反対討論

  議案第65号平成19年度岩国一般会計補正予算第9号について反対の立場から討論を行います。

  本議案は国がカットしていた新庁舎建設補助金35億円がSACOから名目を変更して交付されることになったために、一旦合併特例債へ切り替えていた財源を変更すると言うものです。

  当初の予定額35億円のほぼ満額、34億3千4百58万2千円が交付されたものを合併特例債を25億4千万円、繰入金を約4億2千万円減額しようとするものです。

 庁舎建設補助金について、日本共産党市議団は赤嶺衆院議員、仁比参院議員と共に防衛省に対し補助金カットの理由をただし、SACO合意に基づく補助金として当初の約束通り交付すべきである申し入れ、交渉も行いました。また昨年十月には超党派議員団の一員として4人がそろって日本共産党の志位委員長、民主党の菅代表代行、社民党の福島党首に直接面談し補助金交付に協力要請を行い、防衛省、地元選出国会議員にも強く要請してまいりました。

  したがって、新庁舎建設補助金の交付は当然のものと考えています。しかし、そのやり方は到底認められるものではありません。KC−130空中給油機の岩国受け入れにともなう、新庁舎建設建設補助金を、国は岩国市が艦載機を受け入れないからといって3年目になって突然、補助要件を一方的に勝手に変更し35億円をカットしてきました。

 これを艦載機容認の立場に立つ市長が誕生したからとこれを交付し、国の都合のいいように補助金をもてあそぶ、国の言うことを聴かないものは、補助要件を捻じ曲げて補助金をカットする、国の言いなりになると認めるものにはルールを都合のいいように解釈して金を出す。こんな道理の通らないやり方は認められません。

 国は「庁舎建設補助金は約束したものではない」とも言っていました。艦載機容認派の市会議員諸君は鬼の首でも取ったように、「国は約束してない」といっていると井原市長を攻め立てていたではないですか。しかしどうですか、このたび35億円がほぼ満額交付されたことによって、岩国市と井原市長が当時繰り返し説明していたように、補助額はすでに交付済みの14億円と合計して当初の見込み通り49億円になるではないですか、国はこれをどう説明するのでしょうか。国は岩国市に対しても議会に対してもウソを言っていたこと、ひいては市民をだましていたことに他ならないではありませんか。

 さらに国は補助金適正化法を持ち出して、庁舎建設工事が終ったものには補助金を出すことができないと説明してきました。ところが庁舎は本体全部が完成しました。この説明が本当であったのなら「庁舎建設補助金」は出せない理屈になりますが、これがほぼ満額の約35億円弱出ると言うのはどう説明するのでしょう。昨年の12月議会で、艦載機容認派は補正予算原案を否決し、この国の言い分を真に受けて合併特例債をわざわざ庁舎建設の未完成部分4億8千万円分を減額する修正案を可決しましたが、これも国にだまされた事にならないでしょうか。

 岩国市民が住民投票でそしてその後の合併後の市長選挙で示した、艦載機はいやだという市民の民意を無視して、お金の力で井原市長をひきづり下ろしました。まさにアメとムチであります。

基地再編に反対する自治体を札束で変節させる政府の卑劣な行為は間違っています。国民の税金である国の予算を、こうして何でもありの恣意的使うことは、憲法で定める地方自治や民主主義を否定する法治国家の自殺行為にほかなりません。

  こうしたアメとムチによる国の手法で構成された補正予算には政治的にとても納得できるものではありません。

 福田市長は艦載機容認ではないと口ではおっしゃっていますが、金をもらっておいてからでは安全・安心が納得できない事態になったら「艦載機はいやだ」と言えるのでしょうか、もともと平成20年度の予算への施政方針で基地問題への基本スタンスを変更し艦載機受け入れについても「基本的に理解をする」と表明されました。このことも到底納得できるものではないことも申し上げて、議案第65号平成19年度岩国市一般会計補正予算第9号についての反対討論といたします。