2012年6月議会 坪田恵子の一般質問

日本共産党市議団の坪田恵子です。通告順で一般質問をいたします。

 1項目の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)
――とんでもないペテンに満ちたパートナーシップという声もあります――について、市民生活に及ぼす影響についてです。共産党市議団としては、山田議員も含め3回目の質問となりますが、私は今回、主に農業、食料の分野で質問をさせていただきます。

 その前に、皆さん、十分御存じと思いますが、TPPの概要ですが、2010年10月に、当時の菅 直人首相が、TPP交渉等への参加を検討することを表明し、その後2011年11月に、APECで野田首相は、TPP交渉参加に向け関係国と協議に入ると表明しました。このように政府が、説明不足のまま拙速に参加準備を進めるTPPとは、どういうものなのでしょうか。
 3・11東日本大震災からの復興はいまだ途上にある中、被災地では、このTPP参加に不安の声が上がっています。それは、被災地の主要な産業である農林水産業が、関税ゼロで大打撃を受けかねないからです。TPP参加で関税ゼロになれば、食料自給率は40%から13%に落ち込むと農水省が発表しています。
 また、TPPで大打撃を受けるのは農業だけではなく、米国通商代表部が、2011年外国貿易障壁報告で50項目もの対日市場開放要求を突きつけていることで一目瞭然です。
 日本がBSE対策として、牛肉と牛肉製品の輸入を月齢20カ月かそれ以下のものに制限していることについて、米国は、「日本が米国産の牛肉と牛肉製品の利用を制限している」として、日本の牛肉市場の再開放を要求しています。

 また、日本では遺伝子組み換え食品には、そのことを食品に表示することが義務づけられていますが、米国は日本政府に表示を行わないよう要求しています。もし、これらの米国の要求が通れば、日本の消費者にとって重要な「食の安全」が脅かされます。公共事業や保険市場の開放で米国企業の参入を促すなども含め、米国からの物のサービスの一方的な輸入拡大で、日本国内の失業者をふやし、国内の需要を一層冷え込ませることにもなります。

 そして、国民の命を預かる医療分野を市場化し、外国企業が参入することもねらわれているのです。憲法25条の生存権に基づき、保険証1枚でいつでもどこでも安心して医療を受けられる国民皆保険制度を壊してしまい、営利企業のもうけにしていいのでしょうか。それで私たちは幸せな生活が送れるのでしょうか。
 TPP交渉は、圧倒的な力を持つアメリカ主導で行われます。このような重大な交渉が国民の目が届かないところで進められていることに、オーストラリア、ニュージーランドなどの市民社会でも抗議や情報公開を求める声が高まっています。

 アメリカ国内でも、北米自由協定などで雇用が奪われ、貧困が拡大した経験から、貿易自由化に反対する国民が多数であることもあり、オバマ政権はTPP交渉の実態をほとんど国民に知らせていないということです。参加国の国民にも知らせないような、驚くべき秘密交渉に日本が参加すべきでないことは明らかです。
 また、TPPでアジアの成長を取り込めると言われていますが、今急成長しているアジアの国――中国、韓国、インドではTPPに入るなどと言っていません。参加国の多くは、小国で物を大量に買うような経済力は持っていません。GDP比で見ると、アメリカが7割、日本が2割、残りの8カ国で1割で、実質的にはアメリカと日本の2国間協定のようなものとなるそうです。
 今、アメリカの経済も落ち込んでいるので、日本の製品をたくさん買ってくれるかというと、その可能性も低いでしょう。むしろアメリカから日本が物を買わされるようになるだろうと言われています。オバマ大統領は、「今後5年間で輸出を倍増する」と2010年1月に宣言しています。アメリカがTPPで輸出を大きく伸ばすとしたら、その相手は日本以外にあり得ないということです。TPPを推進する最大のねらいも、自国の大企業、産業の利益拡大や雇用の維持にあると公然と主張もしています。

 このような驚くべきTPPですが、昨年秋までの1年間で8割前後の地方議会が反対、慎重の意見書を採択し、JAグループが中心となった請願署名は1,167万人、国会議員の過半数368人がその紹介議員となるなど、国民運動としてはかつてないスピードで行われ、野田内閣がTPP参加を正式に表明するのを押しとどめる力となっています。

 TPPの情報を多くの人に知らせ、日本の一般市民にとっては何ひとつメリットのないTPP反対の声、意見書を岩国市議会でも上げるときではないでしょうか。
 このTPPで岩国市民の生活にどのような影響が及ぶのでしょうか、市長の御見解を伺います。
 また、岩国の農業にはどのような影響があるとお考えかをお尋ねいたします。


