2015年9月議会一般質問 大西明子議員

 

 日本共産党市議団の大西です。まず最初に、台風の影響であって大変な大雨になり、災害がテレビも報道されて御存じのように、大変な状況が起きております。被災された皆さんに心からお見舞いを申し上げます。

 それでは、通告に基づいて一般質問を行います。

 最初に、教育問題について質問いたします。

 私は、現場の先生方からさまざまな意見をお聞きし、数校の学校を訪問いたしました。市内小・中学校の耐震化工事推進により、校舎の外観は大変頑丈に、また、きれいになっておりました。しかし、校舎の内部は、建設年数の古い校舎ほど、廊下やトイレ等の傷みはひどく、各部署のリフォーム、小まめな手入れが必要だと強く感じたところです。既に補修等されている箇所も数多くあり、担当課の努力も感じられました。しかし、何といっても、経過年数がたっていますので、安全・安心な学びを保障する環境を整備することは早急に必要です。今後の対策についてお尋ねいたします。

 また、市内全校に空調施設の設備を年次ごとに順次整備されていることを大変喜んでおります。

 しかし、既に設置された学校に、音楽教室や理科教室などの特別教室には設置されていない。全ての教室に設置すべきだとの強い声が寄せられています。設置しなかった経緯と今後の取り組みについてお尋ねをいたします。

 経過年数が50年から61年と、古い校舎の改築、それから、そういった建てかえの計画はどのようになっているのか、計画についてもお尋ねをいたします。

 次に、教育予算について質問いたします。

 岩国市の合併後の9年間の教育費、決算の推移を見ますと、平均で7.2%で、平成19年度は一般会計決算額660億2,300万円に教育決算額は43億6,900万円、6.6%、9年間で最低、最高でも平成24年度の7.9%です。近隣の自治体と比較しますと、下松市では、平成24年、25年、10.5%、平成23年16%、平成22年11.5%となっています。周南市は平成25年12.3%、24年10.7%、平成23年10%、22年11.9%です。柳井市でも平成25年8.7%、24年9%、23年8.2%です。

 このように、他市と比較しても教育予算が少ないのは明瞭です。施設が古くなればなるほど、修繕費等の予算を増額しなければ、安全・安心の環境は守れません。今後の対応について市長の答弁を求めます。

 次に、給食費の無料化について質問いたします。

 地方創生総合戦略調査特別委員会の中間報告にも給食費無料化の施策が取り入れられています。

 私も大賛成です。少子化対策はもちろん他の自治体からの流れ、流入等の人口増加の施策に有効であり、子育て支援の大きな柱となります。子育てするなら岩国でというスローガンにもかなった施策です。財政的には当面大変であっても将来展望がある施策です。市長の英断を求めます。

 



 次に、介護保険について。現行サービスの継続、現行単価の保障について質問いたします。

 介護保険制度は2000年にスタートし、15年が経過しました。「みんなで支える老後の安心」を合い言葉に介護保険料を払うかわりにいざというときには法的介護保険制度で十分な介護が受けられるはずでした。

 しかし、15年たった今、要介護高齢者をめぐる状況は決して安心できるものとなっていません。家族の介護負担は依然として重く、家族の介護のために仕事をやめる介護退職は毎年10万人以上に上り、悲しい介護心中、介護殺人も毎週日本のどこかで起きています。そして、行き場のない要介護者、介護難民がふえています。厚生労働省が昨年3月に公表した特別養護老人ホームの入所待機者は特蓑の定員数とほぼ同じ52万人以上となっており、ショートステイや老人保健施設を転々とする介護漂流という事態も起こっています。

 一方、介護職場は慢性的な人材不足で、募集しても介護職員が集まらない。この人材不足は将来にわたって、さらに深刻で、10年後には37万人不足するという見通しを厚労省は出しています。

