2007年3月定例会 大西明子の一般質問

 

大西明子: まず最初に、今議会を最後に退職される職員の皆さんに一言お礼を申し上げます。

 長い間、市政発展のために頑張ってこられたことに心から感謝をいたします。退職後は、健康に留意され、地域におかれましてますます活躍されますよう祈念をいたしまして、一言お礼を申し上げます。長い間ありがとうございました。

 それでは、私は、日本共産党市議団を代表して一般質問を行います。

 最初に、施政方針の愛宕山地域開発事業について質問いたします。

 私は、この質問をするにあたって、これまでの経緯を少し整理をしたいと思って、岩国市議会会議録を読み返してみました。その中で、平成8年3月議会で一般質問のトップバッターとして河谷議員が基地問題について質問しておられます。

 質問要旨は、(1)米軍岩国基地があるがゆえに、岩国市民がさらされている危険を回避し、騒音被害を軽減するためには、基地の沖合移設事業は絶対に推進しなければならないということを表明した上で、普天間基地を岩国に移駐することの反対運動を進めることについて、(2)普天間基地の移転先として、具体的に検討する際、岩国基地を候補地として、今後一切検討しないことを国に約束させることについてとなっています。

 貴舩市長の答弁は、『国際条約でございます日米安全保障条約に基づき、現に米軍基地が存在しているという現実のもとにおきましては、騒音障害等基地に起因する諸障害の除去、緩和を図るため、地方自治体としてとり得る現実的な方策としては、基地沖合移設が最も現実的な改善方策であると認識をいたしておるところでございます。

 市といたしましては、基地機能の今以上の強化につきましては、到底受け入れられないことでございます。これ以前の昨年11月28日にも外務省及び防衛施設庁に対し――山口県とともに口頭で、同月26日には現地岩国基地司令官あてに文書で、さらに3月1日には私が山口県副知事及び由宇町長とともに、改めて外務省、防衛庁及び防衛施設庁に山口県知事と由宇町長との連名による文書をもちまして、基地の増強がなされないよう強く要請をいたしております。

 今後とも河谷議員の御指摘を踏まえまして、市民の生命、財産の安全を確保し、航空機騒音等の諸障害を緩和するための基地沖合移設事業は強力に推進し、基地機能強化に結びつくような普天間基地の岩国移駐につきましては、引き続き国に対して移駐反対の基本姿勢を貫いてまいりますとともに、移駐問題の協議がなされるような動きがあれば、市民の先頭に立って県とともに反対してまいる決意でございます』と答弁しています。

 次いで、2番バッターとして、日本共産党市議団の松田議員が、米軍基地滑走路移設と沖縄普天間飛行場の移設問題について、愛宕山地域開発事業について質問しておられます。

 『質問の締めくくりとして、最後になりますが、愛宕山開発事業が基地の土取り場優先の事業になっているということを厳しく警戒しておる。今のお話でも事業費は131億円損失補償を計上しています。しかし、その事業は、採算が合うかどうかはわからない。平成10年まで待ってくれというんでしょう。どこの世界に事業を進めるのに、採算が合うか合わんかわかりもせんものにお金をつぎ込んで事業を始めますと、そんな理屈の通らない話は全くないんですが、こんなおかしな話が岩国の市議会で起きておる。この辺について、私は、愛宕山開発の性格が、基地の埋立土砂搬出優先の政治であって、そのことによって岩国市がどれだけの将来財政負担を強いられるかということは、後の話だという、そんな計画は認められないということを厳しく申し上げる次第でございます、いかがですか』と。

 10年前、愛宕山開発事業の破綻を指摘しているのです。

 私がなぜ10年前のこの質問の内容を改めて紹介したのか。その思いについては、それぞれの皆さんの想像にゆだねます。

 市長は、施政方針の中で、開発を中止して米軍住宅へ転用する案が取りざたされているが、空母艦載機部隊の移駐に反対しており、米軍住宅への転用は考えられない。

 また、愛宕地区など周辺地域住民からも強い反対の声が上がっており、将来のまちづくりの観点からも問題が多い。事業実施の経緯や都市計画のあり方なども勘案しながら、県や公社とも協議し、今後の方向を検討していきたいとしています。

 私も空母艦載機の移駐に反対です。米軍住宅への転用はとんでもない話だと思っています。

 2月21日に、平田地区自治会連合会の米軍住宅転用反対の要望書提出にも自治会長として参加いたしました。住民説明会で出された意見や周辺住民の意向を尊重して、県と公社との協議を進めるよう強く求めるものです。

