2004年3月議会 山田やすゆき一般質問 3日午後4時ごろから
山田やすゆき(質問): 日本共産党岩国市議団の山田泰之です。通告に従って一般質問を行います。
平瀬ダム建設について、 12月議会に引き続きお尋ねします。
昨年から国土問題研究会によるダム調査を4回重ねてきています。現在、錦川には4つのダムと取水堰、砂防ダムを合わせれば8個のダムがあることになります。
上流の水越ダムでは平常時の水量が毎秒8.8立方メートルもあるのに、錦町に至るまで に約75%にも相当する毎秒6.67立方メートルもの水が錦川流域以外に送水され、錦川をよく知る人はかつてほどの水量がないと証言しています。
山口県は平瀬ダム建設事業の必要性として『錦川は、延長約124Km,流域面積約900Kuで山口県最大の2級河川。過去、錦帯橋を流失させたキジア台風(昭和26)をはじめ、最近では平成11年の台風18号による記録的な出水など、古くより度々災害をもたらしてきました。そのため河川改修と併せた「ダム群による洪水調節」によって抜本的な対策を行い 100年に1回の大洪水にも対応できるように計画』されたとし、平瀬ダム建設事業は、錦川中流の玖珂郡錦町広瀬地先に治水対策、維持流量・既得用水の確保、水道用水の確保および発電を目的として建設される多目的ダム と位置づけています。
山口県の平瀬ダム建設資料によりますと「洪水調節として、ダム地点の計画高水量毎秒1920立方メートルのうち、毎秒1260立方メートルの洪水調節を行い、錦川沿地域の水害を防除する。」
また、「既得用水の安定化・河川環境の保全」更に「錦町の簡易水道水として 1日最大 400立方メートルを確保する」
そして、「新たに平瀬発電所を建設して、最大出力560 kwの発電を行う」と記載されています。
その後、再々評価を行い事業規模は発電量を560 kwから1200 kwへ、総事業費は740億円と当初の2倍強と大きく変更されています。
「国土問題研究会」の調査報告書によりますと山口県が作成した「平瀬ダム」のダム地点の計画高水量毎秒 1920立方メートルのうち、毎秒1260立方メートルの洪水調節を行うとしていますが、実際には毎秒610立方メートルにすぎないことが明らかになりました。
これは山口県が作成した「錦川水系計画高水量配分図」で「ピークカット量」と「洪水調節量」を混同したことによる誤りがあることが判明いたしました。
治水ダムが中心の平瀬ダム、膨大な予算を使って建設しても治水上の効果はきわめて小さく、逆にダムによる河川環境や下流域に悪影響を及ぼすことが予想されます。
総事業費も当初350億円を平成12年度に530億円、そして今回740億円と当初計画時の2倍強に増加しています。私はゼネコンの ためのダム建設であることを再度指摘し、治水効果が極めて少ない平瀬ダム建設事業の見直しを求めます。
[答弁:市長]
山田議員の御質問のうち、私からは平瀬ダムの建設についてお答えをいたします。
平瀬ダムにつきましては、洪水調節、河川流水の安定化等を目的に、昭和 63年度に建設事業として採択をされ、平成4年には市は全体計画に同意をしております。御指摘のように、ダムの概要は当初の見込みから変更も行われておりまして、現在では総貯水量2950万立方メートル、総事業費530億円となっておりますし、さらに現在も事業再評価が行われているというふうに聞いております。
このダムの建設に関しましては、岩国市としまして錦川水系の生活環境に悪影響を及ぼさないよう水質保全に万全の対策と下流域の平常時流量の減少を起こさないことを条件に、市として平瀬ダム建設に同意しておりますので、今後とも錦川の生態系の維持と水質保全の適正な確保を県に要望していくと ともに、その推移を見守っていきたいというふうに考えております。
山田やすゆき(質問): 南岩国4丁目の新設団地が平成13年の9月議会に灘地区自治会連合会から請願が出され、委員会では採決されましたが、本会議で請願は否決されました。
この地域の問題は昭和 55年の通学区域にさかのぼるわけであります。
当時、岩国市校区審議会で平田中学校新設に伴い灘小・中学校校区の一部が住宅地の間を不規則な形で設定され、地域住民になんら説明もなしに強引に決定されました。
私は当時、灘小学校のPTAの役員をしていました。この通学区域変更に多くのPTA会員の納得が得られず、PTA総会は大紛糾いたし、しばらくは保護者の希望を取り入れる処置がとられました。
海土路地区に団地(約 80戸)が造成されるとの話があったとき、灘地区の自治会・住民、とりわけ児童・生徒の減少化にある灘小・中学校関係者は少子化時代に児童・生徒の増加が期待できると大変喜んでいました。
しかし、教育委員会は、この新設団地の通学区域を平田小・中学校の通学区域と決定いたしました。
関係住民などは一瞬唖然といたしました。
誰がどう見ても、歴史的に見ても新団地は灘地区であり海土路地区内にあることから、灘自治会連合会は岩国市議会に通学区域変更の請願を行いました。
この団地に新築して引越ししてこられた方から、ここが平田校区だとは知らなかったとか、今まで灘小学校に通学していて、新たにこの団地に家を新築して、新学期からも灘小学校に行きたいがどうしたらよいか等と相談があります。
