2005年3月定例議会 藤本ひろし一般質問

 

藤本ひろし: 皆さんおはようございます。日本共産党の藤本博司でございます。通告に従って一般質問を行います。

 市長は施政方針及び予算の大綱説明の中で、「今国会で介護保険制度の大幅な見直しが行われる予定であり、これに併せて新たな「高齢者福祉計画」を策定する」としています。

 今国会に提出されている介護保険の改正案は、大変な国民負担をもたらすものです。改正案の最大の特徴は、現在の介護保険給付が膨らみ過ぎて、このまま給付費がふえ続ければ介護保険制度が維持できないという不安をあおって、介護給付を圧縮することと国民負担をふやすことを大きなねらいにしています。

 具体的な内容として一番の問題は、軽度の認定――要支援、要介護1に該当するほとんどの人を、新たに予防重視型システムへの転換として、新予防給付ということで、認定の区分や名称も、要支援1、要支援2というふうに認定する。これに認定された方は、筋肉トレーニング、栄養指導、口腔ケア機能向上、つまり歯磨き指導などのサービスを受けることができる、こういうふうになっておるそうです。

 新予防給付で、これまで利用していた訪問介護などは、サービスの内容、名称も変わり、生活機能を低下させるような家事代行型の訪問介護は原則として行われないとされています。例外的に行われる場合でも、期間や提供方法が制限され、そして介護報酬単価や要支援別の給付の上限、支給限度額も引き下げられます。

 第2の問題点は、ホテルコストの徴収という名目で、特別養護老人ホームや老人保健施設、介護療養型医療施設などの施設に入所している人から部屋代や食事代を徴収するといいます。この部分に限っては、ことし10月から実施をする予定です。これによって年間3,000億円も利用者負担がふえます。単純計算で、年間1人40万円、1カ月3万3,300円の負担増となります。

 第3の問題点は、介護保険制度が始まる前からホームヘルプサービスを福祉の制度として受けておられた所得の少ない人への特例措置として、利用料を6%に軽減する措置がとられていました。これが新たに今回の改正によって見直しされます。施設利用者の特例措置については当面5年間延長するものの、在宅サービス、ホームヘルプ利用者向けの軽減措置は全廃する方針です。

 第4の問題点は、障害者福祉と介護保険制度の統合の問題です。これは今回の改正では見送られていますが、そのかわりに障害者福祉でも介護保険と同様に、サービス利用に応じて1割負担を徴収する法案――障害者自立支援給付法案が今国会に提出をされています。これによって、今までは無料でサービスを受けておられた人が有料になったり、利用料が大幅に引き上げられる人が出てまいります。

 こうした介護保険制度の改正のもとで、新たな岩国市高齢者福祉計画を策定をするわけですが、その際に今まで要支援、要介護1段階のほとんどの人が、要支援1、要支援2として介護給付から予防給付へ回され、今までどおりのサービスが受けられなくなるのではないかというこういう不安が高まっております。

 特に、新予防給付では、生活機能を低下させるような家事代行型の訪問介護は原則行わないとされていますが、現実にはこうしたホームヘルプサービスを受けておられる人が多いのではないかと思います。この点が岩国市でどう具体化されるのか、お示しください。

[答弁:健康福祉部長]

 第1点目の高齢者保健福祉計画についての中の介護保険法改正に伴う岩国市の対応についてにお答えいたします。

 現在、平成18年度施行を目途に国が進めている介護保険制度の見直しの中で、介護保険法の基本理念である自立支援をより徹底する観点から、軽度者に対する保険給付については、現行の予防給付の対象者の範囲、サービス内容、マネジメント体制等を見直した新予防給付が提供されることになります。この新予防給付の対象者は、現行区分における要支援と要介護1の一部の方が該当するとされております。

 本市の現在の要支援、要介護1の状況についてでございますが、平成16年4月末現在で認定者総数3,603人のうち、要支援417人、要介護1が1,112人となっており、合わせて約40%を占めております。また、平成15年度の保険給付費約57億円のうち、要支援、要介護1の方々の給付費は約9億1,900万円で、給付費全体のおよそ16%となっております。

 議員御懸念の訪問介護に係る給付費は約4億5,500万円となっており、そのうち要支援、要介護1の方々の給付費は約1億6,700万円で、およそ40%を占めております。この訪問介護につきましては、制度見直し後は内容、提供方法、提供期間等を見直した上で、介護予防訪問介護として利用していただくようになります。

 軽度の方々は、状態の改善の可能性が高いにもかかわらず、家事代行型の訪問介護サービスの利用により、廃用症候群の人が多くなっているとの声があります。これにつきましては、適切な訪問介護サービスを利用することで、自立できる可能性が多く残っていると考えられているところでありまして、本人のできないことを支えつつ、利用者本人の意欲を引き出し、少しずつできることをふやしていくことが今まで以上に大切となります。このように、より介護予防に資するようサービス内容を見直すことを目指すのが今回の制度見直しであり、訪問介護サービスの利用について、いたずらに制約を加えるものではないと考えております。