 二井知事は、当初は「地元の意向を尊重する、市町とともに歩む県政」と言っていましたが、国の手段を選ばぬ圧力の中で、岩国市を支えるどころか、国の意向とみずからの失政を岩国市民に押しつける政治姿勢は、住民説明会でも痛切な批判の的になっていました。

 愛宕山開発事業の事業主体は、県住宅供給公社です。最後まで責任を持って当初の目的を達成する努力を最大限求めるべきです。

 同時に、どのようなまちづくりにするのか、住民の意見を聞く機会をつくらなければならないと考えますが、今後の方針についてお尋ねいたします。市長の答弁を求めます。

[答弁:井原市長]

 大西議員のご質問のうち、私からは、愛宕山地域開発事業についてお答えをしたいと思います。

 ご指摘にもありましたが、また、施政方針においても述べておりますが、愛宕山地域開発事業は、平成17年2月に住宅需要調査を踏まえて見直しを行い、2期に分けて宅地分譲を行う予定でありましたが、昨年改めて中止見通しを行いました。

 その結果、中止すれば多額の借金が残る、継続して販売をしても地価の下落により多額の赤字が残るという大変厳しい状況になりました。しかも損失が出れば、県と市が2対1の割合で補償する約束になっておりまして、多額の負担が避けられないという厳しい状況にあります。

 こうした状況の中で、県は開発を中止して転用するという方針を打ち出しているわけでありますが、中止してその後どうするのかという具体的な案はいまだ示されてないという状況にあります。

 事業を中止するということは、単に中止するということは、大きな借金と荒れ地が残るだけでありまして、どう考えても単に中止というだけの選択肢は考えられないわけであります。中止してどうするのかということをあわせて考えていく必要があると思います。

 最近、中止した後、米軍住宅への転用ということが取りざたをされておりますが、中止するということは、そのまま米軍住宅への転用につながるという可能性も高いと思いますし、両者はやはり連動してこの際考えていかなければいけないんではないかというふうに考えております。

 もちろん県のご指摘のあるように、財政問題――大変厳しい、将来にわたって大きな負担が残る可能性が強いという財政問題も大きな課題として考える必要があるだろうというふうに思いますが、やはり従来から進めてきておりますまちづくりという観点も忘れてはならないということでございます。

 米軍住宅への転用ということになれば、米軍再編本体について容認してない段階で米軍住宅への転用ということは、当然考えられないわけでありますし、これまでの都市計画、新住法に適用して魅力ある地域をつくるという目的のもとに進めてきております。そういうまちづくりの観点からも大きな問題があるだろうというふうに思います。

 周辺地域の住民からも繰り返し反対という――米軍住宅への転用は反対という強い声が示されているところであります。こういう声もしっかりと聞いていかなければいけないというふうに思います。

 いずれにしましても、県と市の考え方が大きく今違っているという状況で、来年度の新しい事業の推進のための予算も計上されてない状況にあり、いわば宙ぶらりんの状況にありまして、このままほっておくわけにはいかないだろうというふうに思います。

 そういう意味で、何度も申し上げますが、共同事業でもありますので、3点申し上げておりますが、財政問題とまちづくりの両方の観点を考慮して今後検討する必要があるということ。できるだけ早く、やはり方向性を決定していく必要があるということ。そして、3者の共同事業でありますから、3者ができるだけ早くその方向性について合意をするという必要性があるということを基本にして、できるだけ早く協議をしていきたいと、協議をして方向性を考えていきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いします。


大西明子: 次に、身体障害者(児)福祉タクシー料金助成事業について質問いたします。

 2月10日に、障害者シンポジウムが福祉会館で開かれ、私も参加いたしました。

 自立支援法の実施の中で、さまざまな問題点が指摘されました。その中で岩国市に対する要望として、身体障害者(児)の福祉タクシー料金の助成について意見が出されました。

 旧岩国市では、タクシー利用券を1回に3枚使えたのに、合併してから1枚しか使えない。出かけたいと思っても負担の方が大きく、外出を取りやめてしまう。実際に使いやすいように、せめて旧岩国市の制度に戻してほしいという要望が出されました。

 こういう意見が出されことを、私の後援会ニュースでお知らせしたところ、すぐに電話がかかり、ぜひ改善をしてほしい。手が悪くてお金の出し入れにも困っている。タクシー券をもっと使えるようにしてほしいとのことでした。

 平成18年度の3月補正予算を見ますと、身体障害者(児)福祉タクシー料金助成事業が、市内全域を対象とした新制度であり、利用者が予想を下回ったため、決算見込みに基づき減額するとして、何と6,122万2,000円も減額しています。

 私は、このことは利用者が使いにくい制度になったことが大きな原因になっていると指摘をしたいと思います。制度の改善を強く求めるものです。市長の答弁を求めます。

[答弁:健康福祉部長]

