3月議会の最終日、米艦載機部隊移転問題について、井原市長に’現実的対応’を求める決議案が賛成21名で可決されました。

 この『在日米軍再編に係る決議』は、公明党の井上昭治議員が提案 ・説明しました。

  私たち 日本共産党市議団は、夜間着艦訓練やタッチ・アンド・ゴーなどの訓練について、地域振興策が実際どれぐらいの金額と認識してるのか、現実的対応とははっきり言って 移転を受け入れることかなど質問し、山田議員が反対討論をしました。


発言:井上昭治議員 (公明党)  議員提出議案第3号 在日米軍再編に係る決議

 上記議案を岩国市議会会議規則第14条の規定により、次のとおり提出いたします。

 それでは、案文の朗読をもって提案理由にかえさせていただきます。

在日米軍再編に係る決議

 不安定な弧と言われる日本を含むアジア地域の軍事バランスが崩れていこうとしていることから、在日米軍の再編が喫緊の課題となっている今日、昨年5月の日米合意及び閣議決定の後、今年の2月9日には駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法案が国会に提出され、大きな節目を迎えている。

 この間、国から岩国市の議会及び住民に対して、米空母艦載機の移駐に伴う諸所の事項について説明が重ねられ、市民の理解が深まったとの声があることは確かである。しかし、一方、国と市とのやり取りの中で相互の不信感が芽生えてくるにつけ、それがまた市民の不安の種になるという悪循環も生じているのは事実である。

 こうした状況を憂い、市民の間には、「このままでは何も解決せず、将来の展望が開けない。何とかしなければ」という窮状打開の声が起こっている。

 もとより、基地周辺住民の生活環境には最大限の配慮が必要なことは言うまでもない。そこで、国からの説明で明確になったことは、岩国市議会として意見書等を国に提出していた最大の懸案事項である「夜間着艦訓練」は引き続き硫黄島で実施され、市民が懸念する米空母艦載機の恒常的な施設の建設を岩国にする考えがないとの国の考えを確認していることや、艦載機移駐後の基地周辺の騒音や安全性については、十分な調査を行い万全を期すこと等広範にわたっている。

 そもそも国が進める「国民の安全保障政策」と自治体の役割である「住民の福祉の増進」の取組は、総合的判断と相互関連性によって成立するものである。双方相入れない閉そく状態が続くことは、ともに不幸な道を進むことにつながりかねない。

 今こそ、国と自治体の在り方の原点に立ち返り、これを契機にお互いに補い高め合う関係を構築する必要に迫られていると考える。

 そこで、度重なる国の説明では、米軍再編は地元の理解と協力の下、是非とも実施しなければならないとの強い意志が示されるとともに、駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法案において円滑かつ迅速に実施する旨の規定が置かれた今、岩国市のなすべきことは、住民の不安を取り除くべく安全・安心を具体的に確保する手だてを講じることと考える。

 更に、現実の負担に対しては、これを少しでも和らげ、更なる理解と協力を得る不断の努力が払われる必要がある。その際、国民の安全に対する地元の貢献に報いる配慮として、国が用意する地域振興策を導入することも、その一助になり得ると考える。

 これらが新たなまちづくりに役立てられ、住民の福祉の増進に資することができれば、基地の負担を補うのみならず、それ以上の成果も期待されるところである。

 また、苦渋の選択をしなければならない市民にとっても、納得のいくことにもなる。

 よって、市長におかれては、米軍岩国基地を抱える自治体として、現状の国際情勢の下、国が高度に判断された安全保障上の施策の重要性を理解し、現実的かつ効果のある取組をされるよう強く要望する。

 以上、決議する。

  平成19年3月23日    岩 国 市 議 会  』

 以上、全会一致で御賛同いただきますようよろしくお願い申し上げます。

 

発言:大西明子  提案者に質疑をいたします。

 この文章の中に「最大の懸案事項である「夜間着艦訓練」は引き続き硫黄島で実施され、市民が懸念する米空母艦載機の恒常的な施設の建設を岩国にする考えがないとの国の考えを確認していることや」というふうにありますが、硫黄島で実施されている夜間着艦訓練、これについては米軍の方が硫黄島が遠過ぎると。  そして、米兵や家族からも不満が出ているので新しく恒常的な施設の建設をするというのが背景にあるわけですが、引き続き硫黄島で実施されるというのはどういう期間なんでしょうか。

