2006年12月定例会 大西明子の一般質問

答弁・再質問はもうしばらくお待ちください。

 

大西明子: おはようございます。私は、日本共産党市議団を代表して一般質問を行います。

 最初に、愛宕山地域開発事業の見通しについて質問をいたします。

 日本共産党市議団は、基地沖合移設は基地の拡大強化につながり、他の施設の呼び水になると一貫して反対してまいりました。

 この沖合移設に土砂を運び出すことを目的とした愛宕山地域開発事業は、新住宅市街地開発事業を適用し、5600人もの人口増を見込んだ無謀な計画だと計画当初から反対をし、県民、市民に多大な負担を負わせることになると問題を提起をしてまいりました。

 今日の事態は、まさに私どもが指摘したとおりの状況に陥っています。事業収支見込みの試算結果から巨額の赤字になることが明らかになりましたが、県知事は県議会の一般質問に答えて、結果的には当初の見込みが甘かった。今後、解決に向けて最善の努力をすることが県の責務。できる限り県民に負担のかからない方策を検討する必要があると答弁し、まるで人ごとのような無責任な態度を示していました。

 しかも、12月8日付の新聞報道では、県は開発を中止した場合は、米海兵隊岩国基地への空母艦載機移転に伴い、取りざたされている米軍住宅への転用案を含めて検討していく方針を初めて示したと大きく報道されています。

 私は、平成17年の6月議会で、5月5日の東京新聞で、岩国に宿舎検討、艦載機の乗員宿舎建設を日本に求めていると大きく報道された問題を取り上げ、市長の見解を求めたところです。

 市長は、新住宅市街地開発事業は、住宅に困窮する国民のための住宅地の供給を図ることを目的とした事業で、その区域に米軍住宅を建設することは、法の趣旨からしても非常に困難であると考えておりますと、また再質問に対しても、全然検討されたこともないし、こうして議論するレベルの話ではないと答えています。

 岩国市民にとって重大なこうした問題を、地元岩国市を飛び越えて県が検討するという立場を示す、こういう態度を市民は絶対に許さないと思います。国や県が岩国市の意向を無視し、岩国市民に対して国の言うことに従えという、横暴な非民主的なやり方を、県民、市民は受け付けないと思います。

 愛宕山地域開発事業用地を米軍住宅へ転用することは、米兵の犯罪を増大し、市民生活をますます不安にします。絶対に反対であります。国や県に対して反対の態度を明確に示すべきだと思いますが、市長の見解を求めます。

 

 愛宕山地域開発事業は、国の沖合移設の事業に連動したものであり、また事業主体は住宅供給公社です。国、県が責任を持つべきです。将来見通しとして、市民要求の強い公園施設や野球場、医療センターの誘致などまちづくりの検討と今後の見通しについてお尋ねをいたします。


大西明子: 次に、民間空港再開について、米空母艦載機受け入れとリンクするという国の態度に対する市長の見解について質問いたします。

 11月29日の新聞報道では、各紙とも、「岩国民空再開 米軍再編容認が条件」、「防衛庁 知事に説得を促す」など、いずれも艦載機受け入れが条件と大きく報道されました。これまで井原市長は、米軍再編と切り離して民間空港を実現したいとしてきましたが、この国の態度についてどのように対応するのか、市長の見解を求めます。

 岩国市民が艦載機受け入れ反対の立場にあることに対して、庁舎建設の補助金カットや賛成の自治体には地域振興策をちらつかせ、住民の意思を金の力や圧力で抑え込もうとする住民自治不在のやり方は、まじめに暮らしている市民の理解を到底得られるものではありません。

 私は、国が艦載機受け入れが条件というなら、民間空港の再開要望は中止すべきだと思います。

 たとえ艦載機受け入れが条件でなくても、民間空港の経営は大変厳しいのが全国的にも明らかになっています。

 第二の愛宕山地域開発事業になる可能性は多大です。住民の意思を曲げてまで再開する必要性はないと考えますが、市長の見解を重ねて求めます。


大西明子: 3番目に、瓦谷の火災の鎮火後の対応について質問いたします。

 臨時議会での瓦谷の火災についての諸般の報告によりますと、火災発生場所は岩国市瓦谷の河内産業株式会社チップ堆積場、10月21日7時7分火災通報を受信、直ちに中央消防署の車両3台出動、岩国市消防団北河内、南河内分団の招集を行い、消防車両13台により消火活動を開始、10月23日から10月30日までは、毎日昼夜間消防職団員約80名から100名を投入して消防活動に当たった。11月3日からは長期にわたるため負担が大きいので、他の方面隊にも応援要請を行った。22日間に及ぶ活動の結果、11月11日に鎮火を確認した。この間、従事した消防職員は延べ432名、消防団員は延べ913名に上ったと報告されました。消火に当たられました消防団員、消防職員の皆さんにおかれましては、大変御苦労さまでした。心から感謝をするものです。

