藤本ひろし 日本共産党市議団の藤本博司です。市議団を代表して議案第25号、及び26号に一括して反対の討論を行います。
昨年の台風14号は錦川に沿って大変な被害を及ぼしました。こうした、水害や地震などへの防災対策はほとんど進んでいるとはいえません。一昨日の梅雨前線の停滞による、雨で錦川が増水し市民は眠れぬ夜をすごしておられます。
今、国や地方自治体がやるべきことは、こうした災害への国民や住民の不安に答える事ではないでしょうか。
ところが、この条例は、(1)上陸侵攻があった場合。(2)ゲリラや特殊部隊による攻撃があった場合。(3)弾道ミサイル攻撃があった場合。(4)爆撃機攻撃があった場合(5)核兵器や生物・化学兵器による攻撃を武力攻撃自体として、政府による警報の発令を伝達し、住民の避難、応急措置を行う計画を作る。
つまり戦争になった場合にどうするかという計画作りです。
さらに戦争ではないが緊急対処事態として(1)米軍基地や原子力発電所。(2)大規模な集客施設などへの攻撃。(3)サリンや毒ガスなどの大量殺傷物質による攻撃。(4)航空機などの自爆テロがあった場合に対処する……。とされています。
こんな計画造っても実施することが困難な非現実的なものであることは明らかではありませんか。上陸侵攻があったことを想定した計画といっても、どこへ上陸すると想定するのですか。ゲリラ攻撃、弾道ミサイル攻撃を想定するといっても、頑丈なコンクリート作りの地下建物に避難するといってそんなものは多くありません。核シェルターとか昔のような防空壕を掘る計画でも作るというのでしょうか。
米軍岩国基地にミサイルが打ち込まれたことを想定して、一万人の川下の住民をどうやって避難誘導する計画を立てることが出来るのでしょうか。バスを確保するだけで 200台、自衛隊や警察、消防の車が通るのがせいいっぱいで、道路は対混雑で通れなくなります。
まったく非現実的なのがこの「国民保護計画」です。
しかもこの国民保護計画は、まず、国が「武力攻撃事態」を発令しなければなりません。しかし、仮にそんなことが起こって政府の発令、対策本部の設置、計画に基づいて職員の配置などと上からの指示をを待っていたのでは役に立ちません。
犠牲者が増えるだけです。
もし仮にそんなことが起こったら 、すぐに現場の警察や消防が動かなければなりません。そして、住民の避難・誘導、防災活動、捜査活動を行えば 良いことです。これは何も別の計画を立てなくても現行法で対処できるし最も現実的対応であります。
こうした非現実的な計画を武力攻撃 事態とか、国民保護ととかいって「国民に押し付けようとしています」この動きとあいまって、憲法の改正、第九条の改正、教育基本法改正による愛国心の持込みが行われようとしています。
お国のいうことを聞かない人間を戦前は治安維持法で取り締まりものが言えなくなりました。今度は「共謀罪」で引っ張る事もたくらまれています。
戦争しない国から戦争をする国へ、最後の仕上げ作業とも言うべき、こんな危険極まりない括弧付の国民保護計画は作るべきではないことを主張し、議案第25号、岩国市国民保護協議会条例。議案第26号岩国市国民保護対策本部及び岩国市緊急対処事態対策本部条例に反対の討論とします。