日本共産党市議団を代表して、議員提出議案 第 11 号 「自衛官の増員を求める意見書」に反対の討論を行ないます。

 

この意見書は、最初に「政府の行政刷新会議が平成22年度予算の概算要求の『事業仕分け』において、防衛省の今年度と同じ水準を維持する必要があるとする自衛官増員要求について『認められない』と判断を示した」このことから出されたものと思います。地方公務員の削減は押し進めても自衛隊員の削減はケシカランとでも言うのでしょうか。  

 

皆さんもご存知の通り、日本の軍事費は米国についで世界で五番目の高さです。憲法は一切の戦力保持を禁じているのに、政府は毎年5兆円近い軍事費を支出しています。この軍事費の内容を見てみますと

1)北海道には、旧ソ連の「侵攻」を想定した装備が今尚温存されています。具体的に申しますと陸上の主力戦車は「90式」で、重量は50トン。これはソ連が日本に侵攻するという想定で開発され、富士演習場で訓練する場合、通常の道路や橋を渡ることが出来ず、解体し、運ばなければ、使用できません。ましてや鉄道輸送や空輸も困難です。これまで総計で324両以上になり、購入価格は3000億円を超えています。

2)日本防衛とは無関係の海外派遣装備の比重が高まっています。

3)防衛能力のない「ミサイル防衛システム」に膨大な予算を費やしています。

4)米軍再編経費のほぼ全額を支払おうとしています。日米安保条約上も支出の義務のない米軍への「思いやり予算」を総計5兆円以上も投入するなど無駄が沢山あります。

 

「事業仕分け」は総額95兆円に膨れ上がった各省庁の2010年度予算概算要求の「無駄を省く」として、政府の行政刷新会議(議長・鳩山由紀夫首相)が実施ました。

のべ9日間にわたる「仕分け」作業は、ネット中継され、関心を集めました。連日大きく報道したメディアは「予算の中身を国民に公開した」と持ち上げる論調が目立ちました。

しかし、「仕分け」の結果を集計し、それを分野ごとに「仕分け」してみると、削減の矛先が何処へ向けられたのか分かります。

「仕分け」による削減額の概算要求額に占める割合は、軍事費の削減率はわずか0.50.7%です。一方、経済産業省の中小企業予算の削減率は、実に17.5%。軍事費の25倍から35倍の大幅な削減率となりました。農林水産省の食料安定供給予算も削減率8.6%〜9.2%と大幅です。

「作業仕分け」の結果を、年内編成を目指す来年度予算案に反映させるとしています。総選挙でのマニフェスト(政権公約)にあげた事業は「仕分け」の対象外とし、軍事費などを「聖域」扱いしたまま、財源を生み出すためとして国民の暮らしや営業にかかわる予算を削減する姿勢を世論と運動でただしていく必要があります。

 

日本共産党は、来年度予算案に関する「事業仕分け」について「三つの問題点がある」と考えます。

第一は、「本当に削られるべき無駄遣いが温存されている」という問題です。大型公共事業では「スーパー中枢港湾」や東京外郭環状道路などが温存されたこと、軍事費についてもヘリ空母や米軍への「思いやり予算」などにメスが入らなかったことです。

第二は「削ってはならないくらしに係わる大事なものが乱暴な形で切られようとしていること」です。例えば、医療や保育などと共に、科学・技術の基礎研究にかかわるものが最たるものです。9大学の学長やノーベル賞受賞者の皆さんが、科学技術の研究は『短期的な効率主義』で見るべきではないと批判しています。「短期的な効率主義で本来削ってはならないものに縮減のメスを入れることは言語同断のやり方」です。

第三は、仕掛け人の中には小泉「構造改革」を推進してきた人物が含まれていることです。やり方も時間を区切り、乱暴なものでした。

「ムダ遣いにメスが入ったものもあるだろうが、いろんな問題を含みながら進んでいることを見ても、適切な方向へ是正を強く求めていく」ことが求められています。

 

日本共産党は「国の独立・安全保障・外交」の問題について次のように考えています。

1 日米安保条約を条約第十条の手続き(アメリカ政府への通告)によって廃棄し、アメリカ軍とその軍事基地を撤退させる。対等平等の立場にもとづく日米友好条約を結ぶ。

経済面でも、アメリカによる不当な介入を許さず、金融・為替・貿易を含むあらゆる分野で自主性を確立する。

2 主権回復後の日本は、いかなる軍事同盟にも参加せず、全ての国と友好関係を結ぶ平和・中立・非同盟の道を進み、非同盟諸国会議に参加する。

3 自衛隊について、海外派兵立法をやめ、軍縮の措置をとる。安保条約廃棄後のアジア情勢の新しい展開を踏まえつつ、国民の合意での憲法9条の完全実施(自衛隊の解消)に向かっての前進をはかる。

4 新しい日本は、次に述べます基本点に立って平和外交を展開します。

その内容は、

 イ 日本が過去に行なった侵略戦争と植民地支配の反省を踏まえ、アジア諸国との友好・交流を重視する。

 ロ 国連憲章に規程された平和の国際秩序を擁護し、この秩序を侵犯・破壊するいかなる覇権主義的な企てにも反対する。

 ハ 人類の死活にかかわる核戦争の防止と核兵器の廃絶、各国人民の民族自決権の養護、全般的軍縮と全ての軍事ブロックの解体、外国軍事基地の撤去をめざす。

 二 一般市民を犠牲にする無差別テロにも報復戦争にも反対し、テロの根絶の為の国際的な世論と共同行動を発展させる。

 ホ 日本の歴史的領土である千島列島と歯舞諸島・色丹島の返還を目指す。

 へ 多国籍企業の無責任な活動を規制し、地球環境を保護するとともに、一部の大国の経済的覇権主義をおさえ、全ての国の経済主権の尊重および平等・公平を基礎とする民主的な国際経済秩序の確立をめざす。

 ト 紛争の平和解決、災害、難民、貧困、飢餓などの人道問題にたいして、非軍事的な手段による国際的な支援活動を積極的に行なう。

 チ 社会制度の異なる諸国の平和共存および異なる価値観をもった諸文明間の対話と共存の関係の確率に力を尽くすという内容です。

以上を述べて、議員提出議案 第 11 号 「自衛官の増員を求める意見書」に反対の討論といたします。