 今後3年間にわたって行われる介護保険の制度変更は、1、要支援者のホサムヘルプ、-デイサービスの保険外し、2、特養ホームは原則要介護3以上に、3、合計所得160万円以上は2割負担に、4、低所得の施設利用者の食事、部屋代補助の削減と多岐にわたっています。特に介護保険制度改悪により、要支援者のホームヘルプサービス、デイサービスは、地域支援事業、総合事業に移行します。厚生労働省介護予防日常生活支援総合事業ガイドラインでは、要支援者のホームヘルプ、デイサービスが総合事業に移行した場合のサービス多様化の参考例として、現行サービスに加えて、緩和した基準のサービスA、ボランティアによるサービスB、専門職による短期集中予防のサービスCを上げています。

 現行サービスは、現在の要支援サービスを提供している事業者がそのまま移行し、サービスの提供の大部分は既存の事業所による現行相当サービスの提供となりますが、問題はその単価です。厚労省は国が定める額を上限として、市町村が定めるとしています。既に2015年度報酬改定で要支援のデイサービスは20%以上もの引き下げとなり、事業所の中には要支援者の受け入れを控える動きが出ています。総合事業により市町村でさらなる単価引き下げが行われれば、現行サービス事業者はサービス提供どころか事業の継続が困難となりかねません。

 市は現行予防給付の報酬単価を保障すべきだと考えますが、市の報酬単価はどのように検討されているのか、お尋ねいたします。


 次に、利用の入り口である申請手続についてですが、これまで窓口では高齢者や家族から相談があった場合は、要介護認定を受ければ介護保険のサービスが利用できることを説明し、認定申請を受け付けてきました。総合事業が実施されると総合事業サービスのみ利用する場合、要介護認定を省略をし、基本チェックリストを活用して振り分けを判断することになってしまいます。

  しかも、窓口担当は専門職でなくてもよいとされています。先行実施自治体では、専門職でない窓口職員が介護利用希望者を総合事業へ誘導し、介護保険サービスを使わせないという事態が引き起こされています。私は、要介護認定の申請権を尊重し、振り分け前に認定申請を受け付けるべきだと思いますが、市の対応をお尋ねをいたします。



 総合事業実施に当たっては、現行相当サービスを土台にボランティアの特性である柔軟性、創造性を生かした社会資源として育成する事業にすべきです。住民によるサービスは現行相当のホームヘルプ、デイサービスの利用を前提として、補完的な役割を果たす存在、多様なサービスはプラスアルファと位置づけ、現行サービスの継続を強く求めます。市長の答弁を求めます。

 以上で壇上からの質問は終わります。

 


 

○市長(福田良彦)

 それでは、大西議員御質問の第2点目の介護保険についての(1)現行サービスの継続、現行単価の保障についてお答えいたします。

 このたびの介護保険制度の改正におきましては、介護サービスの重点化や効率化を図るため、生活支援サービスの充実と強化が改正の項目の一つとして上げられております。

 これまで、全国一律の要支援者に対する介護予防給付のうち、訪問介護と適所介護につきましては、平成29年度までに市町村実施する新しい総合事業に移行することとなり、本市におきましては、平成28年4月から事業を開始いたします。

 これに伴い、サービスを必要とする方は、現行の介護事業所が提供する「介護予防・訪問介護」、「介護予防・通所介護」に相当するサービスに加え、地域の実情に応じて、民間企業や特定非営利活動法人、そして、住民ボランティアグループなどが行う多様なサービスが利用できるようになります。

 この事業の導入により、地域住民や特定非営利活動法人などが参画し、さまざまなサービスを充実させることで、地域の支え合いの体制づくりを推進し、高齢者の自立支援や介護の重症化予防につなげていくことが期待されています。

 本市の現状としましては、新しい総合事業の円滑な導入に向け、日常生活圏域ごとに、訪問介護事業所や通所介護事業所、特定非営利活動法人の関係者との意見交換会を開催し、現場での御意見等を踏まえ、新しい総合事業のサービス内容や単価などの制度設計を進めてきたとこであります。