 なお、新予防給付については、適正な給付がなされるよう、市町村が実施主体となる地域包括支援センターが公正、中立な立場からケアプランの作成を行うこととなります。

 いずれにいたしましても、市といたしましては、訪問介護を含めた新予防給付が、今後国から示される基準等にのっとり、真に利用者の自立を支援するものとなることが重要であると認識いたしております。


藤本ひろし: 質問の2つめ、先ほども述べました介護保険制度が始まる前からホームヘルプなどを利用しておられた人について、利用料が10%負担のところを3%に軽減する特別措置が介護保険導入時に設置をされ、前回の見直しのときにこれが6%に引き上げられ、このたびの改正でこの特例措置が全廃をされます。

 全国のいろいろな自治体で所得の低い方、住民税非課税の方に対して独自の減免制度が設けられ、3%から6%に引き上げられたときに引き上げ分の3%を補助するとか、今回の改正で新たな負担となる6%分を補助するとか、こうした取り組みが全国で始まっております。岩国市でもこれを機会に、引き上げられる4%分を減免する新しい制度を創設するよう求めるものです。

 今回の介護保険制度の大改悪は、所得の低い国民に大きな負担をもたらすものです。政府は今年から来年にかけての年金の大改悪を初め、社会保障の改悪、配偶者特別控除や老齢者控除の廃止、定率減税の2年間での撤廃など大増税計画を進めております。

 そして、2007年には消費税も引き上げるという構えです。こういうときに政府の悪政をストレートに市民にしわ寄せをしてかぶせていくのか、それとも地方自治体が政府の悪政から国民の命と暮らしを守る防波堤の役割を果たしていくのかが問われていると思います。市長の決意をお伺いいたします。

[答弁:健康福祉部長]

 次に、訪問介護サービスの特別対策打ち切りに対して市独自の助成を行うことについてにお答えいたします。

 法施行時の訪問介護利用者に対する利用者負担額軽減措置事業につきましては、平成12年4月、介護保険法施行時にホームヘルプサービス事業を利用されていた低所得の高齢者を対象に、負担の激変緩和の観点から、軽減措置を講じることにより、訪問介護サービスの継続的な利用を促進することを目的に実施されているものでございます。

 軽減の対象者は、生計中心者が所得税非課税である世帯に属する者であって、法施行前のおおむね1年間にホームヘルプサービス事業に基づくホームヘルパーの派遣を受けた実績のある方でございます。

 市は利用者の申請に基づき、対象者を決定した上で、訪問介護利用者負担額減額認定証を交付し、認定証を提示した利用者については利用料が軽減されるものであります。利用者負担は、平成12年4月1日から平成15年6月30日までは3%、平成15年7月1日から平成17年3月31日までは6%でございますが、平成17年4月1日からは介護保険制度で定められている10%となり、国の補助制度が廃止されることにより軽減措置を終了することとしております。

 議員御指摘の市単独による利用者負担軽減措置の継続実施につきましては、介護保険法施行後に新たに訪問介護サービスを受けておられる方はすべて10%の負担をしておられまして、これらの方々との公平性を確保する必要があり、軽減措置の継続実施につきましては考えておりませんので、よろしくお願いいたします。


藤本ひろし:  歯の健康8020運動についてですが、これは80歳になっても自分の歯を20本以上残そうということを目標にして、厚生労働省と日本歯科医師会などが進めている運動です。

 人の健康にとって歯の果たす役割が解明されてきて、最近の研究では、食事をよくかんで食べることが認知症の予防にもなるという報告もあるそうです。そして、自分の歯が20本以上残っている人ほど健康で長生きをしておられるそうであります。

 歯が抜ける原因の大きなもとは、虫歯と歯周病だと言われています。特に40歳を過ぎた人の7割から8割は歯周病にかかっていると言われております。ところが、自覚症状がなかったために歯が痛み出して歯医者さんに行ったら、もう手おくれで歯周病が進行している、最悪の場合は歯を抜かなくてはならない、こうしてだんだん歯が少なくなってしまいます。

 そこで、歯の健康対策が重要になってきます。市民の健康対策全般の中で、がん検診などは相当進んで、市民の意識、関心も高いのですが、歯の健康対策はまだまだ行政も市民の認識もおくれているように思います。行政として歯の健康対策として8020運動を進める必要があると思いますが、市長の見解をお尋ねいたします。

[答弁:健康福祉部長]

 次に、歯の健康8020運動についてにお答えいたします。

 8020運動とは、80歳になっても20本以上の自分の歯を保つことで豊かな人生をという考えのもとに、国と日本歯科医師会により提案されたものですが、岩国市におきましても、歯の健康は体の健康にとって重要なことであると認識しており、ライフステージに応じた事業を実施しております。

 具体的には、妊娠中や乳幼児期では、パパマママタニティ教室や乳幼児学級などにおいて口腔衛生対策の教育を実施いたしております。歯科健診では、1歳6カ月児健康診査と3歳児健康診査において歯科健康診査及び指導を実施いたしております。また、毎年5月から6月にかけて、3歳児を対象とした母と子のよい歯のコンクールへの推薦事業を実施いたしております。

