議員提出議案第4号 国防協力都市宣言を求める決議

 

発言:前野弘明 議員 上記議案を岩国市議会会議規則第14条の規定により、次のとおり提出いたします。

 それでは、案文の朗読をもって提案理由にかえさせていただきます。

『 国防協力都市宣言を求める決議

 先の大戦以来、我が国は、平和と自由のうちに経済や文化を発展させてきた。

 しかしながら、人類の強い平和への希求にもかかわらず、世界の各地で国際紛争が発生し、戦乱の悲劇に遭遇した多くの国々の不幸を、私たちは知っている。

 過去の歴史の中で、予期せぬ形で突如として、平和への破壊と侵略が発生し、平和な生活が踏みにじられてしまうことが、しばしば起こっている。

 近年、東西冷戦構造の崩壊以降、国際情勢は不安定化に向かい、9・11テロに代表される国際テロなどの新しい脅威の台頭や核・生物・化学兵器など大量破壊兵器の拡散、弾道ミサイル攻撃の危険等々、安全保障環境も大きく変化しており、我が国の防衛問題についても、新たな認識が求められている。

 幸いにして、今日、国民の各層にわたり、国の安全と防衛が、国民生活の根幹にかかわる極めて重要なこととして認識され、国防に対する理解が深まりつつある。

 国の安全なくして平和はなく、平和なくして国民の安穏な生活も繁栄もあり得ない。国を守るということは、私たちの自由で平和な生活を守ることである。

 岩国市は長年にわたり、国防に理解を示し、協力してきたところであるが、我が国を取り巻く国際情勢の不透明化に伴う安全保障体制の変化に対応して、新たな理解と協力の必要性を痛感している。

 よって、岩国市議会は、岩国市に対して、「国防協力都市」を宣言することを求める。

 以上、決議する。

 

平成19年3月23日

岩 国 市 議 会  』

 以上、全会一致で御賛同いただきますようよろしくお願い申し上げます。

 

発言:藤本ひろし  私はこの決議案を見て、改めて若干質疑をさせていただきたいと思うんですが、国防とか国策とかというのは非常にいろんな意味を持つ言葉でありまして、やはり今の日本の国の新しい憲法の体制のもとでは、大変非常に異質な決議案ではないか――求める決議ではないかというふうに考えざるを得ません。

 それで1点だけ提案者にお伺いしたいんですが、全国でこういうふうな決議をしているところがあれば、どれぐらいあるのか教えていただけませんでしょうか。

 

発言:前野弘明 議員  同じような決議をしているところということについての御質問ですが、私は岩国の特異性にかんがみ、この決議が必要であるということを感じて提出させていただいたつもりであります。よって、ほかのところは気にすることはないと思います。以上です。

 

発言:藤本ひろし  あるかないかということをお尋ねしたんですが、全然調べてもおられないし、あるかないかもわからないということでございましょうか。

 

発言:前野弘明 議員 ですから、調べる必要性を感じておりませんでしたので調べておりません。

 

発言:藤本ひろし  日本共産党市議団の藤本博司でございます。日本共産党市議団を代表して議員提出議案第4号 国防協力都市宣言を求める決議案に反対の討論を行います。

 日本共産党は、戦前、国益を守る、国を守るという名目で国家によって進められた富国強兵政策に対して、当時、非合法のもとで主権在民、侵略戦争反対の旗を高く掲げて奮闘してまいりました。

 この中で、「蟹工船」で有名な作家小林多喜二を初め、多くの先輩党員が拷問により虐殺されました。

 戦前、虐殺された人65人、拷問・虐待で獄死した人114人、その他の獄死者1,503人、こういう記録があります。死亡した人すべてが日本共産党員ではありませんが、こういう命がけで戦争に反対をした歴史を持つ党として、国防協力ということに意見を申し上げないわけにはまいりません。

 日本は戦後、この歴史の教訓の上に立って新しい憲法を制定し、日本国民は正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と武力による威嚇または武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては永久にこれを放棄する、こういうことを決めたわけであります。

 ところが本決議案は、国民の平和と安全より、国を守るということを優先させる主張となっています。

 日本国憲法は五つの原則があるというふうに言われております。

 一つ、国民主権と対外的な国家主権、二つ、恒久平和主義、三つ、基本的な人権、四つ、議会制民主主義、五つ、地方自治であります。

 ところが、今進められている米軍再編は、この日本国憲法の規定に明らかに反するものであります。戦前、帝国議会の帝国憲法の中では、こうした今日の五つの日本国憲法の原則はありません。この新しい日本国憲法の規定に基づいて、今民主主義の立場から市民が声を上げている、地方自治体が声を上げている、こういうのが実態ではないでしょうか。

 米軍再編は日本の国の都合ではありません。米軍の都合以外に何ものでもありません。

 私たちは何ゆえ日本政府がアメリカの言いなりにならなければならないのか不思議でなりません。

 3日前の3月20日は新岩国市が誕生した日ですが、イラク戦争が開始されて4年目でもありました。イラクでは罪もないイラク市民が数十万人亡くなり、アメリカ軍の犠牲者も3200人を超えるという痛ましい事態が進んでおります。

 アメリカ国内の世論も変化してきています。やはり、紛争を武力で解決するというところに無理や間違いがあるのではないでしょうか。

 本決議は、岩国市は長年にわたり国防に協力してきたが、国際情勢の変化で新たな理解と協力の必要性を痛感していると、明らかに厚木空母艦載機部隊を受け入れよとしか理解できない重大な文言が含まれております。

 岩国市民は、戦後60年にわたっていや応なしに基地に協力させられ、基地による騒音被害、米兵犯罪、墜落事故などによって幾多の市民が直接犠牲になり、お亡くなりになっております。こういう被害以外に勉強に集中できないとか、夜、町を歩くのが怖いとか、まちづくりの大きなゆがみなどなどの不便な暮らしを強いられています。

 だからこそ、今以上の基地の拡大強化には我慢できないというのが昨年の3月の住民投票、市長選挙で示された市民の民意ではないでしょうか。

 この宣言は、平和なくして国民の安寧な生活も繁栄もあり得ない、だから国を守らなければならないと飛躍し、論理をすりかえております。

 平和を守るためにしなければならないこと、外交努力にも全く言及されていないし、一方的に軍事力のみを問題にするとしか理解できないものとなっております。これは今日の世界の流れにも逆らうものです。よって、本決議案に反対の討論といたします。

 

以下略