平成21年度交通事業会計予算について

 

 日本共産党市議団を代表して、議案第31号平成21年度交通事業会計予算に賛成の討論をいたします。

 岩国市営バス(交通局)は戦前1938年―昭和13年に当時の玖珂郡岩国町による町営バスの運行が出発点だと伺っています。

 その後1940年―昭和15年4月、岩国町、麻里布村、川下村等々の合併で岩国市が誕生し所有バス12両で、事務所を錦見大名小路置いたそうです。

 この間民間バス会社や自動車会社から路線権や車両を譲り受け事業を拡大し、戦後1949年―昭和24年に事務所と車庫を岩国駅南の三笠橋地区、現在の三笠駐車場のあたりになりますが、に移転させ岩国市営バスとして戦後の出発となるそうです。私もここがまだ立体化される前に、長い踏切があってなかなか踏切が上がらないことやそのそばに市営バスが出たり入ったりしていることをよく覚えています。

 そして市営バスは市民の足として、また急速に進んだモータリーゼィションの中でも頑張りぬいて社会的弱者、お年寄りや女性、子どもたちの足の役割を立派に果たしてきたのは無いでしょうか。

 最近の「くるりん」の運行開始は多くの市民に喜ばれ「あれがあるから助かる」と感謝の声が出ていると聞いています。

 しかし、人口の多い都会と比べて岩国のような人口の少ない地方では、国の地方切捨て政策の下で公営交通への助成も、ほとんどといっていいぐらい少ない状況の中で、市営バス事業を現状の公営のまま維持していくことは非常に困難であるというのも理解できます。

 日本共産党は、国のモータリーゼィション、高速道路中心、トヨタ、日産などの一部の自動車大手の輸出頼みの政策を改め、環境にやさしい、しかも大量輸送が可能な公共交通政策に転換を図るべきだと考えます。基本的に岩国市営バスもこうした国の政策転換の中で、将来展望を切り開くべきだと思います。

 今日のような交通局財政に追い詰めた最大の要因は、国のモータリーゼィション、交通政策にあると思いますが、交通行政を交通局任せにし、岩国市の街づくり計画の中で交通政策を位置づけることなく漫然と非正規雇用の職員を増大させ続けてきた、市政運営にも責任の一端は有るのではないでしょうか。非正規職員が岩国市職員の34%にまで広がり、非正規職員の多かった学校調理現場が民間委託され来年度も1校増え合計4校になります。今民間大企業では職場ごとに下請化、別会社化が進み、正規の従業員がどんどん下請け労働者に置き換えられてられていっています。住民の命を守り福祉の増進を図ることを目的とする地方自治体が、利潤を上げることを最大限の使命とする民間企業と同じようなことをやっていいはずがありません。無制限な民営化の拡大には反対です。

 今回の交通局の分社化については、現状で、国の政策が変わらない元では何らかの打開策を取らざるを得ないことはやむをえないものと思います。

 今回の改正案は交通局職員119名のうち、非正規の職員が約半数近くにまで拡大し、一年契約の臨時的な身分であるため、住宅ローンを組むことも出来ない状況におかれているといいます。そこで、岩国市交通局が100%出資の子会社を作り非正規職員をこちらの会社に移籍させ、くるりんバス、高速バス、一部路線バス等をこの子会社にやらせ、経営の安定と臨時職員の雇用を確保し、正社員化する事で身分の安定化を図りたいというものです。

 残った半分を超える正規の職員で残った路線バス、貸切バスなどを運営しながら、順次縮小し将来完全民営化を目指すという案です。5年以内に民営化しろとの議員の意見もありますが、この60人以上居られる正規職員の身分を確保しながら、将来的にこの解消を図っていくためには一定の時間がかかることはやむをえないことです。正規の運転手さんを全員市長部局に振りかえても、それだけの運転業務が市長部局にはありません。他の職種に廻ってもらうとしてもそれは限度があり、全面移行に時間がかかるのはやむを得ません。

 8市町村が合併して山口県で一番広い面積を持つ岩国市において、市民の足を確保する、とりわけ高齢者の買い物や病院へ行く交通手段を保障することは絶対に必要なことであると思います。

 移動手段を持たない交通弱者、高齢者、女性、子どものための足、つまり市民の足を守るためには「福祉の観点と施策」が必要ではないでしょうか。

 旧錦町、美和町、など玖北地区、玖西盆地でも旧周東町の米川、川越、祖生など人口の少ない地域を切り捨てるのではなく、足を守っていくことです。「街づくり計画の中で公営交通のあり方」をしっかりと位置づけた施策を進めていくことを求めて議案第31号平成21年度交通事業会計予算に賛成討論といたします。