 中高齢者に対する歯周病対策としては、平成11年度から40歳及び50歳の人を対象として歯周疾患検診を実施しておりますが、その受診率はいずれも1%ないし1%未満となっており、歯の健康に対する認識の度合いが十分とは言えない状況にあります。このように、岩国市では妊婦、乳幼児から高齢者まで一貫した歯科保健対策を実施しております。

 そのほか、毎年歯の衛生週間に合わせて、岩国市歯科医師会による歯の健康フェアが岩国市保健センターを会場に開催され、歯科健診、指導が行われております。この行事は、子供から大人までを対象に実施されますが、岩国市ではこの行事の中で乳幼児を対象に歯の健康調査を行っております。

 歯の健康は、体の健康のためにも重要な要素であり、歯が悪くなると食事をおいしくとることが難しくなるだけでなく、消化器や運動機能の低下につながり、ひいては健康を損なってくると言われております。自分の健康は自分で守るという考え方を促すこととあわせて、引き続き歯科医師会の御協力をいただきながら、市民への一層の啓発に取り組んでまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。


 

基地問題について

藤本ひろし: 岩国商工会議所は、臨時議員総会での決定に基づいて基地問題特別委員会を設置して、厚木基地やNLPの誘致を目指して調査を進めるとしています。

 現在建設されている滑走路のさらに沖にももう一本、3本目の滑走路を建設し、そこでNLPを実施するといいます。

 とんでもない話だといって一笑に付すわけにはいきません。それは沖合移設後の岩国基地にNLPを呼び込むことにつながる危険性を憂慮するものです。

 私たちはかつて現在進んでいる沖合移設運動が始まったときに、そんなことはとても無理だろうということで軽視をして、沖合移設、基地強化の危険性を市民に訴え、反対する運動を展開することが弱かったと思っております。

 現在進行している米軍の再編計画の中で、厚木基地とNLPを岩国に移転することを中心に検討されていることが、もはや隠しようのない状況となってきております。

 こうした事態になった最大の原因は、沖合移設事業そのものです。滑走路が1キロ沖合に出る、滑走路の幅も広がる、そして基地の面積は1.4倍に拡大される、3万トン級の大型艦船が横づけできる埠頭も建設をされる、弾薬庫や格納庫、管制塔などが建設をされる、まさに新しい基地が一つ建設をされるのに等しい基地の拡大強化そのものではないでしょうか。

 政府もこうした基地の拡大強化がなかったならば、恐らくこの岩国に厚木基地やNLPを持ってくるなどという発想は生まれなかっただろうと思います。

 以上述べたような観点からも、岩国商工会議所が進めているNLPの誘致運動を認めるわけにはいきません。市長の見解をお尋ねいたします。

 また、改めて基地問題への基本的な見解をお示しください。

[答弁:市長]

 藤本議員の御質問のうち、私からは基地問題についてお答えをいたします。

 まず、商工会議所のNLP誘致運動についてということでありますが、御指摘にもありましたように、2月初めに岩国商工会議所では、米軍厚木機能の岩国移転誘致を調査研究するため、基地問題調査特別委員会が設立をされたと聞いております。

 この委員会の設置目的は、NLPの誘致を前提としたものではなく、その問題点や可能性について調査研究をするというものであるというふうに聞いております。ただ、一部には、御指摘にもありましたように、現在の沖合移設よりさらに沖合にメガフロートなどを活用した新しい滑走路の建設を前提とした誘致の動きがあるということも聞いております。

 少し一般の感覚からすると、現実の予想を超えた大きな構想であり、実現性については疑問もあるのではないかというふうに思いますが、こうした一連の動きが、一般に岩国には一部に誘致の動きがあると誤解され、伝わっているということもあるのではないかというふうに思いますし、この点については遺憾であるというふうに思います。

 基地から生ずる市民生活への影響をできるだけ少なくするという努力をしているのが我々の基本姿勢でありまして、基地やNLPを積極的に誘致するということは論外であり、そんなところはどこにもないのではないかと私は思います。

 基本的には、市議会でも既に基地機能のこれ以上の強化については反対であるという決議もされておりますし、私も従来より繰り返しNLPや基地機能の強化については反対であるということを表明をしてきておりまして、この方針に変更はございません。


 

藤本ひろし: 最後に、テレビのデジタル放送開始に伴う混信対策についてお尋ねいたします。

 4月1日から広島県の竹原市の島、大崎中継局のチャンネルが48チャンネルに変更になり、デジタル放送が試験放送として開始をされるそうであります。

 現在、岩国市内で大島東和中継局の48チャンネル、山口県のNHK放送を見ている家庭の映像がこれと同じ48チャンネルで、ダブって映像が乱れるなどの影響が発生をするおそれがあります。

 該当地域は、山手町、今津町、旭町、川下町、車町、保津、通津、長野、青木三丁目、海土路二丁目、砂山などの一部約1,000世帯に影響が出る可能性があるとのことです。

 既にNHKなどの委託を受けた業者によって、混信防止対策が開始をされているそうです。短時間でもテレビが見れないなどというようなことに不便を感じられる方も多いのではないかと思いますので、どのように対処しておられるのか、お尋ねをいたします。