成26年度までの岩国市内の新規高等学校卒業者の就職内定率は毎年99%を超えており、その平均値は99.6%と長年にわたって好調で、昨今の経済情勢が続く中では、今後も安定して推移していくものと考えています。
正規、非正規の割合につきましては、岩国公共職業安定所から新規高等学校卒業者の非正規の職種への就職はほとんどないとお伺いをしております。
市の取り組みといたしましては、県が定める毎年5月の求人確保促進月間にあわせ、市内の各事業所を訪問し、新規学校卒業予定者の求人確保についての要請を行うと同時に、文書により要請をしております。
今年度につきましても、岩国公共職業安定所長とともに3社を訪問させていただき、275社に対して文書により市内の新規学校卒業者の雇用について要請を行いました。
今後も引き続き、市内の各事業所を訪問するなど関係機関と連携を図りながら、若者の就職について積極的に支援してまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いをいたします。
◎教育長(答弁) 第1点目の教科書問題についての(1)教科書採択審議等の公開についてお答えします。
平成28年度から使用する中学校用教科書――以下、教科書と省略させていただきます、の採択につきましては、岩国市、和木町で、山口県教科用図書岩国採択地区協議会――以下、岩国採択地区協議会と省略させていただきます、を設置し、岩国採択地区協議会の規約に基づき、各種目1種類を選定しました。その後、選定結果を受け、岩国市、和木町の各教育委員会にて採択が行われました。
その教科書採択において重要なことは、公正確保であります。平成27年4月7日付の文部科学省からの、平成28年度使用教科書の採択についての通知においては、教科書発行者による宣伝行為の制限や、採択に向けての十分な審議や研究調査の必要性、そして静ひつな採択環境の確保について触れられております。
これらを受け、教科書採択に係る岩国採択地区協議会並びに教育委員会の会議につきましては、適切な審議環境、いわゆる静ひつな環境を確保するため、非公開にて実施しております。それは、外部からの働きかけに左右されることなく、公正・公平な教科書採択に向けて、協議及び審議を行うためであります。
特に、教科書の選定を行う岩国採択地区協議会は、教育委員だけでなく、学校関係者や保護者も委員となっております。それぞれの立場で活発に協議を行うためには、静ひつな環境が重要であると考えます。
本年度、文部科学省からの、教科書の採択に関する宣伝行為等についての通知に反して、教科書会社の社員が教員の自宅を訪問し営業活動が行われたという報道もございました。そのため、岩国採択地区協議会の委員及び協議会に置かれる研究調査員の氏名等も採択期間終了まで公開しておりません。
教科書採択をめぐってのさまざまな働きかけを最小限にするために、今後も岩国採択地区協議会並びに教育委員会の会議につきましては、非公開を継続したいと考えております。
なお、岩国採択地区協議会並びに教育委員会の会議の内容につきましては、義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律の一部を改正する法律の努力事項に基づき、議事録を作成しております。各議事録につきましては、8月31日の採択期間以降に、岩国市情報公開条例に基づき公開できることになっております。
次に、(2)新たに採択された「新しい歴史教科書」についてお答えします。
平成28年度から中学校で使用する歴史の教科書につきましては、平成27年度山口県教科用図書岩国採択地区協議会の選定結果を受け、育鵬社の「新編 新しい日本の歴史」を採択いたしました。
御承知のとおり、この教科書を含め採択の対象となった教科書は、全て文部科学省が定める義務教育諸学校教科用図書検定基準に合格したもので、歴史教科書の中の記述一つ一つも、教育基本法に示す教育の目標、並びに学校教育法及び学習指導要領に示す目標を達成するための基準を満たしております。その中で、各発行者は、生徒の理解をより深めるための工夫を行っております。そのため、岩国採択地区協議会に置く研究調査員会では、各発行者の教科用図書の特徴を研究調査し、資料作成をし提出する流れとなっております。
提出された研究調査資料とあわせ、岩国採択地区協議会の各委員が教科書を読み研究する中で、育鵬社の歴史教科書には、人物重視で歴史の大きな流れが理解しやすい点や、写真などの視覚を通して日本の伝統文化への興味関心を高め、歴史に対する愛情や我が国へ愛着を育てる工夫がされている点などの特徴が上がりました。それらは、岩国市の教育基本目標である、志高く豊かな心と生き抜く力を育むことや、グローバル化が進む社会の中で日本人としての自信と誇りを持って生き抜く人材の育成のために重要であると考え、岩国地区採択協議会で選定され採択となりました。岩国市教育委員会としましても、岩国市の中学生が学ぶにふさわしい教科書と考えておりますので、どうかよろしくお願いいたします。
◎都市開発担当部長(答弁) 第3点目の公園の整備についての(1)通津美が浦公園の整備についてお答えいたします。
通津美が浦公園は、平成2年に開園した面積1.9ヘクタールの公園で、市内で唯一の自然海岸を残しており、また、「岩国よいとこ」でも「眺め千両の通津美ヶ浦」と歌われた風光明媚な景観を有していることから、恵まれた自然を最大限に活用した、多目的に利用できるレクリエーションの場として整備を行い、市民の皆様に四季を通じて楽しんでいただいております。
公園の主な施設といたしましては、イベント広場、幼児用複合遊具のあるちびっこワンパクランド、大型の木製アスレチック遊具のある冒険レジャーランド、展望広場、駐車場、トイレなどがございます。
これらの施設の維持管理につきましては、トイレや園内の清掃を週3回、草刈りを年間3回実施しており、清潔できれいな状態の維持に努めているところでございます。
樹木の管理につきましては、低木の剪定を年1回、高木につきましては、日常の巡回点検や定期点検などにおいて必要が認められる場合に剪定することとしております。
また、遊具やベンチ、照明灯などの公園施設につきましては、年4回の定期点検を実施しており、来園者が安全に利用していただけるよう適正な管理に努めております。
今後の通津美が浦公園の整備につきましては、開園から25年を経過し、遊具等の施設が順次更新時期を迎えることから、平成25年度に策定しました公園施設長寿命化計画に基づき、平成29年度に木製アスレチックを更新する計画としております。また、その他の施設につきましても、適切な時期に改修を行う計画としております。
今後も、市民の皆様が、安全で、楽しく、気持ちよく利用していただけるよう施設の整備に努めてまいりますので、よろしくお願いいたします。