 私が理解するのは、そういう米側の不満を解消するために空母艦載機の恒常的な施設を180キロ以内に新たにつくると。それは岩国にはつくりませんよというのは説明では聞いておりますが、硫黄島でずっと実施するんだというふうなのは聞いておりませんが、その点の矛盾についてどのようにお考えなのかお尋ねをいたします。

 それから、恒常的な施設の建設を岩国にしないけれども、180キロ以内に新しくできたこの施設を使って、岩国でタッチ・アンド・ゴーやそういう訓練をしないのかどうか。やはりやるんだというふうに――確認いたしますが、どのように認識されているのか、この2点。

 さらに、国が用意する地域振興策を導入することもその一助になり得ると考えるというふうに文中にありますが、一体国が用意している地域振興策はどのぐらいの金額と認識しておられるのか

 さらに、この地域振興策の対象とする自治体は幾らぐらいあって、当岩国市について、こういうことを配慮したらどのぐらい来るとお考えになっているのかお尋ねをいたします。

 

発言:井上昭治    ただいま数点の質疑がありましたが、まず最初に、硫黄島で実施されている夜間着艦訓練は引き続き硫黄島で実施されるという部分でありますが、その冒頭に、岩国市議会が意見書等を国に提出しているという中において、ぜひ岩国で着艦訓練をしてほしくないという要望が出ております。そういうことの中の位置づけと考えております。

 さらに、タッチ・アンド・ゴーに関しての件でありますが、これは国の説明でもプロペラ機はこのタッチ・アンド・ゴーの――FCLPですか、プロペラ機はそれを実施するということでありますが、艦載機に関してのタッチ・アンド・ゴーについてのこの着陸訓練は――夜間着艦訓練は恒常的施設をこの岩国市に建設しないということを明言されているので、その辺はよろしくお願いします。

 地域振興策に関しては、今現実的に国会で取り上げておりますが、その中において文面で書いているようにこの地域振興策は、駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法の中においてもさまざまな内容が書かれている現実が法律の中でありますが、現在、今の状況の中で幾らで幾らどうだというのは、国会で審議中であるということしかこの場では述べることはできません。

 

発言:大西明子  今の質疑と答弁で、恒常的な施設の建設をやりますが、それに伴って着艦訓練をやりますよ。プロペラはやるけれどもジェット機はやらないという、それはどういう文書で確認しておられるのか、必ずやるというふうに思いますが、お尋ねをいたします。

 それから、地域振興策はこれから国がやるということですが、一応今51億円ばかりの予算を組んでいると思いますけれども、その中で基地を持っている自治体がどのぐらいあって、いかにもたくさん振興策が来るようなイメージを与えておりますけれども、実質的にはどうなのかというのをお聞きをしておるわけです。

 

発言:井上昭治    私がここで述べているのは、夜間着艦訓練のための恒常的施設ということであることからしてもわかると思います。それと、現在の地域振興策の再編交付金ということが言われておりますが、これは現在国会で審議中であります。その審議中の内容に対しての踏み込みは、私としてはここで話すことはできません。

 

発言:山田泰之    今の提案者の答弁を聞いておりますと、地域振興策は今国会で審議中だということでありますので、こういう決議は国会で決まった後に出すのであれば、ある程度ここで合理性があるんじゃないかと思いますが、いかがですか。

 

発言:井上昭治   今質疑がありました、法律案の中のことからいえば、この中で再編関連振興特別地域整備計画というのがあります。その中におきまして、生活環境の整備に関する事項、産業の振興に関する事項、基幹的な交通施設の整備に関する事項等、さまざまなその地域に関するその特別な施策を盛り込むという整備計画があります。それだけはこの時点ではっきりと言えると思います。

 

発言:藤本 ひろし   現実的な対応というふうに書いてあります。現実的な対応ということは、厚木の米軍基地を受け入れよというふうに理解してよろしいのかどうか、その点が1点。もしそうであるならば、さきに岩国市議会が全会一致で確認をした厚木基地移転反対の決議との整合性をどのように考えるのかという点について。

 