 今議会に1,400万円の消防の費用弁償費が計上されています。市民の大切な税金が使われるのですが、出火場所の所有者に対してはどのような対応がされているのでしょうか。

 また、報告では国の指導や支援を得るべく、総務省消防庁及び消防研究センターに職員を派遣しているとありますが、どのような内容になっているのかあわせてお尋ねをいたします。

 また、火災予防条例の届け出やその審査、未届けに対して罰則等の法整備が必要だと考えますが、市長の見解を求めます。


大西明子: 最後に、教育問題のいじめの状況とその対応について質問いたします。

 いじめを苦にした児童・生徒の自殺が相次ぐ深刻な事態を受け、政府は教育再生会議を11月29日開催し、8項目の緊急提言をまとめ公表いたしました。

 「いじめ解消の第一次的責任者は校長、教頭、教員。教育委員会、保護者、地域が社会総がかりで早急に取り組む。いじめを見て見ぬふりをする者も加害者として指導。いじめを訴えやすい仕組みを設置。学校は、問題を起こす子どもへの社会奉仕や別教室の教育など指導、懲戒の基準を明確化。毅然とした対応をとる。いじめを理由とする転校も認められることを周知する。いじめにかかわったり、放置・助長した教員に懲戒処分適用。いじめがあった場合、学校は隠さず保護者らに報告、家庭と地域一体となって解決に取り組む。教育委員会もチームをつくり学校を支援」、以上のような提言骨子となっています。社会奉仕は活動への参加、別教室での教育など毅然とした対応を学校に求める懲罰性の強い内容となっております。一方、現場が悩む「いじめとは何か」という肝心な点には全く触れておらず、現場からは強い批判が上がっています。

 指導、懲戒を行う前提となるいじめの定義を、教育長はどのように考えておられるのかお尋ねいたします。

 

 一方、緊急提言は、いじめを生み出す素地をつくらないとして家庭と地域の責任に触れていますが、競争に追い立てられ、ふるい分けられることによる子供たちのストレスなど、いじめの温床の問題については触れていません。人間を勝ち組、負け組にふるい分ける競争社会、弱い者いじめの政治が、いじめ容認の風潮を生み出していることも大きな問題と私は思います。提言は、「いじめを生む素地をつくらず」と言いながら、その温床に一切触れておりません。

 また、いじめの対策を数値目標化して達成を求める業績主義がいじめ隠しを生み、問題解決の障害になってきたことも触れていません。いじめがあった場合に、学校や家庭、地域が協力して解決に当たるためにも、この業績競争を改める必要があると思います。

 提言は、懲罰主義とも言える内容を含んでいます。いじめた側や周囲の子供への指導は当然必要です。しかし、それは実態に応じた丁寧な対応で、子供たちの人間的な成長につながるようにしなければ問題は解決しないし、子供を一層息苦しい環境に置き、かえって問題をこじらせることになりかねません。

 子供が命を絶つ痛ましい事件が相次ぐ現状は、余りにも異常です。この問題の解決に社会が全力を挙げて取り組むことを多くの国民が切実に望んでいます。教育長として、この提言をどのように受けとめておられるのかお尋ねいたします。また、岩国市のいじめの現状とその対応についてお知らせください。

 いじめの最大の抑止力は、大人たちがゆとりを持って、子供の話をじっくり聞いてあげることだと言われています。しかし、教育現場では、教職員の多忙化でまともに向き合うゆとりがない、子供たちと触れ合えないという問題が浮き彫りになっています。文部科学省がことし40年ぶりに実施した大規模な教職員勤務実態調査で多忙化の実態が明らかになりました。教職員の健康状態にも影響が出ています。

 11月24日発表の暫定集計では、自宅に持ち帰る「ふろしき残業」も含めて、小・中学校平均で平日2時間43分、休日3時間13分で、月66時間を超えるという長時間労働が明らかになりました。厚生労働省の通達は、残業が月45時間を超すと脳・心臓疾患の危険が高まるとして、それ以下に抑えるよう企業に求めているところです。岩国市における教職員の勤務実態と健康状態は、どのような状況になっているのかお尋ねをいたします。

 市長の答弁を求めて、壇上からの質問を終わります。