この問題をきちんと整理して考えると、外国の賓客と天皇が会見するというのは、憲法で規定された内 閣の助言と承認を必要とする国事行為ではありません。
憲法を読んでも、国事行為のなかにはそういう 項目は出てこない。国事行為以外の公的行為です。
憲法は 第三条 で 天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を 負ふ。 第四条 は 天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。
そして 第七条 で 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。 として
一 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
二 国会を召集すること。
三 衆議院を解散すること。
四 国会議員の総選挙の施行を公示すること。
五 国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。
六 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。
七 栄典を授与すること。
八 批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
九 外国の大使及び公使を接受すること。
十 儀式を行ふこと。
こういう国事行為以外の天皇の公的行為については、政治的性格を与えてはならないというのが憲法のさだめるところなのです。
そういう憲法の規定から考えると、今回の中国首脳と天皇の会見は、日本政府がその問題に関与することによって政治的性格を与えてしまった。これは日本国憲法の精神をたがえたものです。
もしこれが許されたらどうなるか。たとえば国会の開会式で天皇の発言がおこなわれています。これも国事行為以外の行為です。
この発言の内容について、ときの内閣の判断でどういうものでもやれるよ うになったらたいへんです。これは憲法の原則にかかわる大きな問題が問われているのです。
日本国憲法では、国事行為として10項目が厳格に定められています。そのなかには外国の賓客との会 見は入っていない。
国事行為以外の公的行為なのです。そういう行為にたいして、政治的性格を与えて はいけないというのが日本国憲法のさだめなのです。
よって、本意見書に日本共産党は賛成いたします。
しかし、私たちはいたずらに天皇問題をことさらに とりあげ政治的に利用することにも問題があると考えています。
本来この意見書は提出されるべきではなかった事を申しあげ賛成の討論といたします。