発言:井上昭治   先ほどの質疑でありますが、まず最初に厚木基地を受け入れよと言っているのかということでありますが、私は、1月26日の全員協議会において、市長がその容認をしないけども、そのまま国としてはこの容認をしない中で厚木基地の移駐はどうなるのかという質問をいたしました。その結果、この文面にも書いていますが、国は2014年までに粛々とこの完了をさせるということを述べられております。そのことからここに書いている現状と全く同じだと思います。

 それとさらに、先ほどの厚木基地移転決議ですか、(「艦載機」と呼ぶ者あり)これは旧岩国市のことであります。それと同時に、旧岩国市にしてもその中で、先ほどの文面の中に書いているとおりであると私は理解しております。

 

発言:藤本 ひろし   もしそういう御答弁であれば、こういう不明確な言葉でごまかすのではなくて、はっきりと受け入れるべきだというふうに御主張なさることの方がむしろすっきりするのではないか、そういうふうに思います。

 そういう点で、公明党の議員団として私が承知している限りでは、公明党の議員の皆さんはやはり市民の立場――住民投票で示された市民の立場に立って、今まで空母艦載機の受け入れには反対という態度をとってこられたというふうに思うんですが、それがここに至って豹変されたのはどういう理由で豹変されたのか、改めてお伺いをしたいと思います。

 

発言:井上昭治   決議の中の一つの質疑としてとらえるとすれば、今質疑がありましたが、私どもは当初、現実的に市民の中においてまだ非常にそれを理解できるだけの材料がないという判断のもとでしておりました。

 ただ、昨年来、私どもの公明党県本部を挙げてこの米軍基地に関するさまざまな問題点を取り上げ、その協議をする対策本部を立ち上げ、その後、昨年の12月に私は一般質問をしました。その時点において、ことしの1月、民意の団体によるその方向性も少し変わってきている。自治会連合会が、岩国基地再編に対するそれぞれの中において現実的な対応をとっていただきたいという要望書を出しております、市長に。そういう民意が少し変わってきている。

 それとさらに、あと一つ言えるのは、1月26日の全員協議会で私が言いました質疑の内容、それと、私どもはこの1月の当初から国に行きました。防衛施設庁との協議を何回も重ねました。そういう現実的な場所も見ることにしました。 現実的というか、池子の米軍住宅に行きました。

 皆さんの方でよく知っていただきたいのは、国会でイラクの特別措置法の話がされているときに、私どもの神崎前代表はイラクのサマワに行きました。現地で防弾チョッキとヘルメットをかぶり、危険と言われる米軍のヘリコプターで現地へ行きました。私どもは現地に行き、その視察をし、それぞれ現場でのその状況を確認しながら、またさらに協議を重ねながら――国と何回も協議をしています。

 そういう中において艦載機がもう来るという現実的な状況になるという形を考えたときに、今のままでは岩国市民が大変な不幸な状態に陥るということからすれば、これはぜひ前向きに現実的な対応をとっていかなきゃいけない。それが岩国市民の安心・安全を守ることである、そのように判断したわけであります。

 

発言:山田泰之    日本共産党の山田泰之です。日本共産党市議団を代表して在日米軍再編に係る決議案に反対の討論を行います。

 1991年ソ連崩壊による冷戦終結や2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件以後、安全の保障環境の変化、軍事技術の進歩に対応し、特に2001年以降、米国防省は冷戦型の米軍配置を世界的に見直す作業を本格的に着手し始めました。

 その目的は、太平洋からインド洋、中東に連なるテロや大量破壊兵器の温床として米国が警戒する地域に即応可能な指揮系統、後方支援機能を在日米軍が自衛隊と共同して構築するところにあります。

 米軍再編が急ピッチで進むに伴い日米両政府は、米国が警戒する地域を焦点に、自衛隊と在日米軍の役割分担や在日米軍基地の再編の見直しについて協議を重ねてまいりました。日米両国は日米安保協議委員会、いわゆる2プラス2を開催し、在日米軍と自衛隊の再編についての基本的な考え方や、当面、2国間の安全保障、防衛協力で体制強化に不可欠な措置、日米同盟すなわち未来のための変革と再編で合意し、再編計画の大枠を決めました。

 しかし、今世界は六カ国協議など紆余曲折はあるけれども、平和の枠組みこそ21世紀の主流という方向に進んでおり、軍事一辺倒でない外交での解決の探求が今求められております。