通学区域は基本的には、行政区が妥当と思います。でなければ、通学区域は、大きな道路・河川で決定するべきだと思います。
議会では請願が否決されましたが、地域住民・学校関係者の間では何とかならないのかとの声が多く寄せられています。
教育委員会におかれましては、南岩国 4丁目については灘地区、とりわけ海土路地域の実情を考慮の上、再度通学区域の見直しを求めます。
[答弁: 教育長]
2点目、学校通学区域についてのうち、通学区域の見直しについてにお答えをいたします。
小・中学校の通学区域につきましては、団地が造成された場合や審議が必要と認められた場合等に岩国市小学校及び中学校通学区域審議会設置条例により通学区域審議会に諮問し、その答申を受けて教育委員会において通学区域を決定をしております。
南岩国4丁目にある団地につきましても、この手順に従って通学区域審議会に諮問をいたしました。通学区域審議会では、通学する児童・生徒の立場を第一に考え、地理的な問題や通学の安全性、学校への通学距離等を総合的に判断し、答申されたものでございます。教育委員会といたしましてはこの答申を尊重し、同団地を平田小・中学校の通学区域に決定をしたところでございますので、現時点で見直しを行う考えは持っておりません。
なお、一般的には議員ご指摘のように道路の新設や団地の開発等により、町の形態が大きく変容するような地区においては大きな川や道路によって通学区域を区分することが、住民にとってもわかりやすいことは理解できますので、岩国市の通学区域決定の一つのあり方として、今後研究、検討してまいりたいと考えております。
山田やすゆき(質問): 施政方針に学校給食について述べられています。 平成 15年度に学校給食検討委員会から提出された提言を基に小学校においては調理業務等の民間委託化、中学校においては完全給食実施に向け、それぞれ準備・調査・計画策定を行うとして経費468万2000円を計上しています。
学校給食は、「学校給食法」において「教育の目的を実現するため」に
1.日常生活における食事について、正しい理解と望ましい習慣を養うこと
2.学校給食を豊かにし、明るい社交性を養うこと
3.食生活の合理化、栄養の改善、および健康の増進を図ること
4、食料の生産、配分、および消費について正しい理解を導くこと
という目標が定められています。
94年、当時の自治省が全国の地方自治体に対して、各分野の民間委託推進、職員削減の行革大綱を1年以内にまとめるよう通知を出し、それを受けて、全国の自治体が行財政改革大綱を作成することになり、教育分野では学校給食の調理業務が職員削減対象の一つとしてクローズアップされてきました。
この行政改革は主に人件費削減を重視しており、いかにして職員数を削減するかが議論されています。
今日の子供を巡る教育環境、そして、子供達の食教育は、保護者、栄養職員、調理員、教職員を含んだ密接なコミュニケーションをもち、創意工夫をこらして実施されています。
民間委託は「学校給食の質を変えずに経費節減できる」といわれますが果たしてそうでしょうか。民間委託は子供達の食教育にとって失うものが多いと全国各地で今いろいろ問題が出されています。
例えば、今までは教育現場の意見・要望が取り入れられ、アトピーなどの子供にも十分に配慮が行き届かないなど、また、衛生面など問題があり、更に低コストを求めている民間では、低賃金で重労働の為長く続かず、パートの調理員で実施しているところもあるようです。
民間委託について、今後、計画されている内容とその構想についてお尋ねします。
[答弁: 教育長]
3点目の学校給食についてのうち、民間委託についてにお答えをいたします。
岩国市の学校給食につきましては、平成14年9月に設置しました岩国市学校給食検討委員会において、中学校給食の実施に関すること、小学校給食の実施方法に関することについて検討を重ねていただき、昨年10月に提言をまとめられ、最終報告が提出をされました。教育委員会では、岩国市学校給食検討委員会の御提言を踏まえ、本年1月に岩国市の学校給食の今後の方針として五つの基本方針を決定をいたしました。この基本方針において、小学校給食については原則として今後も自校方式を継続すること、調理業務等については運営の効率化を図るため、民間委託を進めることといたしました。本市の極めて厳しい財政状況の中で、行政改革の推進は差し迫った行政課題でありますが、学校給食は学校給食法においてその目標が掲げられ、教育の一環として行われるものであることから、調理業務を民間に委託することに当たっては、学校給食が安全で衛生的に供給され、給食の質も確保されることを前提としております。
献立は学校栄養職員が作成し、食材の調達、研修についてもこれまでどおり学校において行い、調理業務等の民間委託を実施するに当たっては、教育的な見地に立ち、十分検討し、進めてまいりたいと考えております。
教育委員会といたしましても、食に関する教育の重要性は十分認識しておりますので、岩国市の学校給食の今後の方針の五つの基本方針の一つとして食育の充実を図ることを上げ、この基本方針に基づいた施策を進めていきたいと考えております。
具体的な施策としては、学校栄養職員を中心とし、地域の皆さんや生産者の方々の御協力を得ながら地産地消にも取り組み、給食指導を初め教科の指導等を通して児童・生徒に望ましい食生活のあり方や調理の方法などを指導してまいります。