 続いて、2項目めの放課後児童教室についてお尋ねいたします。

 3月議会に引き続いての質問ですが、児童教室の環境整備を行ってほしいということです。これまで旧岩国市でも、合併前の各町村でも保護者の要望にこたえ、放課後児童教室が実施されてきました。
 しかし、働くお母さんがふえ、場所によっては狭い部屋に児童が詰め込まれている状況です。子供たちにとって児童教室は生活の場であり、健康や安全の管理など、養護も含めた基本的な生活が保障され、成長段階に見合った適切な働きかけ、指導、援助が行わなければならない施設です。

 これまでは、共働きやひとり親家庭等の保護者の声で実施に向けて取り組んでこられたのだと思いますが、今後は、早急に他の教育施設や保育施設、児童福祉施設同様、すべて児童はひとしくその生活が保障され、愛護されなければなりません。

 主に小学校1年生から3年生までの異年齢の児童が、ともに生活し、教えたり、教えられたり、頼ったり、頼られたりする一方で、縦の関係がそのまま力関係になる危険性も含まれています。
 また、障害を持っている児童の生活の場ともなるので、一人一人の子供たちが大切にされる子供関係を育てていくことが求められています。
 生活環境がきちんと整備され、安全面、健康面、衛生面が保障されるのは当然のことです。藤河中学校の空き教室を利用している児童教室は老朽校舎で、指導員の先生からも「地震が来たら怖いです」という声が出ています。トイレも古いので、薄暗く、和式で、女子児童が私に「おばちゃん、あのトイレ花子さんが出るよ」と言っていました。

 また、御庄は、小学校のランチルームの一角を仕切り、足の踏み場がないほどに子供たちが入り乱れ、大変な様子がうかがえました。「夏は暑く、冬は寒い」との声でした。学校の近くに地域の方がおられたので尋ねてみると、「新たに家が建ち、子供たちの数がふえている。何とかしてもらわないとかわいそう」とのことでした。

 由宇も体育館下の物置を整備してつくられたので、藤河、御庄同様、ぐあいの悪い子がいても、同じ教室の片隅に寝かされて保護者の迎えを待つしか方法がありません。
 特に、藤河、御庄については、市長にぜひとも現場を見ていただき、急いで改善していただくことを求めます。
 また、3月の教育民生常任委員会で大西議員も尋ねられ、要望されましたが、できれば学校により近いほうがよく、校内にあればなお、児童にとっても長い夏休みのプールも利用しやすいわけですから、余裕教室の活用も学校現場と話し合い、できるだけ時間をかけずにお考えいただきたいと思いますが、その点はいかがなものか、お尋ねいたします。


 最後に3項目め、JRのダイヤ改正について質問いたします。
 特に広島方面へ通勤、通学の方たちからの要望です。


 私の夫も、毎日広島まで通っていますが、ここ1年、特にことしの3月のダイヤ改正――というより改悪と言ったほうが適していると思いますが――から本当に不便になったと、スタートした何日かは怒り心頭に発するの一言でした。
 上りの列車から見てみますと、由宇発の場合ですが、早朝6時14分をスタートに、7時46分までの間、5本が由宇―広島間の直通便で乗りかえなしで広島まで運行されていますが、その後8時15分から夜の8時7分まで、1本も直通便はありません。その後1本だけ8時52分発という直通便があるだけで、すべて岩国で乗りかえです。由宇発岡山行きの直通は全くなくなりました。
 下りはというと、広島発7時6分以降は夕方の4時51分まで由宇までの直通便は全くありません。夕方6時台から7時13分まで数本直通便が出た後は、今度は岩国で10分から19分の待ち合わせ時間がある便ばかりで、電車が来たからと急いで乗車し、7時52分広島発に飛び乗っても、岩国発は9時31分までありません。待ち合わせ時間が43分もあるような組み方で、広島からよくよく調べて乗らないと、岩国から下る人はその時間帯は51分待ちというのもあります。

 JRは、岩国から下りの便を大幅に改悪しています。広島へ通う学生さんを持つお母さんは、「神代にとまる便が3月から減り、行きも帰りも由宇駅まで車で送り迎えをしている。柳井までの便をふやして」ほしい、もとに戻してほしい」と言っていました。神代から岩国行きのバスがあるわけでもないし、これでは、JRの利用者はますます減るばかりです。市民からは、JRへの苦情がふえる一方です。市当局から、市民のもとに戻せの怒りの声をJRに強く要望してください。
 以上で、壇上からの質問を終わります。