 新しい総合事業は、訪問型サービスと通所型サービスの2種類のサービスがあり、介護保険と同等のサービス、緩和した基準によるサービス、住民ボランティアグループによるサービスの3種類のタイプをそれぞれ設定しています。

 サービス単価につきましては、介護保険と同等のサービスは現行の報酬単価と同じ設定とし、緩和した基準によるサービスは報酬単価よりも低廉な単価としております。しかしながら、住民ボランティアグループによるサービスについては、今後、提供体制の整備が課題となっております。

 本市におきましては、利用者へのサービスが低下することのないよう必要なサービスの確保に努めるとともに、地域住民や事業者、各種団体と連携・協働して事業の推進に努めてまいりますので、どうぞ、よろしくお願いをいたします。

 

○教育長(佐倉弘之甫) 第1点目の教育問題についての(1)教育環境整備について、お答えします。

 岩国市の市立小・中学校施設の環境整備につきましては、現在、耐震化工事、空調設備整備工事を最優先として取り組んでおり、耐震化の現在の進捗状況としましては、平成27年度末の耐震化率が86.9%、平成28年度末には95.9%となり、これをもって補強工事による耐震化を完了する計画としており、残る施設は、今年度着工します玖珂小学校の校舎を初めとして、改築等による耐震化の検討を進めているところです。

 また、空調設備設置については、市内全校への整備を平成29年度まで行うこととしており、平成27年度末の整備率は、設置した部屋の計算で、68.9%になります。この整備事業は、近年の酷暑に対して一刻も早く小・中学校全校にエアコンを整備するという目的から、まずは利用時間の多い普通教室と管理諸室への設置を優先して行うものであり、この事業完了後には、学校などから要望の多い特別教室等への設置についても検討してまいりたいと考えております。

 市内の学校施設は、建設後60年を超えるものを初め、多くの施設が老朽化しており、現在取り組んでいる改築工事を含め、耐震化工事が完了した後は、各施設の状況等を踏まえつつ、建設後の年数の経過した施設などから順次、改築や長寿命化を含めた大規模改修などの検討を行ってまいりたいと考えておりますが、このような大規模事業につきましては事業期間や経費なども多くかかることから、それまでの間、施設管理として、要望の多いトイレなどの改修などにつきましても、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

 

次に、(2)教育予算についてですが、平成26年度決算額において、10款の教育費が46億4,717万6,000円、2款総務費の特定防衛施設周辺整備費の文教施設整備事業費が4億6,300万円、同じく2款総務費の再編関連特別事業費の学校施設等整備事業費が5億8,679万6,000円、合わせて、56億9,697万2,000円となっております。一般会計決算額の636億5,691万5,000円に対します割合は、約8.9%となっております。また、今年度以降は、玖珂小学校校舎建設事業など、改築に取り組む事業も増加すると思われますので、市全体の予算における教育予算の割合は増加することとなろうかと考えております。

 いずれにしましても、学校施設の整備には多額の経費を要することから、市にとっても有利な交付金や補助金を積極的に活用し、安全で安心して教育が受けられる環境の整備に努めてまいりたいと考えております。

 

最後に、(3)給食費の無料化についてお答えします。

 学校給食費につきましては、ことし5月1日時点の児童・生徒数で試算いたしますと、小学校では児童数6,879人、給食費1食当たり265円、給食日数190日で3億4,600万円、中学校は生徒数3,583人、給食費1食当たり285円、給食日数190日で1億9,400万円となり、市内小・中学校の給食費総額が年間約5億4,000万円となります。

 そのうち、就学援助費として約1億円を助成しておりますので、給食費を無料化するには、新たに年間約4億4,000万円の財源を要することとなります。

 このように、学校給食費の無料化については、将来にわたる確実で安定的な財源が必要となることから、今後も引き続き検討してまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

 

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