また、各学校において給食試食会や親子料理教室などを開催し、学校給食への理解と関心を高めていただきながら家庭や地域との連携を深め、学校、家庭、地域が一体となって食に関する教育に取り組む体制づくりも進めてまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
山田やすゆき(質問): 全国の国立病院が本年 4月1日から独立行政法人に移行することになり、名称も国立病院機構岩国病院に変更されるとのことであります。
現在の国立病院は、職員の定数が不足しているために多くの定数外職員いわゆる「賃金職員」が支えて運営されてきました。法人化されることにより賃金職員が実質解雇されることになります。
賃金職員、聞きなれない言葉ですが、賃金職員について述べておきます。
3交代を含むフルタイムで働き、仕事の内容、責任も正規の職員と同じなのに、「定員外」だという理由で1年未満の雇用契約の更新を繰り返し、賃金や労働条件も差別されている職員のことです。
例えば、夏期休暇、結婚休暇、育児休暇、介護休暇などを認めれず、正規の職員より長時間働くことも珍しくないとのことであります 。 昇給も勤続 10年くらいで頭打ちなど、賃金も低く抑えられています。
4月1日からは賃金職員については、短時間非常勤職員(週30時間・1日6時間5日勤務)として採用か委託業者への就職斡旋とのことで給料は今までの半分になるとのことであります。
例えば、給料が 1ヶ月に18万円の方は9万円に、ボーナスについては30万円の人は3万円になるとのことであります。
国立岩国病院は、山口県東部では唯一の 3次救急病院として重要な医療機関であり、人の命がかかっています。日曜・祭日・夜も休むわけには行きません。
救急車での搬送数も昨年 1年間で3437人と多く、これ以外に救急で病院に来られる方も多く、救急外来勤務は過酷な労働になっているとのことであります。
薬局、放射線科、検査、事務を担当する職場の宿直・日直勤務の職員手当は 5900円で、医師は20000円で朝8時30分から翌日の17時まで、実に32時間病院勤務するという実態があります。また、日勤を終え、夜勤勤務の場合、一般病棟、1病棟50床に看護師2名で担当しているとのことであります。
このような状況の中で、賃金職員も正規職員と全く同様の勤務形態で業務を行いながら、形式的に非常勤職員扱いで一緒に働いています。
院内の保育所は地域に開かれていますが、既にこの保育所の運営は大手の民間会社に職員 ごと移行することが決定しています。
このような条件では、とても引き続いて働くことが困難だと、賃金職員は次々に退職しています。このような状況が続けば、正規の看護師にも大きな負担がかかり、患者にも十分な看護等ができなくなると関係者が話しています。
国立岩国病院は政策医療と共に、地域と協調し地域の実情に応じた医療を提供することによって、地域住民の医療に積極的に貢献することが求められます。
このような実態で、賃金職員の解雇は地域医療、地域経済に重大な影響をきたします。
これで岩国地域の医療が本当に守られるのでしょうか。また岩国地域の雇用も大きな問題になります。市長は岩国国立病院が独立行政法人化・民営化・営利優先に移行する病院の実態をご存知でしょうか。どのように思われるでしょうか。答弁を求めます。
[答弁: 健康福祉部長]
4点目の地域医療を守ることについての中の国立岩国病院の独立行政法人化に伴う影響についてにお答えいたします。
議員ご案内のとおり、国立岩国病院は全国143の国立病院及び療養所とともに平成16年4月から独立行政法人に移行いたします。
独立行政法人とは、民営化になじまない公共的な事業を国の直営から切り離すことで効率的な運営を行う法人であり、平成11年7月成立の独立行政法人通則法を踏まえ、平成14年12月独立行政法人国立病院機構法の成立によって国立病院及び療養所の独立行政法人化が実現したものであります。
独立行政法人制度の導入のねらいは、財務面におきましては単年度予算の枠組みにとらわれず、運営費を弾力的、効果的に使用できたり、経営努力により生じだ剰余金を取り崩して使用できたりすること、また組織、人事面におきましては内部組織を自己決定できるとともに、給与についても法人及び職員の業績が反映される仕組みが導入され、業務の独自性、自主性が拡大されるなどがございます。
議員ご指摘のとおり、国立岩国病院の独立行政法人化に伴い病院職員の雇用、勤務形態が変わることによって、市民に対する医療サービスが低下するようなことがあってはならないと思っておりますし、長年の実績と歴史がある国立岩国病院が、独立行政法人化することによって医療サービスの低下を招くことはないと確信しておりますので、よろしくお願いいたします。
*実際は、まず質問者が上記の質問を一度にすべてし終わってから、それぞれの項目について市長や担当部長などから答弁を受けますが、ホームページでは分かりやすいようにそれぞれの項目に分けています。
壇上でまず最初にこのように質問をし、答弁を受けてから、またさらに再質問をします。再質問の時は、質問・答弁、質問・答弁と進んでゆきます。 |
再質問はもうしばらくお待ちくださいませ。