山田泰之議員の質問
日本共産党の山田やすゆきです。通告に従い質問を行ないます。

1,TPP(環太平洋連携協定)について問う

(1)岩国市の農業・経済への影響がどのように表れるか
(2)交渉参加への中止を求めるべきであるがどのように考えるか


環太平洋連携協定・通称TPP と言いますが、民主党は、昨年の総選挙や今年の参議院選挙の「マニフェスト(政権公約)」でこの問題について、何ら明らかにせず、管内閣は11月9日、環太平洋連携協定について「関係国との協議を開始する」と明記した「包括的経済連携に関する基本方針」を閣議決定しました。
政府はTPPの協議開始を「情報収集」の為などと言っていますが、その一方で、国内の「環境整備」として、国内農業との「両立」の為の「農業構造改革推進本部」の設置、非関税障壁を撤廃する為の規制緩和の推進などを明記しており、管民主党政権が、TPP参加に向かっています。
このように降って沸いたような政府のTPP( 環太平洋連携協定)参加表明を受けて、農業関連団体からは「食料は人間の大事な命綱。その食料を、田舎をないがしろにして日本の将来はあるのか。独立国としての日本の農業・食料を守るという基本姿勢がきちんと出来て日本社会が栄えるのでなければ、自動車やテレビの産業が栄えて日本が栄えるわけではない。弱者を切って強きが勝つような世界、政治であってはならない。」このような声が今、全国各地で沸き起こっています。
その一方では、財界・大企業は「バスに乗り遅れるな」と政府に圧力をかけ、行き先も確かめないで、日本の農業や地域が滅亡さすバスに急いで乗る必要が果たしてあるのでしょうか。
TPPは、例外品目なしに100%の貿易自由化を目指し、物やサービスのほか政府調達や知的財産権など広範な分野を対象にした経済連携協定です。
アジア太平洋地域を中心とした経済連携協定で、現在までにアメリカやオーストラリア、ニュージランドなど9ヶ国で交渉を進めています。
この連携協定は、例外品目を認めず、関税撤廃を原則にしており、これまでのEPA(経済連携協定)・ETA(自由貿易協定)よりもはるかに強烈なものです。しかも、TPPには中国も関心を示しております。対日農産物輸出国の4強相手に完全自由化を実施することになります。
TPPは農産物の輸入完全自由化を進めるものであり、農水省の試算で米は90%、小麦は99%、牛肉は79%、豚肉は70%それぞれ減少すると発表しています。
食料自給率が、今でさえ低いものを1割台までにしてしまうもので食料主権を放棄するものです。
例えば、2007年の世界の食料自給率をカロリーベースで申しますと、先進国のアメリカ合衆国は124%、フランス111%、カナダ168%、オーストラリア173%、ドイツ80%です。日本は40%となり、その主な食糧をアメリカ合衆国から輸入する状況にあります。
農産物関税撤廃は世界趨勢どころか、農産物輸出国であっても、農産物の平均課税率はEUで20%、アルゼンチンで33%、ブラジルで35%、メキシコ43%などと高く、アメリカ合衆国も乳製品や砂糖の輸入制限を続けています。
日本は既に12%にまで関税を引き下げており、農業について「鎖国」どころか「世界に開かれた国」の一つになっています。地球規模で食料不足が大問題になっているときに、輸入依存を更に強め、豊かな発展の財力を持っている日本農業を無理やりつぶすことなどというのは「亡国の政治」というほかにありません。
TPPによる関税撤廃を行なえば、米の自由率は1割以下になってしまいます。おいしい日本の米を食べたいという消費者の願いにも反し、国民の安全と安定的な食料を大きく脅かします。
経済産業省はTPPに参加した場合は農業生産が4.兆1000億円減少、食料自給率が13%へ低下、農業の多面的機能で3兆7000億円の喪失、国内総生産額7兆9000億円の減額、雇用も340万人減少としています。TPPへの参加は日本農業を破壊するだけでなく、疲弊している地域経済・雇用破壊を進めるものにほかなりません。
また、今年の異常気象のため、全国の米の品質は例年になく悪いといわれています。天候の変動で食糧事情が大きく変わったことが明らかとなりました。
そこでお伺いいたしますが、広範な中山間地域を有する岩国市はこのような事態をどのように受け止めているのか、また岩国市の農業・経済に及ぼす影響についてどのように考えているのか。岩国市としてTPP交渉についてどのような態度をとるのかお伺いいたします。
 
2、都市計画区域のみなおしについて

(1)市街化区域、市街化調整区域を実情に応じて変更することを求める
(2)市街化区域内の農地の宅地並み課税を廃止せよ

次に都市計画区域の見なおしについて質問致します。
旧岩国市では昭和46年、日本経済の高度成長期に都市計画区域を設定し、その後、旧玖珂町、周東町が、そして由宇町平成12年に用途指定を行っています。
市街化区域の農地の保全は、農地の多機能を生かし、安全・安心な農産物を市民に提供するものできわめて重要だといわなければなりません。
ところが、市街化区域内の農地は宅地並み課税により、調整区域内農地の100倍を超える過酷な固定資産税にあえいでいます。
以前から、市街化区域内の農地の宅地並み課税が問題になっていましたが、今日の不況の中、固定資産税が高くて払えない。年金の大半を税金に持っていかなければならない。このような悲痛な声が寄せられています。
 そこで市街化区域内の農地に宅地並みの課税を廃止することともに、市街化区域の実態に合わない地域は状況に応じて、調整区域に変更することを求めます。
 
3、アルゼンチンアリ駆除対策について問う

(1)3ヵ年の防除試験の成果について
(2)今後の駆除対策について

最後にアルゼンチンアリ駆除対策についてお伺いいたします。
報道によると東京都にも、京都市内にもアルゼンチンアリの生息が確認されるなど、特定外来種でありながら、日本全体に被害の拡大が見られます。
アルゼンチンアリの被害実態の分からない人は、是非、一度生息状況、被害状況を体感して見てください。実態が分かれば、アリのことで、何で大騒ぎをするのかとは言われないでしょう。
このアルゼンチンアリは黒磯地区だけではなしに、今日では市内全域に拡大し、台所に、食卓に、寝室とありとあらゆるところにぞろぞろと入り込み、不快感を通りこし、中にはノイローゼになられた方もおられます。また、野菜等にもありが群がり市場に出荷できない状況にもあります。
これ以上、アルゼンチンアリの生息範囲を拡大さすわけにはまいりません。私は3年間続けられてきた国のモデル防除事業は確実に成果が上がっていると思っていますが、絶滅させることが出来なくても被害の軽減については確認できます。
聞くところによると国の交付金は今年度で終了するとの事です。市民は防除事業の継続を強く望んでいます。
今でも防除薬剤費は多い家では10万円にもなるよう、大変な住民負担になっています。
防除に取り組むには、地域的に全世帯が一斉に行なわなければ効果がありません。その為にはどうしても行政の援助が必要です。
国の事業の継続を要望すると同時に国が実施しないなら、市独自にでもこれらの防除事業を続けることが必要です。
3ヶ年の駆除実験の成果と今後の対策についてお尋ねし、壇上からの質問を終わります。