 第2点目の福祉施策についての身体障害者(児)福祉タクシー券についてにお答えします。

 本年4月から合併協議会の調整方針に基づき、本事業を実施しております。

 現行制度と旧岩国市制度とを比較いたしますと、対象者につきましては、療育手帳Aを所持しておられる方からBを所持しておられる方まで、また、精神障害者保健福祉手帳1級を所持しておられる方から2級、3級を所持しておられる方まで拡大をいたしました。

 さらに、交付枚数については、一律36枚を、一般は48枚に、そして、人工透析者の方々には、人工透析回数に配慮した交付枚数といたしました。
 したがって、制度の調整に当たっては、限りある財源を有効に活用するため、制度の趣旨が社会参加の促進であることから、対象者の拡大や交付枚数の増を図りつつ、利用枚数を1乗車につき1枚と調整をいたしました。

 平成17年度における旧岩国市の実績では、利用率が58.2%であったのに対し、平成18年度の実施状況では43%と大きく下回っているのが現状です。

 利用率が大きく下回った要因は、利用枚数を1枚としたところにあるとは考えますが、対象者の拡大により多くの方々に御利用いただいているのも事実でございます。しかしながら、地域に住む利用者の方々に対しては、公共交通機関や社会資源の整備状況、また、自家用車の保有状況や身体等の状況などを総合的に検討する必要があると考えております。

 今後は、ユニバーサルデザインの概念を反映したまちづくりを推進し、利用率の向上を図るとともに、障害者及び高齢者の方々に対する移動支援や社会参加促進など、福祉のあり方について広い視野を持って検討してまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。


大西明子: 3番目に、公営住宅ストック総合活用計画についてお尋ねいたします。

 新年度予算に、ストック総合活用計画策定事業の委託料600万円が計上されていますが、その内容についてお尋ねいたします。

 くしくも平成8年3月議会で、私は、高齢者等の住宅施策に関する住宅マスタープランの市営住宅松山団地のシルバーハウジングの建設計画について質問しております。

 その中で、私は、高齢者が安全に健康で豊かな老後を過ごすための住宅供給や住環境の整備を求めてきました。

 現在、旧岩国市の黒磯団地や浪の浦団地、通津南団地等は、空き家が多くあり、一方、高齢者は定率減税の廃止、老年者非課税特例の廃止で負担が増大し、とりわけひとり暮らしの高齢者は、家賃の安い市営住宅に入りたいのに、一定の枠があって入居できないのが現状です。

 こうした問題を今回の公営住宅ストック総合活用計画にどのように取り入れるのか、基本的な考え方をお尋ねをいたします。

 以上で、壇上からの質問を終わります。

[答弁:助役]

 第3点目の市営住宅についての、公営住宅ストック総合活用計画の策定についてにお答えいたします。

 住宅は、健康で文化的な生活を営む拠点であります。そのためには、良質な住宅の確保と高い居住水準を実現することが必要となります。

 また、特に、近年の少子高齢化の進行による高齢者世帯の増加のため、高齢者や障害者に配慮したバリアフリー化やエレベーター設置などの配慮がなされた住宅の建設、改善が求められております。

 現在、岩国市は、2489戸の市営住宅を管理し、住宅を必要とする市民にとって大きな役割を果たしておりますが、そのうち築後30年以上を経過した住宅もあり、一部は入居停止を余儀なくされ、居住環境の改善整備が課題となっております。

 この改善整備を計画的に進める方策の指針となるのが公営住宅ストック総合活用計画でございます。旧岩国市といたしましては、平成12年度に岩国市公営住宅ストック総合活用計画を策定しております。しかし、今回の合併に伴いまして、各地域の実情に応じたストック活用の理念と目標の設定を行い、統廃合を含め、建てかえ、全面改善、個別改善等を基本とする計画を策定することといたしております。

 今回の策定に当たりましては、平成18年度国が策定した住生活基本計画や山口県住宅マスタープラン等の上位計画との整合性を図り、実効性のある岩国市公営住宅ストック総合活用計画を策定する予定でございます。

 なお、計画期間は原則10年間で5年ごとに計画の見直しを行うこととなっておりますので、よろしくお願いいたします。

 

実際は、まず質問者が上記の質問を一度にすべてし終わってから、それぞれの項目について市長や担当部長などから答弁を受けますが、ホームページでは分かりやすいようにそれぞれの項目に分けています。

壇上でまず最初にこのように質問をし、答弁を受けてから、またさらに再質問をします。再質問の時は、質問・答弁、質問・答弁と進んでゆきます。

再質問はもうしばらくお待ちくださいませ。

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