 なお報告書には、自衛隊と在日米軍の連携強化と基地負担の軽減策を盛り込んでいますが、グアムという米国領内の基地建設費に日本国民の税金1兆円相当の膨大な金額を負担するということになっております。とんでもないことであります。岩国基地は市街地に近接する基地で、騒音の解決のため、政府は滑走路を沖合1キロに移設することを決め、1997年度に事業を開始し、2008年度の完成を目指しております。

 そうした状況の中で、厚木基地周辺では、以前より空母艦載機のNLPに伴う騒音が問題になり、在日米軍の再編計画の中で、米軍と政府は沖合に滑走路が移設される岩国基地に空母艦載機部隊を移駐させることで騒音問題の解決を図るとしております。厚木基地に配属されている空母艦載機57機を岩国基地に移駐させる計画、いわゆる厚木基地の第5空母航空団を岩国基地に、普天間飛行場の空中給油機KC−130ハーキュリーズは飛行隊司令部整備施設とともに岩国基地へ、そして、鹿屋やグアムへのローテーションが明らかになりました。このような内容が住民と相入れない艦載機部隊移転を押しつけるものとなっております。

 厚木から岩国への移転計画が報道され、2005年の6月には旧岩国市議会でありますけれども、移転反対を全会一致で決議し、自治会連合会は市民約6万人の反対署名をも集めました。

 しかし、議会内や経済界から条件つき容認論が浮上し、昨年住民投票が実施されました。投票には有資格者の58 .68%、投票総数の87%、4万3433人の人たちが空母艦載機部隊移転反対に投票を行いました。

 投票結果は法的拘束力がないものの、条例には市民、市議会、市長は結果を尊重するとの規定があり、市民、議会、市長は当然これを尊重しなければなりません。

 その後に行われた市長選挙では、空母艦載機部隊受け入れ反対を訴えた井原市長が圧倒的な大差で勝利をいたしました。

 このように、2度にわたって空母艦載機受け入れ反対が市民から意思表示されたことは、大変な重みを持つものであります。

 住民投票から1年たった今日、岩国市は国の担当者を招き艦載機移転の住民説明会を開催し、参加者は市内18カ所、延べ2000名以上の参加がありました。国の説明では、当初は騒音は大幅に軽減されると説明しておりましたが、今日では実際に戦闘機を飛ばしてみなければわからない、また、飛行ルートについても米側と協議する、国会答弁ではNLPについてやらないと言っていたが、やる場合もある、また、FCLPは常時実施するなど、回を重ねるたびにこのように内容が少しずつ変わり、不明な問題がたくさんあります。

 国は住民の意思を無視して、問答無用で艦載機部隊を押しつけようとしておりますが、道理ある説明もなく、国が予算をカットした新庁舎の建設補助金を初め米軍住宅、騒音などいろいろな意見や不信と疑問が多く出されております。

 議会として、国のこのようなやり方に対して抗議を上げるのが当然ではないでしょうか。

 地域振興策で本当に栄えた町があるのでしょうか。日本全国で米軍基地が所在する自治体で栄えたところはほとんどないと言っても過言ではありません。

 新たなまちづくりという愛宕山に米軍住宅を持ってくることも選択肢と説明会で国は答弁をいたしましたが、今どき米軍に岩国市の大事な土地を差し出すなどということは時代逆行も甚だしい、ましてや地域振興策でいかにも栄えるような幻想を与えるが、基地沖合移設事業の2400億円でも、ゼネコンがもうけただけで、地元中小業者が潤うようなものではありませんでした。

 このことは皆さんも既に御存じのとおりだと思います。何よりも初めに日米合意ありきで、次に基地のある自治体に情報を小出しに伝える、地元住民には結果のみ知らされ、地元の声を聞き、地元と調整するよりも米国との協議を優先する政府の姿勢が浮き彫りになっております。

 住民の安心・安全を守るために地方自治体が住民投票、市長選挙での民意に沿って国に艦載機部隊の移駐をやめてと頑張るのは当然のことであります。これ以上基地機能強化には反対、騒音はごめんだと、住民投票の結果を重く受けとめ、在日米軍再編に係る決議案に反対の討論といたします。

 

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